だからなんでこの人フットワーク軽いのよ
「―くん、このドラマってさ。」
「予約はばっちりです。」
「やっぱりか。」
とある小説投稿サイトに掲載されたweb小説。―くんお気に入りのその物語は、―くんと感性がまるっきり一緒な、神子さんのお気に入りとなり神子さん率いる3Cの手により出版された。
売り上げは他の企業であれば、一巻打ち切りというお世辞にも成功とはいえないレベルであったが、そこは妖怪金出させろの一つ。よし、散財の時間だと、大々的に宣伝を打った。
原作となる某投稿サイトへの掲載版が礼輪2年春に完結しその半年後に追っかけで書籍版も完結。
そして、最終巻が発売される際の帯に「礼輪3年1月ドラマ化決定!?」と。
これは作者にも一切連絡していなかったことらしく、作者、驚いて3Cに電凸。返ってきた答えは答えではなく、
『あ、主演誰がいいとかありますか?』
である。
妖怪金出させろ、金をつぎ込めるとあらばとりあえず人の話を聞かない。
「第一話先行で見せてもらったけど、ちょっと展開が読めないわ。」
「うらやましー。とはいえ、あれ序盤のざまぁ的展開が終わってからが本番ですからね。」
さすが妖怪金出させろ。実はドラマ撮影は素っ頓狂集団の頭目どもに見せるためという名目で、第1巻目の刊行直後から行っており、作者から来た電凸への対応時の作者からの主演希望でお任せの言質を取ったため、撮りだめた物の編集を開始した次第。
とはいえ、週一放送で礼輪3年まるっとかかる大作である。脚本家には原作の内容、進行、雰囲気人物像には一切手を加えてはならないと、強い圧力がかかり、総制作費は5千億円にも上るとの噂。
まこと、阿呆の極みであるが、総合演出曰く、
「最初、予定予算は530億程度で企画書あげたんです。そしたら、少なすぎるって言って、財務部から帰ってきたのが投入予定予算10兆6千億って。そんなに使い切れませんていって半分まで下げてもらったんですが、結局この金額に収まったためにもっと使ってよかったのにって財務部じゃなくてLSN-LMS-LFBから軽いお小言もらっちゃいました。」
とのこと。
基本的にFIB製作の番組はスポンサーが妖怪金出させろばかりなので、制作費はなるたけ少なく。ではなく使えるだけ使え。そして上手にまとめろになる。
さて、このドラマのクレジットに長野市と、その隣町である須坂市が撮影協力としてかかれている。長野市は、上から下から、それはもう、ノリッノリで協力しまくった。FIBの現地法人である、LSN-FIS-FIB-NNBSから話を持ちかけられた長野市は、市長、市役所、職員が一丸となってGOサインを出した。隣の須坂市は、隣の長野市や小布施町、千曲市が、全国的に知られる観光地を抱えているのに、自市は比較的知名度がと悩んでいたところが妖怪金出させろ傘下の広告代理店が、超強力バックアップでPRすると言うことでこれまたノリンノリンで撮影に協力した。
作中に登場する良くも悪くもとがりまくった集団を集めた学級の仲間たち。その一人として、愛嬌のある顔つきが評判のダンスキレッキレ若手俳優が、登場した上で、素っ頓狂集団の頭目どもがやりやがった。
「あの人たちもよーやるわー。」
「なにしたん?」
某お得にイタリアンが楽しめるファミレスで、ピザだのパスタだのをモキュモキュしている―女史たち。
「例のドラマ実はすでに全話放送分できあがっているそうなんですけど、それをよりにもよって、皇居で陛下たちにお目にかけたせいで侍従長含めて、皆さん持ち込んだ遥夢さんも含めて、笑いすぎて、腹痛起こした上に呼吸困難になっちゃったそうです。」
「なにやってはるのあの人たち。自滅してはるやないの。」
「ちなみその後なんでかこっちに、東条さんから苦情の電話が来まして、こっちが詳細を知りたいって返しましたよ。」
「そーやろーなー。」
