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だからなんでめんをのむの

「眠い。」

「寝てへんの?」

「あの後寝れんくて。」

長野市南千歳町

高層ビル立ち並ぶ、長野市の中心市街地である。そして、長野駅の表玄関として扱われる長野駅善光寺口に面している場所でもある。

礼輪三年4月末

―くんと―女史は、長野駅14時29分発の新幹線に乗るべくこの地にいた。

―女史の場合地元にも新幹線駅があるのだから、そこから乗ればいいと言われたらそれまでだが、―くんが買った新幹線の切符が大宮までであること、東京駅で待ち合わせとなると、下手すると迷って、合流できない可能性があることなどの理由で、NR篠ノ井駅近くにある―くんの隠れ家へ隠れ家ネットワークを用いて自宅からやってきて、―くんと合流。

ちょっと―くんの個人的理由(タオルケットのお洗濯&乾燥待ち)で12時頃出発と相成った。

冒頭―くんが眠いといった理由はこの数時間前まで、―くんの友人2人と4人で某怪物を狩るゲームに興じた後、―くん遠足前の子供的心理で寝付けず。結局徹夜と相成ったため。

いわゆるあほである。

「うん。じゃあ、14時20分になったら起こしたるから、少し横になり。ほら、おねぇさんが膝貸したげるから。」

それができたら、眠いなんていってないと思いつつ―女史の膝枕ですやすやとお休みな―くん。


「ひまー。」

そういってお絵かきを始めた―女史。暇人集団からもらったA.Iさんが、予定時間5分前。つまり14時15分と伝えてくる。

「移動時間やから起きー。」

意外と目覚めのよかった―くんでした。

今いる公園から駅までは徒歩5分ほど。

自由通路を挟むようにしてもうけられた二つの改札口のうち北側の改札を抜け、ホームに降りて、自分たちの乗る車両を目指す。

このGWに確実に座れて誰気兼ねなく思いっきりリクライニングできるようにと、指定席車両で車両中、列車進行方向最後尾の席を選んだ結果、列車後方指定席最後尾12号車の20番というお席が割り当てられた。16両編成の12号車。乗降口位置は、階段の裏ということでホームが薄暗い。そして、見通しが悪い。何でこうなるかというと、階段を降りてすぐの位置に2等車が来るようにしたから。

「なんちゅう辺境なんや。」

―女史が愚痴る。

2人が12号車大阪方(13号車側)の乗降口についたタイミングで、車内清掃が終わり、清掃員の皆さんが、出てきて整列。お辞儀をして隊列を崩さずに去って行く。

列車に乗り込んで数分後発車を告げるアナウンスとメロディが、ホームに鳴り渡るのが聞こえ列車が動き出す。

『本日も新幹線をご利用いただきましてありがとうございます。この列車は「いいづな」号東京行きです。途中上田、佐久、軽井沢、榛名、高崎、大宮、上野、終点東京に停まります。この列車に…。』

そんなアナウンスも子守歌になるレベルで椅子を思いっきりリクライニングして、夢の中に旅立つ―くん。

「君、よく起きれるね。」

「考えなしなので。今通過したのは町並みからいって、熊谷ですね。ホジャあと15分は大丈夫っと。」

たしか新幹線には数える程度しか乗っていないといっていたのによくもまあ、町並みで判断できるな。と感じつつも、また寝た―くんにタオルを掛けてあげる―女史でした。

大宮駅

長野駅と同じ階段配置だが、長野駅は改札から降りて、ホームへ向かう。

大宮駅は改札から上る。これは、長野駅が地平駅、大宮駅が高架駅構造のため。

その階段を降りた先にあるのは、皆さんおなじみ、新幹線乗り換え改札口。

「長野はちゃちいと思ってたけんここまでとは。」

こらこら。13路線が乗り入れる拠点駅と8路線が乗り入れる拠点駅を比べちゃいけません。まあ、長野駅の乗り換え改札、規模がちゃちいのは仕方ない。

基本的にNRにとって長野は乗降駅であり、乗客流動を見ても新在乗り換え改札の利用者は数時間に一人レベル。大半が、改札を出て、街に繰り出していく。だから自動改札機3つという規模でまかなえてしまう。

