だからってなんで連れてきた
2023年新年明けましておめでとうございます。。
以上
「はぁ?」
突然だが、この冒頭に登場する一組の男女、主要人物というか、この物語においては、主人公格であるがあくまでこの物語の主人公は別にしているので、ナレーター的立ち位置というか皆さんと同じ、この世界を観察する役目をやってもらっている。そんな立ち位置なので、あえて、この物語では名前を秘し、―君と―女史と表記する。
―くんの手元には「礼輪2年度海上自衛隊定例観艦式甲種招待状」と書かれた紙が二枚。
「海自の観艦式なんやろ。差出人は?」
「東条さんです。」
「あの御仁も何を考えてはるんやろ。私らただの一般人や。それに対して、各国の首脳級に対して送る甲種招待状を送ってくるなんて。」
2人がいるのはとある大きな一軒家のリビング。
2人と皆さんご存じ我らが素っ頓狂集団はこの家のことを1号隠れ家と呼んでいる。
「えーっと。これ、封筒が2枚ありまして、私と姉御の分が一つと、管理人さんと、○の分が一つですね。」
○はこの隠れ家を利用しているもう一人だが、あまり登場頻度は高くない。
「それで、その東条さんからきたやつ、そこにあるでかい封筒にはいっとったんやろうけど、…は?「蒼藍星間連邦王国基軍近衛軍連合艦隊第一師団艦隊第01弦楽師団第101交響弦楽大隊旗艦第1管弦楽中隊」…え?軍楽隊やないの?」
「あー。神子さんの解説が入ってました。『蒼藍王国軍の軍楽隊は、行進するフルオーケストラなので、軍楽隊では無く弦楽隊と呼んでいます。また、今回同封した10枚の招待状の送り主である基軍の近連一師01弦楽師団は、名前の通り120億名規模の師団であり王国最大のマーチングフルオーケストラです。今回の観艦式にも参加しますので是非お楽しみください。』はぁ~地球の総人口より多いじゃん。」
120億名規模で思考が止まってしまっているが、今回参加するのは招待状の発送者である、第1管弦楽中隊の中でも最精鋭の艦橋第1分小班256名である。
彼らは通常の軍楽活動の他、SCUK軍楽交響管弦楽団の名義も持ち、月に一回王国の首都にあるホールでコンサートを行っている。開催地であるホールの収容人数が数十万人規模(50万人は軽く超える)にも関わらず、そのチケットは発売からわずか数秒で完売するほどで有り、世界で一番生演奏を聴くのが難しい楽団とも言われている。
そんな分小班属する第01弦楽師団は10年に一度10日間だけ一堂に会して、演奏を行う。
とはいえ、観艦式の描写なんて、実際に参加したこと無いのに書けるわけも無いのですっ飛ばす。
この2人元々は何も知らないずぶの一般ピーポーであったが、あの銀色民族衣装と怪力弩天然の2人が、思いつきで日本全体に一定レベルの血縁が居ないか調べたら、素っ頓狂集団の頭目どもにとってなじみ深い2つの自治体に住む男女2人がヒットしちゃった関係で、頭目どもの暇つぶしにつきあわされる形でいろいろとやる羽目になっちゃったという。
そして。
「あー。今月後5桁は使わないと口座凍結だ。」
「君はまだ5桁だからええよ。何かしらパソコンのパーツを買えば済むんやから。私はあと7桁や。なんや。車でも買い換えろっていうんか?」
頭目どもに気に入られた結果、お給料と称して、毎月莫大な量のお金が振り込まれ、ある程度使わないと、口座がパンクするという日本政府と同じ悩みを抱えてしまった。
「そういえば、君、車どうしたん?最近見ないけど。」
「あー。試験改造名目で、接収されました。来週返ってきます。…そだ。姉さん。明日北海道行こ思ってるんですけん、一緒にどです?」
―くん、―女史のことは姉さんか姉御と呼ぶ。互いに互いの名前は知っているがあえて避けている節もある。2人にその気は無かったが―女史が虫除けのつもりで、頭目どもに相談の上で行った行政手続き上でどこぞの素っ頓狂集団が事務手続きをミスり、手続の取り扱い上取り消せない物とされていたため、まあそういう関係になってしまったとだけ言っておく。
