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87 触手と素材


「ここまで来ればとりあえず大丈夫かな」

「何があったんですか? 突然ナガマサさんの姿が消えたと思ったら大きな音がして……」


 俺達が落ちてきた、開けた空間まで戻ってきたところで一息ついた。

 ここにもさっきのが来る可能性はあると思うけど、穴に入ってすぐの場所に松明を置いておけば素早く察知出来るだろう。


「さっき穴の下から太い触手みたいなのが出てきてたんだ。振り向いたらいたから、思わず松明で攻撃したら逃げちゃったけどね」

「そうだったんですか……すみません、ありがとうございました」

「どういたしまして」


 さっきのは何だったんだろうか。

 クリスタルって感じの質感で、松明の明かりでキラキラ光ってた。

 あの穴の先に何かがいるのは間違いない。


「反対の穴に行ってみよう」

「はい」

「その前にレベルアップの処理だけしてしまうね」

「了解です」


 さっき穴に落ちる前、レベルアップしてたからな。

 何がいるか分からないところを進むなら、ポイントを振っておいた方が安心できる。

 ほんの少しの差だけど、その差が生死を分けたりしてもおかしくはないし。


 ええっと、どのパラメータに振ろうかな……ん?

 視界の隅で何か光った。

 横穴の方を見ると、例の触手が這って来てるのがばっちり松明に照らされていた。

 落ち着いてレベルアップの処理も出来ないのか。


「ミルキーさん、向こうの穴に」

「こ、こっちからも来てます!」

「ほんとだ」


 反対側の穴からもクリスタル触手。

 太さが1mくらいはありそうだ。

 丸というよりは楕円に近い。

 挟み撃ちって訳か。


 タマがいないのは不安だけど、俺達だってステータスは冗談みたいに高いし、スキルも色々ある。

 多分なんとかなるだろう。

 慌てなければ大丈夫だ。


「よし、とりあえず攻撃してみよう。そっちの触手は任せていい?」

「はい!」


 頼もしい返事だ。

 あっちは任せて、この触手には驚かされたお礼をたっぷりしてやろう。


「火弾!」


 小手調べに火弾を放つ。

 二十近くの火弾が真っ直ぐに飛んで行って命中した。

 が、HPバーはほとんど減っていなかった。

 え、硬すぎないか?

 というか今ちゃんと当たった?


「火弾!」


 一直線の穴だし数よりも威力だ。

 ≪我らが道を行く≫の効果を威力の方に振ることを意識して、四発で発動する。

 相手が単体だと下手に数を増やした方が当てづらくて威力は落ちるからな。


 連打しないのは、確かめたいことがあったからだ。

 四発の火弾はにょろにょろと迫ってくる触手の表面に当たったと思ったところで、跳ね返って壁や地面に着弾した。

 やっぱりちゃんと当たってなかったか。

 数が多くてよく見えなかったんだよな。


「魔法が効きません!」

「俺も試してみたけどダメだった。物理で攻撃してみよう」

「はい!」


 もう触手はすぐそこまで迫っている。

 近接攻撃は後回し。

 距離がある内は遠距離攻撃で攻めたい。


 ≪解放の左脚≫による一撃離脱もありかと思うけど、暗いし後退する時の移動先の指定にミスしたら嫌だから今回はやめておく。

 命がかかってるから安全第一で行きたい。


 物理遠距離攻撃は俺のスキルの中にもある。

 親指の爪先を人差し指で抑え込む。後は力いっぱい親指を弾けば撃てる。


「裂空指弾!」


 気の弾が触手に命中したようで、丸い穴を中心にヒビが広がっていく。

 しかし倒れない。

 物理攻撃は通るみたいだけど、それでもかなりタフみたいだな。

 二発目で砕け散った。


 ミルキーが相手していた方にも裂空指弾をぶち込んで撃破した。

 しっかりドロップアイテムも残してくれた。


 ≪太古の結晶片≫という名前の、クリスタルの欠片だ。

 表面を覆っていたあのキラキラしたやつの破片なんだろうか。

 マッスル☆タケダに渡せば装備の材料になりそうだな。


 よし、脱出ついでにあの触手を出来るだけ狩ろう。

 結構強いみたいだし素材としても有能なはずだ。


「ナガマサさん、さっきのやつHPが20万もありましたよ」

「おー、それはいい素材を落としそうだ」

「素材扱いなんですね・・・」


 何故かミルキーに呆れられてしまった。

 さっきは突然いたからびっくりしたけど、落ち着いてみたらそんなに構える必要もない。

 元々良い素材が欲しくて探索してたんだしな。

 俺の魔法を弾くくらい魔法に強いなら防具にもってこいの筈だし、集めたくて仕方がない。


 心配なのは、タマが心配してないかってことくらいだ。


「それじゃあ最初に選んだ方に進んでみよう」

「はい」


 歩いていると触手が向かってくる。

 前からも、後ろからもだ。

 前からのは俺が剣や≪無刀両断≫で切り刻み、後ろからのも俺とミルキーの≪裂空指弾≫一発ずつで倒せた。


 今日は脱出を急ぐからさくっと倒してるが、タフだから近接戦闘の訓練相手に丁度良さそうだ。

 通常攻撃だと十数発攻撃しないと死なない相手なんて、今までに居なかったからな。

 脱出出来たとしてもまた来れるようにしたい。


 ドロップアイテムも少し貯まって来てホクホクだ。

 今のところ結晶片しか落としてないが、他にも何かあるといいな。

 しかしそう上手くもいかなかったようだ。


「来なくなりましたね」

「そうだな。もっと素材と経験値が欲しいのに」


 縦穴の地点へ到着した。

 が、ある程度進んだ辺りから触手はめっきり姿を見せなくなっていた。

 素材にも期待が高まるし、経験値が多いのかごりごりレベルが上がってたのに。


 俺は基本が5と職業が4、ミルキーに至っては基本が8と職業が6上がっている。

 倒すのが楽しくてレベルアップの処理すらまだしてない状態だから、区切りとしてはいいのかもしれないけど。


 一次職の職業レベルは20がMAXらしい。俺は丁度20になった。

 二次職に転職出来るけどそれは戻ってからだな。

 挑戦者の二次職ってなんだろう。


 おっと、それも楽しみだけど、まずは触手狩りだ。

 狩り尽くすぞー!



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