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70 パレードと冴えない冒険者

本編70突破!


 儀式が終わったら次はパレードだ。

 パレードも武装状態のまま行うらしい。

 へんな魔王みたいなのが乱入したせいで進行は遅れたけど、問題はなかったようだ。

 怪我人は全員治したからな。


 ミルキーとマッスル☆タケダは騎士達と一緒にパレードに参加するらしい。

 俺とタマは何故かミゼル達と一緒に待機している。

 ≪魔の者≫討伐の立役者ということで是非にと言われてしまって、断れなかった。

 タマがノリノリだったしな。


「タマちゃん、おろし金様にお礼を伝えてはいただけませんか?」

「いいよー!」

「私からも頼む。我が妹ミゼルの恩人だ」

「おっけー!」


 みんな無事で本当に良かった。

 コインをおろし金に使ったことに後悔はない。

 俺とタマに並ぶくらい強くなっただろうし、これからもどんどん成長していくはずだ。

 頼もしい仲間が増えたな。


「馬車のご用意が出来ました。どうぞ、お乗りください」


 兵士に案内されて馬車へと向かう。

 そこには豪華に飾り付けられた馬車が二台用意されていた。

 車体部分もかなり改造してあって、本来の屋根部分に人が乗るようになっていた。

 柵がついていて、その上に屋根は無い。

 パシオンとミゼルはあれに乗るんだな。


 俺はどうしたらいいんだろうか。


「さて、行こうかナガマサよ」

「はい、一緒に参りましょう」

「すごーい! 乗るぞー!」

「え、俺もこれに?」

「当然だ。お前達が乗らねば誰が乗るというのだ」

「ミゼル様とパシオン様では?」


 抵抗はしてみたがダメだった。

 後ろをついて歩くくらいかと思ってたんだけどな。


 結局、豪華なパレード用馬車にパシオンと一緒に乗ることになった。

 ミゼルの方にはタマが一緒に乗っている。

 これで街中を移動するんだよな。


 すごく目立つんだろうなぁ。

 プレイヤーからだと名前までばっちり見えるし。

 まぁ仕方ないか。


 兵士達が出発していく。

 次に王様達。

 そしてミゼル親衛隊。

 ミルキーとマッスル☆タケダもこの後ろに続いている。

 馬車に乗っているのは王様達だけか。


 よく考えたらパシオンもこの位置じゃないの?

 絶対我儘言ったけど一緒に乗せてくれなくて、諦めきれずにすぐ後ろの馬車に乗ることにしたパターンだろ。 

 

 ミゼルの乗った馬車が動きだし、すぐに俺達の乗った馬車も続く。

 真っ直ぐ大通りを突っ切って、街の反対側についた後は、グルリと街の中で円を描いている道を一周する。

 その後はまた大通りを戻って終わりというコースらしい。


 大通りの両脇にはかなりの人が待機していた。

 プレイヤーもちらほら混ざっている。

 露店がいっぱいある通りだし、こんなパレードなんかやってたら見ちゃうだろうな。

 俺も絶対見る。

 パレードなんて見たことないし。


「ミゼル様ー!」

「おめでとうございます!」


 街の人達が歓声を送っている。

 ミゼルは手を振って応えているようだ。

 たまに横顔が見えるけど、しっかり笑顔も振りまいている。

 これで街を周るなんて大変だな。


「あのプレイヤー、どうしてあんなところにいるんだ?」

「さぁ? 始まってもないはずのワールドクエストが突然終わったのと、何か関係があるのかもな」

「そんなことよりミゼルちゃん可愛い」

「ばっかお前隣のタマちゃんのが見えないのか? まさに天使だろ!」

「ロリコン乙」


 プレイヤー達の視線を時々感じる。

 でもミゼルとタマの方に視線が集まってる気がする。

 ほぼ真顔の男と妹を眺めて興奮してる男よりも、笑顔で愛想を振りまいている女の子二人の方が人気なのは当然だろう。

 俺だってそっちの方を眺めてる方が楽しい。


「ああミゼル、立派になったなぁ」

「パシオン様も少しは手を振ったりしないんですか」

「私はミゼルを眺めるので忙しい。貴様が振っておけ」


 こんなのが王子で大丈夫なんだろうか。

 もし世襲制だとすると、パシオンが王になったらろくなことにならない気がする。

 ミゼルの為なら本当になんでもしそうだからな。

 国よりもミゼルを優先するに違いない。

 それならいっそ、ミゼルが女王になった方が丸く収まりそうだ。


 そうして馬車に揺られている内に街の反対側へついた。

 そのまま内周の大き目の道を一周し終わった。

 後はまっすぐ城まで戻るだけだ。


「ではナガマサよ、頼む」

「分かりました」


 今回もう一つ頼まれていたことがある。

 しかもこれは王様から直々にだ。


「ミゼル様、いきますよ」

「はい、お願いしますね」


 コインをミゼルとタマの乗る馬車の上に軽く放る。

 おろし金が現れて、馬車の上部の柵に器用に着地した。

 見た目と違って体重はかけていないようだ。

 多分半分以上浮いてるんだろう。

 長い尻尾も空中に真っ直ぐ伸びている。


 滅魔の竜の力を取り込んで進化したおろし金をアピールしたかったらしい。

 守護竜の代理だな。

 馬車はそのまま真っ直ぐ進んでいく。


 行きよりも人が増えていて、どよめきも大きい。

 太陽の光でキラキラ光る竜が上に乗っていたらそれは目立つだろうな。

 ミゼルもタマも可愛いし。


 ちなみにおろし金は今回の進化で、小さくなる能力も得たらしい。

 前の≪鎧カナヘビ≫の姿で2m程のサイズになったりもしていた。

 今のドラゴン形態は本気を出す時以外はしなくても良さそうだ。

 森の中とかだと逆に大きすぎるだろうからな。


 それにしても俺は場違い過ぎるから、早くパレード終わらないかな。



ここで一区切りとなります。

作者のモチベーションにも繋がりますので、もし気に入って頂ければ、最後まで読んでなくても構いませんので、お気軽に感想を残してみて下さい。

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