59 クエスト完了と新たなクエスト
「うし、それじゃあ俺は早速制作に取り掛かる。またな!」
素材が揃って大張り切りのタケダを見送った。
なんでも俺達が狩りに行ってる間、他の部分の仕込みは終わらせたらしい。
タマの装備と同じような感じだとしたら、将軍クワガタの甲殻は装甲の部分に使用する。他の箇所は先に作れたんだな。
このゲームの装備の制作って、どういう仕組みになってるんだろうか。
それなりに時間はかかるみたいだけど、タマの装備も一日で作ってたしかなり簡略化されてる気もする。
挑戦者の職業スキルの中にありそうなら取ってみるか?
うーん、難しい所だ。
「さて、ナガマサよ。改めて礼を言おう。感謝する」
「お役に立てたなら良かったです」
最初はなんて迷惑な奴だ、と思った。
タマの装備を寄越せとかふざけたことも言うし、性格の悪いボンボンかと思っていた。
だけど、バカで気持ち悪いくらいシスコンなだけで、悪い奴じゃなかった。
このくらいのクエストなら大丈夫だ。
むしろ楽しかった。
「貴様への依頼はこれで終了とする」
「はい」
クエストが完了した扱いになったらしく経験値をもらった。
今ので基本と職業レベルが上がった。
女神のエフェクトが花火をバックにむくれている。
これはやっぱり、前回気付かなかったことを拗ねてるんだろうか。
「せっかくの我が至高の妹ミゼルの晴れの舞台だ。その姿を特等席で拝ませてやろう」
「いえ、大丈夫です」
一応断ってみた。
だが強制取得だったらしく、ストレージにアイテムが無理矢理捻じ込まれた。
≪招待状≫か。
クエストアイテムで売ったり捨てたりは出来ないようだ。
あれ、何故か二つある。
「誕生日は明後日だが、儀式がメインとなる。その代わりに前夜祭も兼ねて明日の夜にパーティーが行われるからそっちにも顔を出せるよう手配をした。一通がパーティー、一通が儀式の招待状だ。宝石よりも美しいドレス姿のミゼルを拝謁する権利だ、喜ぶがいい!」
「あ、はい」
明後日はこの街を上げて盛大に行われるらしい。
儀式自体はこの城で行った後、鎧姿のままパレードなんかをするんだそうだ。
で、明日は付き合いのある貴族、親族なんかを含む招待客とパーティーをするらしい。
実質二日間かけての誕生日のお祝いって感じか。
それでそのパーティーの方にも誘ってくれたと。
貴族のパーティーどころか普通の誕生日パーティーすらろくに出たことないし、楽しそうな気もする。
だから嬉しいんだけど、何か残念な意図を感じる。
きっと晴れ姿を見せつけたくて仕方がないんだ。
パシオンの妹好きは異常だな。
でも、俺みたいなぽっと出の冒険者がパーティーに参加なんかして浮かないだろうか。
「貴様の心配は分かるぞ。だが安心するが良い。私の招待客にそのようなケチをつける者などおらん」
「そうなんですか?」
「そうだとも」
今一信用出来ない。
まぁせっかく招待してくれたんだから有難く参加しよう。
ミゼルのドレス姿を見たいとか、そういう訳じゃない。
「ただそれなりの衣装は着てもらうぞ。明後日の儀式の際はその格好でも良いが、明日はパーティーだからな。正装を用意しておけ」
「正装ですか」
持ってる訳が無かった。
そもそも冒険用の装備ですらろくに揃えてないのに。
今から探せば間に合うか?
「持っていなければ合うものを貸してやろう。ああ、折角の機会だ。女の一人くらいエスコートして来ても構わんぞ」
「えっ」
「男一人で参加するよりは格好がつくぞ。そうしろ」
「いや、あのですね」
「む、ミゼルが私を呼んでいる気がする!? ではな。また明日、パーティー会場で会おう」
パシオンの発言に思わず固まってしまう。
女の人をエスコート?
いやいや、無理無理。
パシオンは俺が困惑してる内に意味不明な発言をして去って行った。
愚痴でも言われてるんじゃないか?
まさか女性同伴を勧められるとは思わなかった。
パーティーってそういうものなのか?
知識がないから分からない。
一人で行っても多分問題はないんだろうけど、どうしよう。
うわ、これもクエスト扱いになってる。
『女性をエスコートしてパーティーに参加する』って、これ一人で行ったら失敗になる?
そうなったらどうなるんだろうか。
もしパシオンクエスト(仮)みたいな感じで一連の流れで続いてた場合が困る。
失敗するとそこで途切れてしまう可能性があるからな。
せっかく依頼を達成したんだから、このまま最後までこなしたい。
この世界でアテなんかほとんどない。
うぐぐ、仕方がない、恥ずかしいけど唯一の可能性にかけてメッセージを送ってみよう。
なんかすごい気恥ずかしいな!
「モージャモジャモジャモジャ」
「何してるんだ?」
「モジャってる!」
俺は今、宿のベッドの上で横になっている。
頭の方では床に座ったタマが俺の髪の毛をわしゃわしゃして遊んでいる。
よく分からないけど楽しそうだ。
今日のクエスト達成でレベルが上がったし色々振っておこう。
名前:ナガマサ
種族:人
Lv:17(1↑)
Str:30(10↑)(+1100)
Vit:30(+1200)
Agi:34(4↑)(+1300)
Dex:50(+1202)
Int:24(+900)
Luc:16(+600)
職業:挑戦者
職業Lv14(1↑)
スキル
サバイバルの心構え Lv8(1↑)
武器修練 Lv10(2↑)(MAX)
武器適正・片手剣 Lv10(3↑)(MAX)
リラックス Lv9(1↑)
魔法適正 Lv6(1↑)
属性適正・無 Lv6(1↑)
フルスイング Lv3
目印 Lv1
応急手当 Lv8
武器修練・片手剣 Lv7(2↑)
無属性魔法・下級 Lv6(1↑)
スマッシュ Lv3
魔力の波動 Lv6(1↑)
敏捷強化 Lv10(1↑)
生命力強化 Lv9(1↑)
筋力強化 Lv8(2↑)
知力強化 Lv7(2↑)
器用強化 Lv7(2↑)
幸運強化 Lv5(2↑)
マジカルスラッシュ Lv3(2↑)
索敵範囲拡大 Lv1(New)
我が道を行く Lv10(MAX)
解放の左腕 Lv10(MAX)
解放の右腕 Lv10(1↑)(MAX)
解放の左脚 Lv10(MAX)
解放の右脚 Lv6(2↑)
成長促進 Lv1(MAX)
取得経験値増加 Lv10(MAX)
無刀両断 Lv6
神脚疾駆 Lv8(3↑)
万種香 Lv1
裂空指弾 Lv1(New)
ステータスは格闘の可能性を信じてStrに10と、残りをAgiへ。
スキルは生産系はあったけど一先ず置いておいて、敵の察知が早くなりそうなスキルを取得。
ユニークスキルの方は2ポイント使用で遠距離攻撃のアクティブスキルを取得。
気を指弾にして放つ技らしい。
指弾って指で弾くあれだよね。
また今度試してみないといけないな。




