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69 事後処理と後始末


 ごたごたの後始末は申し訳ないけど、一旦兵士の皆さんに任せよう。

 俺達は先に気になることがある。


「出汁巻さん、聞きたいことがあるんですけど」

「さっきのメッセージのことすか? ワールドクエストなんて初めて聞きました」

「マジか」


 この中で一番長くやってる出汁巻玉子ですら知らないということは、もしかして……。


「もしかして、さっきの奴が暴れて立ち去った後にワールドクエストが発生する予定だったんじゃないですか?」

「あるかもしれませんね」


 そうじゃないかと思いついたことを言ってみた。

 すると、ミルキーが真っ先に同意してくれた。


「なるほどな。そいつが始まる前にナガマサさん達が終わらせちまったと」

「出鱈目っすね」


 他の人も特に異論はないらしい。

 それどころかマッスル☆タケダと出汁巻が呆れたような顔をしている。

 出汁巻は本気を出す時に出鱈目な格好してる癖に。 


 話し合った結論はこうだ。

 この儀式の際にあの悪魔がコインの力を取り込んで魔王に覚醒。

 世界の支配を宣言してワールドクエスト開始、みたいな流れだったんじゃないか。


 その後は紆余曲折を経て、≪神滅魔王ドレッドエンド≫を倒せばクエスト完了。

 みたいな?

 もう倒しちゃったせいで、クエストが始まる前に終わったようなんだけど。


 終わらせてしまったものは仕方がない。

 話も終わったし後片付けだ。


 訓練場は結構な惨状になっていた。

 おろし金とヴェルスの戦いの余波だけでここまで荒れたのは、戦闘の激しさを表してるな。

 黒いオーロラが出た時の衝撃波で負傷した人も結構いた。

 今は怪我が重い人から順に、兵士や騎士達が連れ出していっている。


 タマも男達や瓦礫を運ぶのに大活躍だ。

 隔離されずにヴェルスに捕まっていたミゼルは、オーロラが消えた瞬間にパシオンが運んで行った。


 ん、何か落ちてる?

 ちょうどヴェルスがいた辺りってことはもしかして、ドロップアイテム?

 首飾りかな。

 丸い宝石みたいなのがついている。


≪神滅魔王の瞳≫

防具/アクセサリー レア度:S+ 品質:A

魔王の瞳と呼ばれる宝石が使用されたネックレス。

その輝きは、深淵を見つめる魔王の瞳そのものである。

Atk+50%

Matk+50%

物理攻撃耐性+50%

魔法攻撃耐性+50%

クールタイム-100%

消費SP-50%


 ボスのドロップ装備だからか?

 結構強力な装備に見えるんだけど。

 レア度のところがやばい。

 やっぱりワールドクエストのラスボスクラスだってことか。


 もう一つこれは……コイン?


≪コイン:ブランク≫

何も描かれていないコイン。

力を宿した時、その真価を発揮する。


 今までと違ってその表面はツルツルしている。説明にもあるように何も描かれていない。

 ブランクって、空白?

 まさかコインはまだ実装されてなかったんじゃないか。

 それを運良く落としたから、代わりにこんなのが出ちゃったとか。


 それにしてもコイン落ち過ぎじゃないか?

 ドロップ率は一体どのくらいに設定してあるんだろうか。

 前やってたゲームだとコインじゃなくてカードだけど、レアアイテムは0.02%だった。

 もしそのくらいなら普通こんなに落ちないんだけど。


 まぁいいか。

 アイテムを拾えて困るものでもないし。

 強くなるにこしたこともない。


 それからミルキー達と一緒に片づけをした。

 おろし金は王様や貴族達が崇めだしたからコインに戻してある。

 なんでも、この国を見守ってくれている竜と同じ輝きを見たとかなんとか。


 守護竜は≪滅魔光竜リュミエーク≫だったっけ。

 どう考えても、≪滅魔神竜コンヴィーク≫の同類だ。

 その力を取り込んで進化したおろし金が注目を浴びても仕方ないな。

 さっき単身立ち向かってた姿にファンも一杯出来たみたいだし。


 おろし金の滅魔断罪剣(命名俺)の傷跡が一番すごい。

 どこまで続いてるか分からないくらい深い地割れが出来てる。

 これはすぐに直せそうにないから放置だな。


 訓練場の片付けが終わった俺は、医務室へ向かった。

 怪我人達に手当たり次第に≪応急手当≫をかけて回る。

 俺の応急手当は≪解放の右腕≫と≪我が道を行く≫の相乗効果で、応急手当どころの話じゃない。


 本来の≪応急手当≫は最大HPの1%回復するスキル。

 だから10倍されれば10%だし、100倍されたら100%だ。

 みるみる内にみんな元気になっていく。


 ベッドに寝かされていたミゼルにもかけたらすっかり良くなった。

 折れてたっぽい脚が即座に完治するのもすごいな。


「ありがとうございます、ナガマサ様」

「ナガマサアアアア!! ありがとう! ありがとう! 感謝するぞナガマサ!!」

「気にしないでください。さっき俺は何も出来ませんでしたから。あとパシオンはうるさい」


 パシオンがすごくうるさい。

 嬉しいのは分かるけど落ち着いて欲しい。

 

 さっきはおろし金のお陰でなんとかなった。

 だけど、ジャルージが飛び出した時にさっさと片付けていれば、ああはならなかったかもしれない。

 パシオンに譲ったりしない方が良かったのか?

 今後同じようなことがあれば、よく考えよう。


 怪我人がいなくなったところで儀式が再開された。

 ミゼルの門出を祝う良い儀式だった。

 何故かおろし金のつくった地割れが希望の象徴として崇められてたのは、不思議な気持ちになったけど。



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