―くん、たまたま素っ頓狂集団の大使館から徒歩圏内に住んでいたことも有り、いろいろとお願いされる。
まあ、お願いの内容は、どこそこへ旅行行ってお土産よろしくだの、電車乗らない?だの、このパーツ使ってみてくれだのといった、―くんの好きなことに沿ってしかもタイミングを見計らったかのように行ってくるので、喜んでやってたら、いつの間にかそれがお仕事になってお給料が入ってくるようになっていた。
その報酬の一つが活動拠点としても使える隠れ家と称する拠点で有り、本州の一番ぶっとい3分の1の地域にいくつか存在している。
先述の一号隠れ家は住所で言えば、東京都吉祥寺市某所。他にもたくさんあるが、それは追々。
そんな―くんの愛車はTOYODAのALTA平盛31年モデルであるが、9月頃から10月いっぱいにかけて、素っ頓狂集団にいろいろと改造され、ハイブリッド車から、自衛隊の艦艇に使用されている物と同じタイプのエンジンを積んだ、超低燃費車両に生まれ変わったわけで、その燃費はガソリン換算で360km/Lともとの十倍に。だけど改造した妖怪金出させろ曰く、「本当は、宙軍の駆逐艦に設定された標準巡航距離まで巡航余裕で追従出来るところまで持って行きたかったんだけどさ、それだと車検に通らなかったからこれで。」とのこと。
その車検を担当した国土交通省関東信越運輸局長野支局曰く「桁がおかしかったので最初は通さなかったけど、何回も再申請してくるんだよ。再申請後も何回もテストしたけど何回やってもカタログスペックを実スペックが大幅に超えてて、計測機械が全部計測不能になっちゃったから実際に走らせて見せたけど、運転手が値を上げたもんでしょーかなく通したよ。でもこんなの絶対おかしいよ。(意訳)」であった。ちなみにエンジンの仕様は素っ頓狂集団の所管であるが、その仕様に関してGOサインを出した、蒼藍王国地官国土省運輸総局大保法対象国担当東条日本総合運輸局関東北陸信越運輸部はいいぞもっとやれといつも通りだったそうな。
「なんぞ?」
あ、最初にお伝えしますと、このナレーションに対して登場人物は積極的に絡んできます。
「さいしょじゃねーじゃん。」
そこは許して。タイミングってやつで。
「まあそれはおいといて、姉さん、これどうしましょ。」
またもや一通の招待状を出す―くん。
「ほんまにあの御仁は何考えてはるのやら。」
―くんの出した招待状はホームパーティへの招待状なのだが、
「なんで差出人の住所が某宮家のお屋敷なん?」
「あれ?姉さんに言ってませんでしたっけ?東条さん、転生後、血統を調べたら男系で東久邇宮を。女系で東条家を次ぐ由緒正しいお家なんです。」
「へ?」
「東条英機という名前と東久邇宮機仁親王っていう名前を持っていらっしゃるやんごとない方な上、高校時代にあの、今上陛下の妹君であらせられる相子内親王のハートを射止めて、平盛最後の十二月一日。内親王殿下のお誕生日に採納の儀をおすましになって、名実ともに今最も熱々のロイヤルカップルですよ。
だからいやなんですよ。私は。絶対、お偉いさんばっかですもん。ただ、絶対、あの人たちに道連れにされること確定だし、『これ(任○堂の据え置きにも携帯機にもなるあれ)をもってこい。狩るぞ。』って書いてあるんですよ。」
2人は東条氏とかなり親しい友人であり、―くんに至っては、素っ頓狂集団の頭目どもに引きずられた結果であるが、相子内親王と何度も会っている。
まあ、そのたびにがっちがちでほぼ記憶に残っていないのだが。
「仕方なかろ。直宮ぞ。今上陛下の妹君ぞ。尊皇精神あふるる日本人が直宮殿下に会って緊張しない方がおかしいって。」
東条さんは?
