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プロローグ
不思議なバスに乗って旅をしている。
運転士とバスガイドとわたくし達。時どき、お客さま。
世界中にある停留所を巡っている。
バスの中は穏やかで、外の人々のように死んだり、食べたり、眠ったりする必要はない。
でも、限られた車内でできることは少ない。
喋ったり、歌ったり、祈ったり、勉強したり。中でも一番の楽しみは、景色を眺めること。
時どき交わる人との 縁 を楽しみながら、長い時間を過ごしている。
当然、バスだから乗るひともいれば、降りる人もいる。
共に長い時を過ごしたひとと別れるのは寂しいけれど、新しいひととの出逢いも待っている。
わたくし達は輪り、巡る。
これは、バスで過ごすわたくし達の、ながい物語