美少女だと信じてたのに。
「今日は、万理奈どんな予定?」
「えーとね、今日は私、かっこいい家庭教師に勉強教えてもらうんだ~ だから早く帰らないと」
「あ、そっか。勉強頑張れよ」
「うん」
幼馴染の万理奈と両想いだと分かってから一か月。
僕は幸せな毎日いちゃいちゃデートをする日々がやってくると思っていた。
しかし、実際はこんな感じだ。
いや、大学受験ももうあと一年で来るし、勉強するのはいいことだと思うよ。
けど、問題は幼馴染が家庭教師とすごく仲がよさそうだということだ。
しかも、かっこいいらしい。
いやー、困った。家庭教師をするくらいだから、頭もいいんだろうし。
従兄妹とか親戚の人じゃないかと期待してさりげなく聞いたら、そうではないって言っていた。
てことは恋に落ちる可能性大だよねこれ。
僕は心配だほんとに。
といいつつも、僕の中にはなんだかんだで楽観的な考えもあった。
そう、この流れは先が読める。
あれだよ。「かっこいい家庭教師」としか万理奈は言っていない。
つまり、かっこいい系の美少女であるという可能性が、残されている。
そうだな。きっとそんなんだろう。
僕は言い聞かせた。
きっとそんなかっこいい系の美少女に、デートの場所とかそんなこと聞いたりしてるかもしれない。
うんうん。つまり万理奈は僕とのデートを楽しむためにかっこいい美少女家庭教師と仲良くしているのだろう。
いや優しいな万理奈。
僕はそんなことを考えながら、下駄箱までついた。今日は部活もないので僕も早く下校する。
と、その時、僕は幼馴染のものすごい楽しそうな声がするのに気がついた。
そっちの方を見れば、すごいイケメンの男子大学生と、幼馴染がめっちゃ話していた。
あれ?
ん?
僕は、まさかと思い、声をかけてみた。
「万理奈」
「あ、恒成じゃん! あ、この人私の家庭教師なんだー! 優しいから迎えに来てくれたの」
「あ、そ、そうか。あ、やべ、ロッカーに忘れ物した、じゃあな」
「あ、そうなの?じゃあねー!」
僕はすごい勢いで忘れ物も何もないのにロッカーを目指した。
全然、美少女じゃなかったんですけど。
泣きそう。
お読みいただきありがとうございます。
作者の予定の都合で、2話以降は3月になってから投稿しますので、お待ちいただけると嬉しいです。