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55 騎士vs武者


 女騎士は満足げな顔で騎士達の中へ戻って行った。

 名前はマフィーというらしい。


 残りの休憩時間の間、出汁巻と話をした。


 せっかくトッププレイヤーと一緒に行動してるんだし、色々聞いておけばいつか役に立つかもしれない。

 モグラにも相棒のことはあまり聞いてないからな。

 出汁巻の格好に関しては気にしたらダメだ。


 まずは出汁巻の相棒に関して。

 名前は玉子焼。見た通りの武装型だそうだ。


 武装型というのは、武器や防具といったプレイヤー自身が装備して使用するタイプの相棒のことらしい。

 †紅の牙†の黒剣やミーガンの鎌も武装型になる。

 ちなみにタマや動物みたいなのは、自律型と呼ばれる。

 タマはもう自律どころか自由って感じだけど。


 初めて知ったけど、武装型の相棒のステータスは装備しているプレイヤーに上乗せされるらしい。

 ということは一人で二人分のステータスになるのか。

 自律型とはそんな感じで差別化してるんだな。

 聞いた話だと自律型よりも武装型の方が圧倒的に多いらしい。


 出汁巻の相棒はパンツだから装備するとステータスが上がる。

 そして服を脱ぐ程に強くなるユニークスキルがあるから、今のパンツ一丁の姿になっていると。

 ユニークが過ぎる。

 他にも色々スキルはあるらしいけどその辺りはあまり聞かないでおいた。


 各個人のスキルまで聞いたって仕方ないからな。

 俺が知りたいのは仕様の部分だ。


 相棒の強化について。

 相棒の強化は、相棒と同種のものを破壊するか取り込むことで経験値になる。

 うちのタマは相棒をへし折ってモリモリレベルが上がった。

 でもそれだけじゃないような気もする。


 玉子焼はパンツだから、ひたすらパンツを買い漁っては吸収させていったそうだ。

 男物より女物の方が経験値が多いとか、無駄な情報まで嬉々として教えてくれた。


 お金が無くなって女性物のパンツを自作し始めた下りは必要なのか?

 その下着を何故か売ることになって、何故かバカ売れして、そのお金で今の剣を買ったという話はもはやギャグだ。


「副団長!」

「どうした」


 一人の騎士が駆け足でやってきた。

 今度は何だろう。 


「斥候からの報告が届いております!」

「内容は?」

「目標地点にて標的を発見、とのことです」

「よし。予定通りこのまま目標地点を目指す。お前達、準備が出来次第出発するぞ。かかれ!」

「「「はっ」」」


 将軍クワガタの居場所を探っていた斥候が遂に発見したらしい。

 場所は俺が昨日遭遇した場所。

 やっぱり沸く場所は固定なんだろうか。

 陣みたいに見えたのも、気のせいじゃないかもしれない。


「さて、将軍とやらがどれ程のものか楽しみだな」


 パシオンが隣でご機嫌な笑顔を浮かべる。

 もうすぐ素材の生産者に会えるからって、その笑顔は若干気持ち悪い。

 どうせミゼルのことでも思い浮かべてるんだろう。


 不気味な笑顔と独り言を垂れ流しているパシオンを視界に入れないように歩いている内に、見覚えのある辺りにやって来た。

 斥候が立ち止ってこちらに向き直った。 


「この先です」

「よし、止まれ!」


 出汁巻の号令で部隊が止まる。

 討伐目標はもうすぐそこだ。

 タマとおろし金は帰って来ていない。

 放っておいてもひょっこり合流するだろう。


「支援魔法を掛け直せ。行きわたり次第接近し、魔法による先制攻撃を仕掛ける」


 休憩後からここまではほとんどモンスターと遭遇しなかった。

 あの時に集まっていたモンスターで、周囲のモンスターのほとんどだったのかもしれない。

 0ではなかったが消耗もほとんど無い。

 出汁巻もこのまま戦闘に入っても問題ないと判断したようだ。


「支援魔法、行き渡りました!」

「前進!」


 準備が整い、部隊は進む。

 そしてすぐにその巨体を発見した。

 将軍クワガタに間違いない。


 出汁巻が剣を掲げて、振り下ろす。

 相変わらずパンツ一丁だ。

 その合図に合わせて魔法職の騎士達が一斉に詠唱を開始する。

 微妙に個人差はあるがどれも10秒くらいかかりそうだ。


 詠唱ゲージが左から右へ溜まっていく。

 満タンになった魔法から次々に放たれていく。

 大体が地属性に有利な火属性。

 何人かは地属性相手に倍率の変動のない水属性を放っているように見える。


 魔法が将軍クワガタに直撃する。

 爆炎が広がる中を将軍クワガタは騎士達へと向かってくる。

 HPはそこまで減っているように見えない。


「ギチギチギチギチ」


 将軍クワガタが口を鳴らすと、武者クワガタが現れる。

 将軍クワガタも大きな刀のようなものを構えてやる気充分だ。

 あれ、タマが倒した時と武器が違う。

 何が理由で変わるのかな。

 気分か?


「かかれ!」


 壁のように横並びで突進してくる、武者クワガタと足軽クワガタ達。

 負けじと騎士達も突っ込んでいく。

 武者と騎士が激突した。


「うおおおお!」


 出汁巻は騎士と武者クワガタの戦線を飛び越えて将軍クワガタに切りかかって行った。

 2人程後へ続く。

 取り巻きを前衛職の騎士達が、将軍クワガタを出汁巻と2名の騎士が抑え込んでいる内に魔法で倒す作戦だそうだ。


 ソードビートルが寄って来てる気がする。

 俺も自分の役目を果たそう。

 

 そうして、二十数分が経過した。

 戦闘は順調だ。

 取り巻きの武者クワガタは問題なく倒せている。

 将軍クワガタも多少苦戦しているみたいだけど、出汁巻と選りすぐりの2人で抑え込めている。


 後は魔法を叩き込み続けられれば勝てる。

 問題はHPが減ってからの猛烈なラッシュだけど……出汁巻がなんとかするだろう。


 俺はマフィーと共に周りからやってくるモンスターを狩っていた。

 休憩を挟む直前より少ないものの、やっぱりそこそこ寄ってくる。

 匂いか何かで呼び寄せてるのかもしれない。


 支援役の騎士の背中へ飛んで行こうとするソードビートルを斬って落とす。

 詠唱中の魔法職を射ようとするクワガタ弓兵を斬って捨てる。

 マフィーも駆けまわって、将軍クワガタの討伐を妨害させないようにしている。


 その時、森の奥から何か大きなものが飛んでくる気配を感じ取った。

 それはマフィーのいる方角だった。



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