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88 合流と宝石拾い


「それじゃあ行こう」

「は、はい」

「大丈夫。空中を蹴りながら少しずつ降りるよ」


 俺も少し怖いけど、大丈夫。

 優秀なスキルがあるからな。

 真っ直ぐ下に伸びる穴に向けてジャンプ。そのまま飛び降りる。


 ミルキーにも言った通り、少し降りるごとに空中を蹴ってゆっくり降りて行く。

 一気に落ちても多分死なないだろうけど、何がいるか分からないしやめておく。

 たまに下に火弾を撃って何かないか確認する。

 明かりにもショットガンにもなるなんて、魔法は便利だ。


 そんなに経たずに穴を抜けた。

 何故か明るい。


 地面は多分5mくらい下に見えるが、大きな空間に出たらしい。

 地面や壁に結晶のようなものが生えていて、薄らと光っている。

 ここは松明がなくても十分明るいようだ。

 地面に降り立つと、ミルキーもすぐに隣へ着地した。


「すごい光景だね」

「はい、すごく綺麗です」


 確かに綺麗だ。

 モンスターのいるような場所じゃなければ人気の観光地になるだろう。

 エリア名は≪輝きの大空洞02≫となっている。

 多分ここはダンジョンだな。


 触手の姿はない。

 狩り尽くしてしまったんだろうか。


 うーん、ここでの狩りを楽しみたいところではある。

 でも逸れてしまったタマ達との合流が先だな。

 触手がいないならまた出直して来ればいい。


「さっきの穴から別のダンジョンに来ちゃったみたいだけど、脱出してタマ達と合流しようと思う。それでも良い?」

「はい、私は大丈夫です」


 それじゃあ方針も決まったことだし出口を探そう。

 さっき上から見渡した感じだと結構広い。

 横幅は10mくらいあって、うねりながら前後に伸びている。

 だからどっちかは出口方向だと思うんだけど、どっちにするか。


「じゃあこっちに――!?」

「えっ!? い、今のなんですか!?」


 進む方向を決めようと思った瞬間、ズドーンって感じの大きな音がした。

 振動もそれなりに伝わってきた。

 今の感じは上か!?

 ズギャギャギャギャギャゴリゴリゴリゴリゴリ! みたいな音がさっき通った穴の方から響いてくる。

 何かが出てこようとしてるのか?


「とりあえず離れよう!」

「はい!」


 ミルキーと一緒に穴から離れる。

 何が出てきてもいいように右手で剣を構えて、左手は穴に向けてある。


 穴から銀色に輝く物体が飛び出してきて、そのまま地面に衝突した。

 今のは――。


「モジャモジャー! 会いたかったよー!」

「キュルル!」


 タマだった。

 正確にはタマが跨ったおろし金。

 地面に衝突して発生した土煙の中から飛び出してきた一人と一匹は勢いよく俺に飛びついて来た。

 やっぱり相当心配させてしまったらしい。

 タマなんて半泣きだ。

 飛びつかれた衝撃で地面に叩きつけられたが、文句を言える立場でもない。


「よしよし、心配かけて悪かったな。だから泣くな」

「モジャモジャー……」

「よしよし」


 それにしてもよくここが分かったな。

 落ち着くのを待ってから、詳しく話を聞いてみた。


 タマは俺達の気配が消えたことを素早く察知して、探してくれていた。

 そしてあの落ちた場所まで辿り着いたはいいが、そこからの痕跡が全く見つからなかった。

 しばらく途方にくれたが、突然閃いて地面を全力で攻撃したら穴が空いて、俺達の落ちたあの場所に辿り着いたらしい。


 なんとあの触手が現れたがタマとおろし金に敵うわけもなく、簡単に蹴散らして全速力で匂いのする方へ飛んできたそうだ。

 こんなに心配してくれるなんていい相棒を持った。


 ああ、おろし金もありがとうな。

 よしよし。

 そうだ、ちょっとおろし金には頼みごとをしておこう。


「モジャはタマが守る!」

「おう、頼んだぞ」

「モジャー!」


 タマがいつになく張り切っている。

 タマ達と合流出来たし、触手もまだいる。

 となればすることは一つ。


「触手狩りだー!」

「だー!」

「だ、だー?」


 あの触手共め、もういなくなったと思ったら、俺達を怖がって出てこなくなっただけか!

 今度こそ狩り尽くしてやる!


 もしかしてあの穴も触手の仕業じゃないだろうな。

 有り得る。


 あの穴に落ちてきた獲物を、触手で襲って養分にする感じのトラップ。

 ≪古の穴≫は触手の狩場だったのかもしれない。


 真相は分からないけど、あの触手が良い素材になりそうなのは事実。

 本体的なものがいるなら本体を狩って、いないようなら触手を狩りつくす。

 ただそれだけだ。


 ミルキーは無理に合わせなくてもいいんだぞ。

 でもありがとう。

 

「多分こっち!」


 タマの誘導に従って進んでいく。

 タマの索敵範囲は広いから、何かを感じ取ってるんだろう。

 タマを先頭にしてミルキー、俺の順番だ。

 おろし金は別行動を頼んであるからここにはいない。


 ダンジョンなだけあってモンスターがいる。

 数も多いみたいで、歩いているとわらわらと寄ってくる。

 種類もそこそこ多くて色とりどりだ。


 ジュエルマン(赤)、ジュエルマン(青)、ジュエルマン(黄)、ジュエルマン(緑)、ジュエルマン(白)、ジュエルマン(黒)……どいつもこいつもジュエルマンじゃねーか!

 というかいっそストーンマンの色違いだ。

 サイズは微妙に小さい気もする。

 ただ、その厄介さはかなり上がっている気がする。


 ストーンマンは近寄って来て殴りかかってくる、ちょっと硬いだけのモンスターだった。

 対してジュエルマンは色ごとに属性を持っているらしく、対応した魔法を放ってくる。

 このゲームの属性相性は分かりやすいが、同じ属性と得意属性は基本通じないようにもなっている。

 例を挙げると、水属性のジュエルマン(青)には水属性と火属性の攻撃はダメージが与えられない。


 しかも光属性と闇属性は他の属性に対して耐性がある。

 光属性に有効な闇属性の攻撃なんて、俺達の誰も持っていない。

 じゃあどうするか。

 簡単な話だ。


「とりゃー!」

「無弾無弾無弾無弾無弾無弾無弾!!」


 無属性で蹴散らせばいい。

 それに、俺達の攻撃力ならごり押せると思う。

 今はタマがいつもの結晶の剣で暴れて、俺とミルキーは無弾を連射した。そうじゃなくても、属性が二つ以上あればいいだけの話だし。


 属性が偏ってないってことは、普通のパーティーなら結構厄介かもしれない。

 属性攻撃の範囲が広くないと対応が面倒そうだからな。


 その分経験値も美味しいのか、レベルがまた上がった。

 処理してないけどいいや、後でまとめてしよう。

 素材を集めるのが楽しくて楽しくて!


 なんとジュエルマンは属性石や宝石を落としてくれる。

 砕け! 割れ! 削れ! どんどん拾え!

 いやあ、ほんと楽しい。

 新しい装備の素材や資金になると思うと楽しくて仕方がない。



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