表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/11

花連さんの英語指導②

「はーい。はうわうゆー?」


 今日の放課後も花連さんは僕の部屋に来るなりそう言った。


「それ始めの儀式みたいな感じなんですね」


「うんそう」


 その儀式の後にめっちゃ高度に英語教えてくれるのがびびる。


「じゃあ今日は物語系長文です!」


「も、物語……日本語の物語文読解も苦手なんですが……」


「大丈夫大丈夫。まずはお話を読んでいく感じで」


「はい」


 


 二十分後。


「大丈夫? お話の中入り込めてる?」


「いや、入り込めてませんね」


「もーなんで? 私パンツ見えてたりするの?」


「そんなことはないんですが、なんか別のこと考えそうになっちゃって」


「えー、なんでよ。そういう時は気分転換しかないわね。なんかおしゃべりしよう」


「あはい。おしゃべりですね」


「そう」


 花連さんはうんうんうーんと、うなずきつつ考えて、


「あ、そうだ。私がアメリカに行く前、恒成くんと付き合う寸前になってた子はどうしたの? ちっちゃい頃から仲良かったさー、確か……万理奈ちゃんっていう人!」


「あ、万理奈なら今同じ高校です」


「おお。付き合ってるの?」


「うーんと、微妙ですね。お互い好きだということはわかったんですけど……まだ幼馴染の関係を保っています」


「進んでないよお。それあんま進んでないよお」


 そう言った後、花連さんは少し大人びた微笑みを見せて、付け加えた。


「そうだ。もっと大きな気分転換として、万理奈ちゃんとデートにでも行ってきたら?」


「まじですか」


「そーだよ」


「え、でも、万理奈最近部活と勉強で忙しいんですよ。家庭教師もつけてるし」


「家庭教師つけてるの? その人男の人?」


「男ですね、めっちゃかっこいいですね」


「ははーん。やっぱ、改めて大きな気分転換に万理奈ちゃんとのデートをおすすめしとくわ」


 花連さんはそういうけどなあ。


 そんなのいきなり誘えるわけもないし。


 うーん。


 僕は悩みながら思った。


 今頃万理奈はどうしてるかなあ。


 僕は想像した。


 すごく楽しそうに家庭教師と勉強してそうだよな。


 映像が簡単に浮かぶよ。うん。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