「あの人はもうあきらめた、距離感おかしい。」
「最近の為替すごいねぇ。」
「あーかなりの円安になってるってやつですか。確か一円二十ドルだったのが、一円五ドルにまで変わってるって言ってましたね。」
東条日本世界のコアカレンシー。つまり国際基軸通貨は五百年前から円となっている。
通常円の外国為替は対ドルが1円=40~50ドル。ポンド、ユーロが1円=30~20ポンド/ユーロ。元が1円=90~100元となっており、現在日本語圏では、日本円を自国通貨としている。
ちなみに、どこぞの素っ頓狂集団が間に挟まると話が面倒になる。あの素っ頓狂集団、通常国通貨であるサフィルクルス(クルスはサフィルの補助通貨で基本使われない)は一般的には1サフィル=166万現地通貨の固定相場なのだが、対日本円に関しては、1=1変換という特例を採用しており、1サフィル=1円で取引される。一時期、これを悪用して、円をサフィルに変換し、それを元に換えて、その元をさらに日本円に換えるを繰り返すという阿呆をやらかしまくった中国の人たちが大量発生し、1=1変換を行えるのは、一定規模以上の企業か、空港の為替窓口において日本国籍を有する日本人で有り、上記の阿呆目的で無いと証明された個人に限られ、それ以外は対円でも1サフィル=166万円という固定相場が適用されることとなった。
現在は制限が解除されているがそれでも上記に関しては非常に厳しい。
「えー12時時点では1円あたり7ドル35セントから8ドル2セントで取引されていますね。って。あ、興味ない。こりゃ失礼しました。」
―女史、趣味兼お仕事のお絵かきしがてらのBGM代わりな会話だったらしい。
「おじゃましまーす。」
「「邪魔すんのやったら帰ってー。」」
「じゃあかえりまーす。ってそうじゃ無くて、彼女にうどんの買い方をレクチャーして欲しいんです。僕は体質の関係であそこきついので。」
素っ頓狂集団の頭目どもの親玉である、怪力弩天然(そういう描写が無いのはそこに居たる事柄を周りがうまく処理してるからと言うことで一つ。)が入ってきたが、関西の某新喜劇でよく見るやりとりをしつつ、おずおずと前に出された女性を見て、平伏する―くん
なにやら違和感を感じお絵かきを中断して振り向いた―女史。そのまま土下座している―くんの向いている方向に視線を移してすぐさまいすから飛び降りて同じく平伏した。
「なんで、内親王殿下がいらっしゃるんですか。東条さんは?」
「えー。防衛大学校の課題で王国軍統合士官学校への2ヶ月短期留学中です。」
さすがに直宮の前で、さらに上位の存在と対等な態度で話しづらいと―くんもじもじしていたところ、―女史が上着を渡し、
「何処に行けばいいです?」
「そうですねぇ。メニューの種類などを考えるとオレンジの方ですかね。可能なら都心部で。護衛の関係で。」
「じゃあ、交通の便を考えると警視庁最寄りだなぁ。」
直宮は恋人と一緒によくNRだの地下鉄だのに乗っているため、現役の表に出ている女性皇族の中で最も公共交通慣れしている。
「東京の店は初めてやんなぁ」
素が出かける―くん。
その後、いろいろとカモフラージュを重ねた上で吉祥寺駅からNRと東京地下鉄を乗り継いで虎ノ門駅に着いた一行。
遥夢さん最近味噌汁なら飲めるけど、まだすまし汁は無理なため、離脱。代わりにリンさんがやってきた。
「いらっしゃいませ。ご注文おきまりでしたらどうぞ。」
店員の元気な声が聞こえる。
「そこでお盆をとって、食べたいうどんを注文し、そのまま横移動しながら、天ぷらなどをとって会計後席に着く形です。ひとまず彼が実演します。」
実演と言ってもなぁ。
「ご注文おきまりですか?」
「釜玉大を一つ。」
基本的に―くんこのチェーンでは釜玉うどんの大サイズにとり天とレンコン天を取って会計というパターンしかしないのであまり参考になるかどうか。
ひとまず、リンさんも含めて無事4人がうどんやら天ぷらやらを購入して席に着いた。
「ごちそうさまでした。」
「あいっかわらず麵に関しては早いなぁ。」
内親王もぽかーんとするほどの早さで大盛り釜玉うどんを平らげた―くん。
「食べます?」
「そのつもりで三つも買ったんかい。」
「うんにゃ。単純にこれで1000円ぴったしになるから。ってだけ。」
「リンさん!なして、殿下ば連れてアキバきとーとですか?!」
