万理奈②
今日も放課後がやってきた。
今日は部活がないので、たっぷりと光樹さんに教えてもらえる。
だからやる気満々。
のはずだったんだけど……。
「少し集中できてない感じかな今日は」
「ごめんなさい」
「いやいやそういうこともあるよ。三日に一日くらいはそうなるよ」
「あ、はい」
「何か、部活のこととかで悩みとか? 部活頑張ってるみたいだし」
「いえ、部活の方は順調で……ただなんだか少し、勉強に気持ちが行かなくて」
私は正直な今の状況を光樹さんに伝えた。
「なるほど。それだったら、なんで勉強を頑張ってるかってことを思い出すといいと思うよ」
「あ、はい」
思い出さなくても頭に浮かぶ。
前に話した通りだ。
私が馬鹿ってなだけで恒成と離れ離れにはなりたくない。
光樹さんは話しやすい人なので、少し、光樹さんに私は勉強を頑張り始めた理由について話してみた。
「なるほど……。だったら、気分転換も大事だと思うな」
「気分転換……」
「そうだよ。その恒成くん? だっけ。とデートでも行ってきたら?」
「ででででっ、でっきませんそれは! 恒成も部活と勉強で精一杯なはずなので!」
自分でもこれは顔赤くなってんなあってわかるくらい焦っている。
「ま、とにかく気分転換は大事だよ。じゃ、やろうか」
「は、はい……」
私はすかすかの声しか出せなくなっていた。
今頃、恒成は何をしているのだろうか。
今日は恒成も部活ないはずだから、花連さんに英語教えてもらってるのだろうか。
花連さんと一緒にずっといたら、絶対意識するよねあんな美人なんだもん。
……ま、いいの今はそのことは。いいかげん勉強に頭切り替えるよ私。
私は理科の問題を解き始めた。
「これって……昨日やった問題と同じ解法ですか?」
「そう! よく気づいたね」
光樹さんが褒めてくれたので、なんとか私は勉強の方に気持ちを向けられた。