素っ頓狂集団関係では苦労人になる―くんでした。
その数時間後。
「なんで、いきなり、本部へ出頭なんじゃ。」
「つべこべ言う暇有ったら席探す。」
「姉さんなして手ぶらなのに、荷物持ってる私より部屋つくの遅いんです?って、なんでもう、早速買ってますか。」
―くんが合流後、荷物をさっと持って行ってしまうので手ぶらになってしまった―女史は大型旅客航宙船に搭乗後、先を行く―くんを見失わないようにしながら、売店でお酒だのお菓子だのをたくさん買い込んでいた。
これから2人一応の所属先が本社を置く地へと向かうことになるがその様子は別のお話で。
さて、2013年にえらい人たちの間で、とある漫画が、アニメ化した物と合わせて大流行した結果、観光客向けの案内にも男女共同参画をと動いて、実際の案内業者にも大流行しちゃった長靴半島の太もも付け根にある魚型の世界的に有名な水の都。
その水の都において、2022年の12月頭に長靴半島を治めるイタリア王国のヴェネト州州知事がとある発表を行った。
「5年後のヴェネツィア夏季オリンピック(2028年開催。2022年の会見だが、もう年の瀬なので、2023年扱いでの発表だから5年後でいいよねとなったらしい。)を目標としてヴェネツィアのリード島東沖合に大規模な宇宙港を建設する。」
宇宙港の名称は、地元ヴェネツィア出身で東方見聞録を記した、マルコポーロから取りヴェネツィア=マルコポーロ国際宇宙港とされることが同時に発表された。
欧州では英国のヒースロー国際宇宙港、フランスのシャルル・ド・ゴール国際宇宙港に次ぐ3つめ。世界的に見て、日本の新帝都国際宇宙港、関西国際宇宙港、レイテ国際宇宙港群、ムーのヒラニプラ国際港、インカ=アステカ連合帝国のナスカ国際宇宙港に次いで、8つめとなる。
ちなみにレイテ国際宇宙港群を除いて、各宇宙港はどんなに遠くても、月の静かの海市までである。全便かならず日本本土上空の超高空に浮かぶ巨大軌道都市である高天原を経由する。
レイテ国際宇宙港群は、高天原を経由した後、木星の大赤斑下に置かれた跳躍ゲートを介し、外宇宙や、他世界へと飛んでいく。素っ頓狂集団の首都へも航路が設定されている。
これらの航路は全て、日本航空か全日空、ムー帝立航空かインカ航空が運航する体をとっているが、ムー帝立航空は日本航空のインカ航空は全日空の機材と人員を借りて運航している。(手数料を支払い、日本航空、全日空に自社の名前で運航してもらい、売り上げから手数料を引いた分を受け取っている。)
まあ、そんな日本の宇宙開発事情はおいといて(一応メインの舞台は日本なのでおいといていいわけじゃぁないけど話の本筋とは違う。)
「姉さん、姉さん、ヴェネツィアですよ。」
「興奮しとるなぁ。」
下手に―女史と一緒にしておくと、このように興奮して、使い物にならなくなる―くん。
2人はなぜか、いま、ヴェネツィアのサンマルコ広場に居た。
「して、私らなして、ヴェネツィアに居るんでしょう?」
「しるか!。」
「相変わらず仲がいいですねぇ。」
「「ぅわ!」」
素っ頓狂集団の首領、遥夢さん、にっこにこで二人の後ろに立っていた。
「とりあえず、駅へ行きましょう。」
ヴェネツィア=サンタ・ルチア駅発ロンドン、セント・パンクラス駅行きフレッチャロッサ号車内
「こうして、寝てるとかわいい顔してるんやけど、起きてるとなぁ。」
「ちなみに、神子曰くあの二人をこっちに飛ばそうとして、間違えてお二人を連れてきちゃったそうですよ。」
呆れて怒るに怒れない―女史。
この段落上の宇宙港関連のネタでネタ切れになりましたのでおしまい。
―くんが、ブックマークした某有名なweb小説投稿サイトに有る小説を片っ端からドラマ化しまくり始めた妖怪金出させろ。
そのドラマたちに片っ端からキャスティングされている、北海道出身の俳優5名。
