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56 全裸の祭典

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皆様ありがとうございます!


「何かが来ます! マフィー、注意を!」


 索敵班が叫ぶ。

 マフィーも名指しされたことで警戒を強めている。


 間隔の広い木々の間から何かが数匹飛び出してきた。

 足軽クワガタか。

 空を飛んでるのは初めて見た。


「足軽クワガタ如き、空を飛んだところで!」


 少し大きい気がする。

 名前も≪突撃足軽クワガタ≫になっている。

 違いは飛んでいるだけなんだろうか。


 何匹かの突撃足軽クワガタに続くように、更に大きな姿が現れた。


 武者クワガタのようだけど不思議な形をしている。

 よく見たら大きなクワガタに武者クワガタが跨っている。

 その状態で飛んできたのか。


 名前は≪騎馬武者クワガタ≫。

 馬代わりのクワガタの方も別モンスター扱いらしく、アイコンと≪具足クワガタ≫という名前が確認出来た。


「くっ!」


 マフィーは最初に向かってきた数匹の突撃足軽クワガタを捌くので精一杯だったようだ。

 3匹目の突撃を受けた辺りで体勢が崩れかかっている。

 あの足軽クワガタ、見た目はほとんど変わらないのに強くなってるのかもしれない。

 ゲームではよくある奴だ。

 グラフィックはほぼ一緒なのに、少し色が濃かったり薄かったりで強さが全然違う敵。


 そんなことを考えてる場合じゃない。

 騎馬武者クワガタが二又の槍を構えてマフィーに迫っている。

 躱せそうにないし、あの体勢じゃ多分受けられないと思う。

 連続攻撃で崩されてるところにあの重量級の突進は、簡単に死ねるんじゃないだろうか。

 それなら、後でなんと言われようと介入した方がいいだろう。


「なっ!?」

「ギシャッ!?」 

 

 身体を騎馬武者クワガタに向けて地面を強く蹴る。

 たったそれだけで、伸ばした足の先は騎馬武者クワガタの側頭部を捉えている。

 突然のとび蹴りに驚いたような声を上げながら、将軍クワガタに次ぐ巨体が転がっていく。


 俺のユニークスキル≪解放の左脚≫の効果で空間を跳び越えることが出来る。

 地面を蹴って足を伸ばせば、次の一歩を目視出来る場所ならどこにでも踏み出せるという感じだ。

 しかも空中も蹴れる効果もついてるから、自由に瞬間移動し放題。


 そのお陰で距離があっても、≪解放の右脚≫+≪我が道を行く≫の効果で威力が40倍された跳び蹴りを一瞬でぶちかませたわけだ。

 チートみたいな数字のステータスのおかげで騎馬武者クワガタは一撃でかなりのダメージを負っている。


 武者クワガタよりも強化されてるだろうし、靴なんかも普通だからこんなものだろう。

 いずれ靴も格闘用に換えた方が良いかもしれない。


 残った突撃足軽クワガタも、旋回しながら襲ってくるのを剣で叩き落としていく。

 突進の速さ自体はソードビートルの方が上だけど旋回性能はこっちの方が上っぽい。


「お?」

「すみません、助かりました」


 最後の一匹を斬ろうと思ったら、マフィーさんが横から切り付けた。

 弾かれた突撃クワガタを追いかけて地面に串刺し。とどめを刺した後、お礼を言ってまた駆け出して行った。

 怒られなくて良かった。

 何を言われてもいいとは思っていても、文句を言われないのが一番なのは間違いないからな。


 ドロップアイテムはアイテム拾い専門の人がせっせと拾っている。

 それなりに戦闘能力もあるらしい。

 騎士の人だしな。

 というかこの人達NPCだけど……ステータスとかどうなってるんだろうか。


 NPCの手を借りてMVPモンスターの討伐が出来るなら、難易度自体は低いのかな。

 でもこの状況はかなり特殊な気がするし簡単には出来ないか。


「来たぞ! 気合いを入れろ!」

「「「はっ!!」」」


 出汁巻玉子達の方も佳境に差し掛かったっぽい。

 HPの削れた将軍クワガタが赤いオーラに包まれる。

 あれはタマの時にも見た。

 ああなると、攻撃速度がかなり上がる。


 はっきりとは分からないが攻撃力なんかも上がってるかもしれない。

 戦ってた相手がタマなせいで比較がしづらいんだよなあ。

 いくら強化されてもタマの相手にならないところが恐ろしい。


 タマより強いボスっているんだろうか。

 いた方がゲーム的には面白いかもしれないけど、そんな化け物いたらたまったものじゃないな。

 安全志向の俺としてはいなくていい。

 ストレージに仕舞いこんであるコインの持ち主とかは、もしかしたら良い線行くかもしれない。

 名前からして強そうだし。

 おかげでコインの扱いにも困ってる訳だけど。


「ファイヤーブラスト!」

「フレイムジャベリン!」

「ファイヤーストーム!」

「奥の手を使う! 貴様ら二人は控えている者と交代せよ!」

「はっ!」

「ご武運を!」


 タイミングよく複数の魔法が着弾した。

 将軍クワガタが怯んだ隙に、出汁巻と一緒に将軍クワガタを抑えていた騎士二人が退いた。

 温存していた騎士と交代するらしく、新たに二人が出汁巻の横へ並び立つ。


 出汁巻は継続のようだ。

 さっきからずっと戦ってるのにすごいな。

 見た感じ出汁巻の奮戦が大きいから、出汁巻が抜けたら戦線はすぐに崩壊するだろうしな。

 やっぱりトッププレイヤーはすごい。

 格好はあれだけど。

 まさかトッププレイヤーみんなあんな感じじゃないだろうな。


融合躍進(ユニゾンドライブ)!」


 出汁巻が何かのスキルを発動したらしい。

 さっき言ってた奥の手ってやつか。

 出汁巻の身体が、いや、下半身が光に包まれていく。

 光が弾ける。

 そこには、股間だけが光に包まれた出汁巻の姿があった。

 遂にケツまで丸出しにしてきやがったか。


「あれこそがやつの本気だ。我々はあの姿を、全裸の祭典(マッパダカーニバル)と呼んでいる」


 あまりの事態に困惑していると、パシオンが説明してくれた。

 どうしてそんなことでドヤ顔してるんだ。

 全裸の男がアニメの修正みたいなことになってるんだぞ。

 というかパンツどこ行った。



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