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93 夕食と装備制作依頼


 城の訓練場に下りた俺達は、騎士達に歓迎された。

 いや思いっきり囲まれたんだけどね。

 丁度ミゼル親衛隊が訓練していたらしく、知ってる顔がいっぱいだ。


「ナガマサさん! それにタマちゃんやおろし金も。パーティーに来られていたミルキーさんっすよね。急にどうしたんすか?」

「あ、出汁巻さん」

「出汁巻やっほー!」

「どうも」

「ちょっと北の方に狩りに行ってたんですけど、疲れてしまったからおろし金に乗って帰ってこようかと。それで城壁の手前で降りようと思ってたのが、ぼーっとしてたらいつの間にかここに到着してまして」

「あー、なるほど。突然ドラゴンっぽいのが飛んできたから、城の皆が驚いてるっすよ」

「申し訳ない」


 城の方からは騒がしい声が聞こえてくる。

 よく考えたら敵か何かだと思われても仕方がない。


 この間、敵対してる≪魔の者≫とかっていう連中の一人がここで暴れたわけだし。

 ちょっと無神経だったかもしれない。


「出汁巻玉子! 一体何が起きた! うん? ナガマサよ、どうしてここにいるのだ?」

「あ」

「パシオン様。さっき飛来した者の正体は、ナガマサさん達が乗ってたおろし金様だそうっす」

「ほほう。誰か、城の者に伝えて来い。守護竜様が羽を休めに来ただけだ、とな」

「はっ」


 パシオンの命令を受けて、一人の騎士が走って行く。

 おろし金を守護竜に就任させたつもりはないんだけど。


「父上や臣下共がおろし金に会わせろ、連れて来いと煩かったのだ。城を騒がせたのだからそれくらい付き合え」

「うっ……」

「これは断れないですね……」


 それを言われると弱い。

 迷惑をかけたのは事実だからな。

 ミルキーも同じようなことを思ってるようだ。


「飯は貴様達の分も用意してやるから諦めろ」

「分かったよ。ご相伴に預からせていただきます」

「うむ」


 承諾するとパシオンは満足そうに頷いた。

 今度は離れた場所に着地するようにお願いするのを忘れないようにしよう。

 

「キュルル」

「おーよしよし、お前は賢いな」


 おろし金がドラゴンモードのままパシオンに顔を近付けて短く鳴いた。

 多分挨拶したんだろう。

 それなりに顔見知りだからな。

 パシオンも寄せられた顔を撫でている。


「タマのペットだからね! すっごくつよくてやさしいんだよ!」

「うむ、その通りだな。ミゼルを守ってくれたことは、感謝してもしきれん」

「えっへん!」


 タマとも仲が良いようで何よりだ。


 その後は、王様が重鎮達を連れて現れた。

 揃っておろし金を拝んだ後に色んな肉や何かを捧げていた。

 ちなみに食べ物以外は扱いに困るからお断りした。

 王家の秘法とか捧げられてもほんとに困る。


 封印されたコインも、王家の方できちんと保管しておいてくださいと突き返した。

 もしもあれを食べさせたらどうなるんだろうか。

 ちょっとやってみたい気もするけど、やっぱり怖いのでやらない。

 同じようなコインを自力で入手して、持て余すようだったらおろし金に食べさせよう。


 なし崩し的に守護竜に就任させられたおろし金を崇めた後は、食事となった。

 気を遣ってくれたのか、そんなに広くない部屋で俺達に加えてミゼルとパシオン、そして出汁巻玉子と共に着席した。


 出汁巻玉子は普段パシオンやミゼルの前では必要以上に話さないが、今は就業時間外だとパシオンに言われて雑談の輪に加わっていた。

 妹が絡んでなければ割とまともなんだよな。

 ミゼルが話しかけてくる度に睨んでくるのはやめろ。


「ではな。ミゼルは忙しいから、用があるのならまず私のところへ来い。ミゼルへの食事の誘いは認めんぞ」

「今日はとても楽しかったです。是非またご一緒したいですわ」

「……二人きりでなければ認めよう」

「心配しなくていいよ。それじゃあ失礼します」


 そんな苦しそうな顔しなくても、二人きりでの食事に誘ったりなんてしない。

 半ば勢いとはいえミルキーとお付き合いしてるんだから。

 しかし誕生日プレゼントの件が何も進んでない。

 今日採れた素材で何か作れないか相談してみよう。


 城を出た後はマッスル☆タケダの露店へ向かった。

 今日拾ったアイテムの精算と装備制作の依頼の為だ。

 朝はいなかったが、今はしっかりと露店を出していた。


「こんばんは」

「こんばんまっする!」

「こんばんは」

「おう、よく来たな。こんばんマッスル!」

「まず今日拾った素材で装備の作成を依頼したいんですけど、いいですか?」

「勿論いいぜ。タマちゃんや王女様の鎧でレベルが随分上がったからな。ナガマサさん達の依頼なら大歓迎だ」

「ありがとうございます」


 依頼をしてタケダも喜んでくれるなら良かった。

 気軽に頼める。

 お金をきっちり払うといっても、無理矢理やらせるのは嫌だからな。


 拾ったアイテムはここに来る前にほとんど分配しておいたから、後は各自で売るなり素材にするなり自由だ。

 ミルキーと俺とで半々にしようと思ったが、タマの戦力分も合わせて三等分で話が決まった。

 俺としては半々で良い。

 しかし魔法耐性の高い相手で役に立たなかったからと、受け取りを拒否する勢いだった。

 これでもミルキーの取り分を増やした方な訳だ。


 ストレージからアイテムを取り出していく。

 今回メインで使うのは≪古代異界烏賊の皮≫二つと≪古代異界烏賊の牙≫、≪太古の結晶殻≫だ。

 後はサブ素材として≪太古の結晶片≫を山盛り。


 ≪古代異界烏賊≫の素材であるこれらは分配せずに、それぞれが欲しい装備の素材にするということで話をつけてある。

 これもミルキーに素材を受け取らせる為の作戦だ。


「この皮でミルキーのローブとブーツ、俺のインナーとズボンを。牙はミルキーの短剣の素材にしてください」

「こりゃまたすげぇ素材持ち込んできたな。レア度がSランクだぞ」

「ははは。それで、この結晶殻で小盾を二つと、後はさっきの皮と合わせて格闘に使えそうな俺のブーツをお願いしたいんですが。結晶片は好きに使って大丈夫です」

「ふむ、結構な量だが問題ない。俺の全力をかけて作ってやるぜ」

「ありがとうございます」


 素材をタケダに引き渡した。

 各自に分配した素材も、必要のないものは売却して制作費用から引いてもらう。

 今回は≪古代異界烏賊の吸盤≫を全て売り払ったから足は出なかった。

 ゲソだけに?

 出た方がぽかったかもしれない。

 ゲソだけに。

 だめだ、やめよう。


 

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