小声で問う―くん。そうで無くても、アキバに居るはずの無い人がここに居ると言うだけで驚かれているが、すぐになれてしまうのが、アキバ上級者。
と言うのも平盛年間お盆と年末に行われるコミックバケット(通称コミケ)には2日目の午前中東館と、コスプレエリアに現在の上皇陛下と匠仁親王が出没しており、特に匠仁親王の毘盧遮那仏コスプレは宮内省謹製の大仏殿を模した屋根が有り、運営承認の元お賽銭箱が置かれていて、そこに入ったお金は某トッとちゃんを通じて世界の子供たちへの寄付となっていた。
それを知る参加者から話を聞いた者たちが、大勢居るのが、アキバという街なのだ。
そして、内親王も祖父と、父から聞いた、コミケとアキバに興味津々だった。
コミケは、
「あの御仁はもう。」
「どったん?」
「去年の冬コミで東条さんが前世のコスプレしてコスプレエリアで、なにやら書類夢想しまくったらしくて、その横で、当時の秘書さんのコスプレしつつ、直宮殿下と東条さんと一緒にコミケ満喫したから、今度はアキバに来たかったそうなんです。」
これにはいつも―くんの突飛な言動になれている―女史も遠い目をしつつ背後に宇宙を背負う。
「リンさん、メイド喫茶は我々遠慮します。」
「あれは私も長野のお店以外は行きません。
長野は王国時官が宮内省とLSNを通じて徹底的に教育し、修了した者が店主、および接客者でなければ、営業が認められません。
店内の見えるところに修了証とそれに基づく営業許可証の掲示が義務づけられていますから。もし無い場合、長野県の文化技能品質維持条例に基づいて監査が行われ、メイドの写真にくっつけて掲示してあるなどの、単純な掲示方法修正で済む場合は口頭注意。修了証自体が無く、受講実態が無い場合は条例違反で、即座に警察による風営法違反も含めた捜査に切り替わるほど厳密です。
こっちでやるところの所謂「萌え萌えキュン」などは、皆さんいかがなさいましたか?」
いきなり「萌え萌えキュン」だけ、所謂萌え声と呼ばれる声で実践されたため、―くんと―女史はずっこけ、内親王は固まってしまった。
まあ、想像してみて欲しい、地上波の6chで平日22時台に放送しているワイドショーの女性ナレーションが、ニュースを読み上げている途中でいきなり萌え声で一ワードだけ言うような感じだ。落ち着きある大人な女性という感じの声に聞き入っていたらいきなり萌え声ときた。しかも当人の声で。そりゃ、ずっこけなれているやつぁずっこける。
「と、とりあえず、なら何処行きますん?」
「以前―さん組みたいと言っていた構成が、此処なら最安値で提供しているお店があったと記憶しております。」
メイド喫茶に行く気は無いが、ずっこけ組がパソコンパーツを買い込んでいる間、隣の俗に言うホビーショップを案内したリンさん。数十分後、合流した内親王が保っているアニメキャラクターがでかでかと描かれたビニール袋の中には、なんでか旧海軍服を着た東条英機(正和16年の姿)のフィギュアと、宮内省承認の正和皇室史なる漫画(全6巻)が入っていた。宮内省承認正和皇室史を買った理由は、第2~4巻の表紙にでかでかと描かれた切れ長眼鏡の縁とスキンヘッドがきらりと光る名宰相東条英機を見ての衝動買いであった。
内親王殿下、学習院大学の4年生として、キャンパスライフを送る傍ら土壌学者として大変名が知られており、それに関連して純供グループのとある企業に属する在宅アルバイトを行い、自分が自由に使えるお金を手に入れておられた。
恋人である東条英機が、正和の名宰相東条英機の正真正銘生まれ変わるであることは知っており、その前世のかっこいい姿をかたどったフィギュアと漫画は絶対に買わなきゃならないと感じた。
この恋する乙女な内親王を見たアキバの住人たちは即座に優秀な護衛と化し、その波は短い時間でアキバ全体に広がった。
ほくほく顔で合流した時には内親王殿下にとって、アキバは皇居以上に気を緩められる街となっていた。
後年、東久邇宮家は屋敷を千代田区と台東区の境近くへ移し、その手厚いポップカルチャー保護の姿勢からアキバの守護宮様、と親しまれるようになり、秋葉原のパソコンパーツショップやポップカルチャーの店ではレジにカミソリの刃をつるしておくと家内安全、商売繁盛と言い伝えられるようになる。これは最低でも50年は先のお話。