冒頭の話題に上ったドラマにも妖怪金出させろの手で若返りも含めたメイクを受け、しっかりと要所要所に登場して居る。
5人組のリーダーで有り最も年上 の声の大きな彼は主人公によく関わるバンドグループの一人に。
北の黄色いあんちくしょうのなかみである彼は、若返りを施され着ぐるみを着ると急にアグレッシブになる青年に。かと思えば元の姿で上のバンドグループ紅一点の父親に。
メンバーで最も遅く結婚した遅刻常習犯は主人公が通う学園の生徒会長に。
皆さんご存じもじゃっけスーパースターは、バンドグループのメンバーたちもまとめられている、奇妙奇天烈摩訶不思議な一芸に秀でた者たちの司令塔役に。
末っ子の彼は、これまた若返りを施され、主人公と同じ価格の同窓生の弟と、元の姿で主人公の護衛に。
そして、彼ら5人が所属する事務所の会長は軽い若返りを施され、主人公が通う学園の学園長になったり、元の姿で、先輩護衛をやっていたりする。
他にも主人公は、設定上の体格をベースとして、キャスティングした。
大物俳優、女優が勢揃いで、中には、有名歌手なんかもいた。
「そういえば、(某遠い宇宙の連邦国家になんでか加盟した日本のお話。主人公のオッサンの名字がとある女性タレントと一緒。史実では書籍化の際のイラストが某お船をコレクションするブラウザゲームのイラストレーターの一人と言うことで話題になった。)の主演が伊東さんに決まったそうですよ。個人的には伊東さんというと博雅が出てきて仕方ないんですよねぇ。」
「ああ。野村清明の。あれははまりやくやったなぁ。そういえば、原作そのままにドラマ化するっていう話きいたんやけど。」
「あー。有りましたねぇ。確か今撮影中だったかと。1編10分で、1時間で1巻分だそうです。」
それを聞いてちょっとわくわくな―女史でした。
素っ頓狂集団の頭目ども曰く、
「web小説の中には映像化の際、下手にアニメ化せず、一気にドラマ化した方が面白いという物がごまんとある。
特に現実世界を元にした物、舞台にした物。所謂日常物や、現代SF物、ローファンタジーと言われる物が該当する。これらは、コミカライズや、アニメ化を経る前にドラマ化した方が面白い。
一部のファンタジー物も内政メイン。特に建物内の描写が多い物はドラマ化した方がいい場合もある。
特に礼輪2年10月から~3年1月の間に始まったアニメ化作品の4割ほどが、実はドラマ化が向いているといえる。」
らしい。
そういえば、礼輪3年4月から上記の長靴の国で大流行しちゃった漫画をドラマ化というニュースが流れた。
これまたキャストは見た目と、キャラクターの特徴両方から徹底的に突き詰められ、予告映像が公開されたときにはファンが、涙を流して喜んだとか。
公開されたキャストの中に主題歌(OPテーマ)がアニメ化時と同じ声優が担当すると後、ファンの興奮はマックスとなった。
そして、現在も、ヴェネツィア、高天原で鋭意撮影継続中というニュースを見たファンは続々とイタリアへ押しかけた。
どこぞの素っ頓狂集団が英仏でやらかしまくった影響が伝播し、ふっつうに日本語が通じる水の都ヴェネツィア。
10年前から増え始めた、女性ゴンドリエーレ(ただいま当該ドラマ撮影のため本物か、ドラマのキャストかがわかりづらい。)の澄み渡る歌声と、本家ゴンドリエーレの安定感100%なカンツォーネ。その両方を堪能した、原作漫画のファンたちはヴェネツィアでたくさんお買い物をして帰る。そのせいで、さらに日本語が街にあふれかえるという循環が生まれ、また、東京や、大阪と言った日本本土の大都市からヴェネツィアまで、最短一階の乗り換えでいけてしまう(東京発モスクワ、ウィーン、ベルン、パリ経由ロンドン、セント・パンクラス行という長距離国際高速列車がある。ベルンかパリで乗り換えヴェネツィア行きの列車に乗ればいい。)手軽さから、さらに観光客が押し寄せ、ヴェネト州の日本びいきが加速しだしていた。