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84 前進と小休止


「ステ振り終わりました」

「こっちも終わったよ。それじゃ行こうか」

「はい」

「行こー! さーちあんどですとろーい!」


 ここまで俺とタマでほとんど敵を倒してしまっているが、ミルキーは退屈してないだろうか。

 というかタマは久しぶりの狩りだからって張り切りすぎじゃないか?

 ここも敵の密度はかなり低そうだから、次のMAPに期待しておこう。

 

「タマ、ちょっとデストロイするの待ってもらっていいか? 色々試しながら行きたいんだ」

「はーい!」

「せっかくスキルが共有されるようになったし、ミルキーも弾属性魔法試してみない?」

「いいんですか?」

「タマにも言ったけど色々試しておこう。かなり便利だと思うから」

「はい」

「手ごろなモンスターは……あれでいっか」


 哀れな実験台として選ばれたのは、初見のモンスターだった。

 石を積み上げて無理矢理人の形を作ったような見た目で、身長は160cmくらい。歪な感じで歩いているそいつの名前は≪ストーンマン≫。

 アクティブのようでこっちへ向かって来ている。


「それじゃあ行きます。火弾!」


 共有化したスキルはレベルも全員共通らしい。

 ということは経験値なんかも全員がそれぞれもらえるんだろうか。もしそうなら効率3倍?

 全員で使えばそうなる。

 アクティブは微妙だけどパッシブスキルは効率が良いかもな。


 ミルキーの≪火弾≫を受けたストーンマンは、理屈が分からない接合部から完全にバラバラになってばら撒かれた。

 一部の石は砕けているようだ。

 知ってた。

 

 ドロップアイテムは≪石の破片≫。

 見た目はただの石なんだけど、何かに使えるのかな。


「一撃だと使い勝手が分かりませんね」

 

 ミルキーも困惑気味だ。

 まだアホみたいな補正のかかったステータスに慣れていないんだろう。

 そのうち麻痺してくるから大丈夫として、単発で放つだけじゃ多分この魔法の良さは分からないだろう。


「タマ、ちょっとこの辺りに他のプレイヤーがいないか見てきてくれ。いなかったら、モンスターを集めて連れてきてくれるか?」

「らじゃー!」


 俺のお願いを聞いたタマは駆け出した。

 石がごろごろ転がっているのにその動きにブレは無い。

 ≪解放の左脚≫を全開にして視界から消えて行った。

 待つこと数分、タマはモンスターが獲物を見失うことのないように徒歩で、適度な距離をとりつつ戻ってきた。


「連れてきたよ!」

「よし、偉いぞタマ。ちょっとそのまま頼む」


 ミネラルが2体とストーンマンが3体、後は初めて見た岩を継ぎ接ぎして作ったような≪ロックゴーレム≫が一体。

 移動速度に差があってミネラルが一番早く、次にストーンマン、ロックゴーレムは見た目通り遅い。

 3mくらいあるしな。

 タマはミネラルの攻撃を無視しながらゆっくり誘導してきたみたいだ。


「ミルキ-、あえて威力の方を倍増させて連射してみるといいよ」

「分かりました」


 ミルキーがタマを射線に入れないようにして手を翳す。

 フレンドリーファイア、つまりパーティーメンバーへのダメージは無いが気分的にやりづらいんだろう。その気持ちは分かる。

 

「火弾火弾火弾火弾火弾火弾!」


 モンスター一体につき三発ずつの火弾が放たれる。

 一発も外れることはなく全てのモンスターが木端微塵になった。頑丈そうなロックゴーレムも他のモンスターも反応が全く変わらないことからその威力が覗える。


「どう?」

「すごく使いやすいですね。私の≪火属性魔法≫だと詠唱は無くてもディレイが発生するので、連打するのはこっちの方が良さそうです」


 ミルキーの習得してる魔法は大小の差はあっても、ディレイという魔法発動後の硬直時間が必ず存在するそうだ。

 このディレイっていうのは実際動けなくなるわけじゃないが、この間は他の魔法もスキルも一切使えない。

 高速で戦闘する場合や連打する場合にはかなり違ってくるだろう。

 そんな機会が来るかどうかは別にして。


 後は、≪我らが道を行く≫や≪解放の右腕≫の効果でダメージじゃなく、発射する個数を倍増させることも可能になったから、≪火属性魔法≫でも100発一度に放てるなら充分強い。


 ≪弾属性魔法≫は指を指すか手を翳す必要があるから、武器での近接攻撃をしながら魔法を発動するミルキーの戦闘スタイルに合わせるなら≪火属性魔法≫の方が使い勝手が良いという結論になった。


 遠距離から一方的に攻撃する砲台戦法なら≪弾属性魔法≫は最強だと思うんだけどね。

 ……格闘スタイルにして貫手や掌打と併せたら近接+魔法がかっこよく決まるんじゃないか?

 ミルキーにそれをさせるのは男前すぎてなんかあれだから、覚えてたら今度自分で試してみよう。

 丁度いい相手がいるかな。


「もっと奥に行ってみよう。そろそろ難易度が上がってくるはず」

「はーい!」

「はい」


 時々寄ってくるミネラルやストーンマンを軽く蹴散らしながらどんどん進む。

 エリアの端に来た時点でお昼にさしかかってきたから、一旦休憩を挟むことにした。

 この先でのんびり出来るか分からないからな。


「そうだ、ついでだし運動でもさせとくか」


 コインを放り投げる。

 光を放ち、弾けた後には鎧カナヘビモードのおろし金が現れた。全長3mくらいで、随分縮んだように見える。


「おろし金だ! よーしよしよしよし」

「昨日はありがとうございました」

「キュルル」


 ムカつく悪魔っぽい奴に罵倒された恨みを晴らす為に超レアっぽいコインで進化したから、本気のおろし金は大きくなってドラゴンに近い見た目になる。

 種族名も≪滅魔金蛇エボリュート≫で、それは見た目に関わらず固定らしい。


「おろし金、この辺りなら自由に遊んでていいぞ」

「キュルッ」


 さて、お昼ご飯の後はさらに進むぞ。

 どんなモンスターがいるだろうか。

 良い素材があるといいな。

 鉱山とかも見つけられれば行ってみたい。

 探索はワクワクしてくるな!



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