対して、この大宮駅は乗降客もそれなりだが、それ以上に新在乗り換えが大変多い。改札周辺が常に人でごった返しているほど。だから、乗り換え改札の自動改札機は20台以上。

それが、常にガシャコンガシャコンしている。

「なんのおまつりですか?!」

「それ、来阪時もいってるよね。まあ、出るときはこんなにごった返してへんからなぁ。」

基本的にこれほどの人混み、何かのお祭りぐらいでしか見たことがない、―くん。

東北本線上り線ホーム

「なぁ、なんで大体一番後ろなん?」

入ってきた電車の一番後ろに乗り込む2人。

「カーブで前の車両が見えるのがいいんですよね。」

「それだけ?」

「階段から遠いことがほとんどなのであまり混まないというか。」

そういいつつも―くんの地元を走る私鉄はホーム端から構内踏切で、改札へというパターンを採用する駅が多いため、どちらかというと構内踏切に近い側の先頭車とその後ろ数両から混む。誰が好き好んで、15両分も歩くのかというお話である。

電車が大宮駅を出発して数分。埼玉新都心駅を出たあたりで、少年?青年?が2人ほど―女史と―くんの周りをうろつき始めた。

1人は駅に着くたびにホームに降りてキョロキョロ。手にはスタンプ用紙。調べたら、GWの企画としてNRがスタンプラリーをやっているとのこと。

なので、まあ納得していたが。もう一人が意味不明である。なにせ、車内は椅子がすべて埋まりたっている乗客がちらほらな状態なのにもかかわらず2人の周り1mほどのところをうろうろとしているのだ。

「おちつかねーなぁ。」

―くんおびえつつもちょっとイライラ気味。―くんが列車の一番後ろに乗った理由は先述の通り、カーブで前の車両が見える光景が好きだから。それを見ようと、ドアから外を眺めていると、すぐそばにやってきてはまた反対側へと行くというのを繰り返すため、何度か見たかった場面が見られないということが起きていた。

『まもなく東京、東京です。中央線、京浜東北線、山手線…。』

東京駅24番線に到着すると、ホームに降りて階段を降りて、案内を見るために立ち止まる。

「な、なんなん?なんであんな近くをうろつくん?こわーてしゃーないわ。」

「 さん(―くんが持つA.I.のなまえ。さんまで名前。)によれば、そのまま、乗ってったらしいですが、 さんの神経制御がなければ、今鳥肌だらけでしたよ。」

きっしょいガキ事案と2人が後にネタにすることになるお話である。


「……どないしましょ。」

東京駅地下1階25~36番線コンコース。本日のお宿へ向かうために京葉線ホームへ向かっていたお二人でしたがその途中で、落とし物を見つける。前を歩く女性たちに声をかけるも違うとのことで、どうしましょうとなった。

「ホームに駅員さんがいるとは限りませんし、かといって、上の改札まで行くのめんどいんですよねぇ。」

「この人混みで改札までの300mを歩くのめんどいもんなぁ。あ。」

―女史の視線の先には『コイルズ東京駅八重洲改札内事務所移動第一出張所』の文字が書かれた幟を掲げた3人の男女。

―女史が拾ったものを3人組に渡すと戻ってきて、

「上の改札に届けといてくれるって。場所だけ確認されたから少し待とか。」

3人組に今たっている場所で拾ったと伝えると、―女史と―くんは京葉線で本日のお宿の最寄り駅へ。

「……あー。どしましょ。」

ホテルの客室に入ってぼやく―くん。

「この後 にいくっていってたじゃないですか。その際に合流する友人が、姉さんをちょっと嫌ってるっぽくって。あ、一応姉さんとも面識ある人です。」

「君の友人で私が実際会ったことあるってなると一人しか該当しない……いやほかにもあるか。でも思いつくのは君とリアルで最初にあったときに一緒にいた子やね。」

「その子です。…あ?」

オートロックの鍵がかかる音がしない。

ドアを開けようとすると、カードキーを当てずとも開く。

「ホテルの人呼んでくるわ。」

部屋を清掃したときの鍵設定変更忘れが原因で設定を変更し、無事オートロックがかかることを確認した2人。

対応してくれたホテルマンとフロント係の人たちに見送られて一旦のお出かけ。


ホテルの最寄り駅から上り電車に乗って2駅目で乗り換えのため下車。帝都地下鉄道の路線に乗り換え、十数分。秋葉原駅で降り、地上にたどり着いてくだんの友人に現在地を伝え、しばしのご歓談。

