表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

95/407

92 無限再生とタコ

本日4回目の投稿です


 もう一回倒してみた。

 それでもさっきと同じで、少しすると体力満タンで復活してくる。

 嫌がらせか?

 嫌がらせだな。

 間違いない。


 三度目の正直。

 もうすっかり慣れたもので、どんどん攻撃を入れて行く。

 タマの動きが速すぎてやばい。


「とりゃー!」


 タマはこいつが気に入ったらしい。

 他の敵だとほぼ一撃で弾け飛んじゃうしな。

 強すぎるのも、人によってはつまらなくなってしまうようだ。

 この世界をのんびり楽しみながら人生を謳歌する予定の俺は、いくら強くなっても構わないんだけど。


 しかしこの烏賊、いつか見た怪獣映画みたいな大暴れっぷりだ。

 それを余裕で相手してるタマがすごい。

 俺もスペック的には出来るんだろうけど出来る気がしない。

 なんか怖いし。


「キュルル!」


 本体のHPが残り1割程度になったところで援軍が到着した。

 おろし金だ。

 おろし金にはこのダンジョンの入り口近くからここまでの、触手が通るトンネルを探してもらっていた。

 このエリアの触手は謎の直立移動をしてたけど、前のエリアでは穴を這ってたからあるかもと思ったんだ。


「おろし金、ありがとう。お疲れ様」

「タマの勝ちー!」


 おろし金を撫でていると、貝を背負った烏賊の巨体が崩れ落ちた。

 現れた六色の竜がビームみたいになって放たれていた。

 派手だ。

 威力もそれなりにあるはずだけど、この≪古代異界烏賊≫は魔法を弾くからダメージはないんじゃないのか?

 多分≪裂空指弾≫を使ってるな。

 

 ……この烏賊の名前すごく言いづらいんだけどなんとかならないのか。


 そんなことより、参ったな。

 とりあえず倒してもらったけど何も分かってない。

 このままだとまた復活するだけのような気がする。


「キュルッ!」

「おろし金?」


 おろし金がドラゴンモードになって、≪古代異界烏賊≫の死体の方へ猛スピードで飛んでいく。

 急にどうしたんだ?

 低空飛行で突っ込んでいったおろし金が旋回して戻ってくる。

 その勢いのまま、咥えていた何かを地面に叩きつけた。


 それは、見た目は普通のタコだった。

 大きさは俺の頭くらい。

 赤いアイコンと名前が表示されている。

 モンスターのようだ。


 名前は≪貝烏賊飯蛸カイイカイイダコ≫。

 そいつは逃げようと動き出した。


「タマすとらいくー!」


 六体の竜を拳に重ねたタマが、タコを思い切りぶん殴った。

 そんなに丈夫じゃなかったようで一瞬で砕け散った。

 流石タマ、容赦がない。


 そしてタマの頭上にMVPの文字が躍り出た。

 え、今のタコで何故MVP?


「ナガマサさん、もしかして……」

「マジか。でも、もう少しだけ様子を見よう」


 ≪古代異界烏賊≫の死体はさっきまでと違って消えてしまっていた。

 時間も復活する程度の時間は過ぎている。

 間違いなさそうだ。


 結論から言って、あのタコが本体の本体、本当の本体だった。

 どうやらあのタコの取り巻きが、あの烏賊だったらしい。

 烏賊を倒すと本体であるタコが露出するが必死に隠れていたお陰で気付かなかったようだ。


 そして烏賊と同じように二十秒程で、取り巻きの烏賊を再召喚することで復活すると。

 新しく現れるんじゃなくてわざわざ復活させる表現なのは、気付かせにくくする為なんじゃないかと思う。


 気付けて良かった。

 おろし金GJ!

 本当のMVPはおろし金だ。


「よーしよしよしよし! えらいぞおろし金ー!」

「キュルル」


 タマも全力で褒めているし、おろし金もご満悦だ。


 ドロップアイテムはいくつかあった。

 ≪古代異界烏賊の皮≫×2、≪古代異界烏賊の牙≫、≪古の結晶殻≫だ。

 どれもキラキラ光ってて綺麗だ。

 マッスル☆タケダにお願いして装備にするのが楽しみだ。


「まさか本体が別にいるパターンなんて思いませんでした」

「そうだね。おろし金が気付かなかったら倒せなくて撤退してたかも」

「かもしれないですね」


 俺もいっぱい褒めてやろう。

 よしよし、えらいぞおろし金。


「もう17時か。今日はそろそろ帰ろう」

「はーい」


 色々あってこんな時間になってしまった。

 一体どのくらい洞窟にいたんだろうか。

 早く脱出しよう。

 おろし金に出口に繋がる穴を探してもらっておいて良かった。


 足が空けたであろう穴を通って、入口の近くへとやってきた。

 ≪輝きの大空洞01≫にどんなモンスターがいるかまだ知らないけど、今日はこのまま帰ろう。

 またその内来るだろうからな。

 ここは色々と稼ぎが良さそうだ。


 洞窟を出ると、そこは俺達が落ちた場所のあるエリアだった。

 ダンジョンの広さを考えると、入口は隣のエリアでもおかしくなかったと思うんだけど、どうなんだろうか。

 まぁゲームだし、その辺りは見た目通りじゃないか。

 建物も外観と中身で広さ違ってた気がするし。


 すっかり夕暮れだ。

 夜のマップをゆっくり探索するのもいいけど、今日は疲れた。

 ミルキーとタマに許可をもらって、おろし金の背中に乗って飛んで帰ることにした。


 ドラゴンモードになったおろし金の背中は結構広い。

 その名の由来の通りトゲトゲザラザラするから、すりおろされないよう注意して文字通り飛んで帰った。


 おろし金が着地した場所が城の訓練場だったのは、ちょっとした愛嬌で許されるだろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作始めましたので、こちらもよろしくお願いします!
友人に騙されたお陰でラスボスを魅了しちゃいました!~友人に裏切られた後、ラスボス系褐色美少女のお嫁さんとして幸せな日々を過ごす私が【真のラスボス】と呼ばれるまで~
面白いと感じたら、以下のバナーをクリックして頂けるととても有難いです。 その一クリックが書籍化へと繋がります! ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