「やかましかぁ。」

何やら路上ライブを近くでやっているらしいのだが、音が反響しやすいデザインの屋根により、なかなかにうるさい。

「ぁあ?!やけ。ぁ?うん。ちゃーて。NRの秋葉原駅降りるやろ。昭和通り口改札っちゅうとこに向かえっちゅうとんの。電気街の方にはいくなよ。うちらおらへんから。」

何やらとんちんかんなやりとりを電話で繰り広げつつ十数分。

「まぁだぁかぁ。あやつぁ。」

ご歓談のネタも尽きて、なかなかの大音量に若干イライラし出した―くん。

「やーおまたせおまたせ。」

くだんの友人がNRの改札を抜けてやってきた。

「「お待たせやあらへんて。電話終わってから一体どれだけ待たせた思ってるんや。」」

ステレオで迫られちょっとタジタジ。

「え、だって、(某大手家電量販店)のがわっていうから。地下鉄の出口のそば行ってもいないし。」

「「中央改札いったん?それでいったん出たんか?あほか。」昭和通り改札っちゅうていったべ。」

またもステレオである。

「ごめん、いってたんだね。最近記憶力がおじいちゃんでさ。」

「もうよか。」

3人は山手線に乗る。

「君が言った地下鉄って、NR線だからね。筑波線。で、新居はどう。ネットは引けた?―はやめとき。あれ使ってるでしょP2P。制限きっついよ。」

「へぇ。」


池袋駅

「どっち?!」

改札口を出て、目的地の方向を認識できないでいる、3人。

「てか、本当に何のお祭りなん。」

―くんにとって、お祭りぐらいでしか、これほどの人の密集を体感することはなかった。

「こっちやて。ほいらいくよ。」

―女史が―くんが肩から提げたショルダーポーチのひもを持って歩き出す。

数分後

「あっさりついたのはいいんだけどね、同じ建物に大人の…え、姉さん後で行ってみたいんです?」

3人の目的地は、ねえ、―くんさぁこの店長野にもあるでしょ。しかもあーた月一どころか2週間ごとにいってるじゃない。

「そこにあるのが悪い。というか、ちょうど月末だったので。」

まあ私も元になった店には月一で通っていたので人のことはいえないんですが。

まあそんなお店で腹を満たした3人、―女史が興味を示した同じ建物の地下にある、大人のおもちゃなお店に行くかと思いきや、アキバにもっと大きいのがあると言う―くんの友人からの言葉にそれは取りやめに。

そのかわり、じゃあどうするか。これで解散は味気ないねということで、少し考えた結果、そういえば池袋といえば―くんにとって一番身近なアニメショップの本店があることで有名。

「おぉー。これがマテの本店ですか。」

「なんや、マテって。」

「マテをローマ字表記にすればいいだけなので深く突っ込まんといてください。」

そういうことである。

そのまま店内をぶらぶらしていた3人だが店員の閉店を知らせる声で慌てて退店。その間池袋をぶらぶらしつつ、群馬発祥の家電量販店前にて。

「そういや、テックランドははいったことあるけどさ、ラビはまだないなぁ。姉さんは両方ありそう。」

「ん~?私はどっちかっていうと新宿のカメラ屋の方が多いかなぁ。」

店内に入って、少し歩いて―くん一言。

「ひっろいのねぇー。」

―くんの地元にあるお店と比べてフロア面積が1.2倍あると感じられた上、地上5階地下1階の売り場を持つため、

「あら、おっきいのねぇ。」

となりまして、地下に降りた後閉店時刻。

その後あっさりと、池袋駅から山手線に乗って東京駅で解散となりました。


翌日最終の新幹線で帰ってきたところ、

「大丈夫?」

長野駅乗り換え改札手前でぐっこけて、危うく在来線終電に乗り遅れそうになるというトラブルがあったものの、無事帰宅して解散した。

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