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53 裸の騎士様

累計閲覧40万PV突破しました!

本当にありがとうございます!

これからも応援よろしくお願いします!


 ストーレの森04へと到着した。

 先に入った騎士達はしっかりと陣形を保っている。

 まだ戦闘にはなっていないらしい。

 MAP切り替え直後はモンスターが反応しない仕様になってるのかもしれないな。


「敵を蹴散らしつつ目標を探す! まずは目撃情報のあったポイントまで向かうぞ! 進め!」

 

 出汁巻の号令で騎士達は歩き出した。

 目的はMVPモンスターである将軍クワガタの素材だ。

 この過酷なMAPで探しながら進むのは大変だと言う事で、ひとまずは前回俺が戦った場所へ向かっている。

 なんか陣地みたいに見えたからな。


 そこにも先行して斥候が向かっているから、その内に居るかどうかを報告してくれるだろう。

 もしいなければ一旦待機して、斥候チームの活躍に期待するしかなくなるそうだ。


「モジャモジャー、来てるよー」


 タマが袖を引っ張った。

 何かと思ったら敵の接近を教えてくれていた。

 どうしよう、騎士の人達に教えた方がいいのかな。


「敵か?」

「はい、そうみたいです。どうしましょう?」

「心配は無用だ。我が騎士団にも備えはある」

「分かりました。タマはすぐに分かってすごいなー」

「うへへー」


 パシオンがそう言うならいいか。

 周りには知らせずにタマの頭を撫でる。


「前方より武者クワガタが接近! 右手からはソードビートルが高速で向かって来ています!」

「迎撃用意!」


 すると、魔法職の騎士が大きな声をあげた。

 索敵用の魔法でも使ってたんだろうか。

 確かにモンスターの接近を察知してるみたいだし、余計なお世話だったようだ。


 戦闘の様子はどうか。

 騎士の人達は強かった。

 各職業の人達が数人ずつで連携をとっている。

 分かりやすく言うと、いくつかのパーティーに分かれているかのような動きだ。

 前衛2人か3人に火力の魔法職や支援職が何人かずつ続く。


 あるパーティーは、お供の足軽クワガタを蹴散らしながら、武者クワガタへと真っ向から挑む。

 あるパーティーは、後衛へと高速で突撃してくるソードビートルを迎え撃つ。

 あるパーティーは、パシオンへの攻撃を防ぎつつ、更なる敵の襲来を警戒している。

 あるパーティーは、隠れて狙撃しようとするクワガタ弓兵へと切り込んでいく。


 中には単独でクワガタ弓兵を倒していく魔法職の人もいた。

 動きも早いし魔法の出も速度も速い。

 高速で動きながら高速で火の魔法を叩き込んでいく様子は、とてもスタイリッシュだ。

 かっこいい。


 騎士団は向かってくるモンスターを倒しながら奥へと進んでいく。

 しかし数が多いな。

 こっちの人数が多いせいか?

 周辺の敵がすごい勢いで群がって来てるような気がするぞ。


 数には数を。

 騎士達の連携でモンスター達を蹴散らしながら、そこそこ進んできた。


 ここからが危険だ。

 入口付近と違って後方からも攻撃やソードビーが飛んで来たりするし、武者クワガタに挟み撃ちされてもおかしくないからな。


 今は、結構な乱戦状態だ。

 見えるだけでも武者クワガタが3体と取り巻きの足軽クワガタ達に、周りには木々に隠れて射撃してくるクワガタ弓兵が5体。

 そしてソードビートルが6体飛び交っている。

 敵の数が多いせいで、一体一体を倒すのに時間がかかっている。

 そのせいで少しずつ敵の数が増えているようだ。


 武者クワガタって結構な強敵らしいからな。

 モグラも1体だけならパーティーで挑めば勝てるって言ってたし。

 このエリアで存分に試し切りしてもらった時は、要所要所でサポートしてたし、増えないようにタマとおろし金が周りのモンスターを適度に倒してたから出来たことだ。

 やっぱりさくさく倒せないとこの森はきついんだなぁ。



「武者クワガタがもう一体左手から向かって来ています!」

「オレが行く! ここは任せる!」


 焦ったような索敵担当の声が響く。

 それに応えたのは、出汁巻玉子だった。

 出汁巻玉子はここまで先頭集団の後ろで、ずっと様子を見ていた。

 騎士達の戦う様子を見たかったのか?

 もしくは、どこまでやれるのか確認したかったのかもしれない。


 そして新たに登場した武者クワガタへと襲い掛かる。


「竜炎刃!」


 何かのスキルを使ったっぽい。

 お供の足軽クワガタはバラバラに砕け散り、武者クワガタにも結構なダメージを負わせている。

 見た感じ、炎の剣圧で範囲攻撃をするスキルみたいだ。

 ここのモンスターは大体地属性だから、火属性のスキルはよく通る。


 そして危なげなく武者クワガタを倒してしまった。

 だけど騎士達が相手をしているモンスターは更に増えてしまっている。

 いくつかのパーティーは抑えきれずに決壊寸前だ。

 大丈夫なんだろうか。


「思ったよりも数が多すぎるな。仕方ない……少し本気を出すとするか。貴様ら! 持ちこたえて見せろ!」

「「「はっ!」」」

「ほう、出汁巻玉子が本気を出すようだぞ」


 出汁巻玉子の本気?

 トッププレイヤーの一人らしいし、さっきので全力ではないとは思ったけど。

 何かスキルを使ったりするんだろうか。


 出汁巻玉子が剣と盾を地面に置いた。

 そして騎士鎧を外し始めた。

 まさか、あれは拘束具だったとかそういうパターンなのか!?


 全身鎧を脱ぎ終わった出汁巻玉子は、初心者装備に近い軽装だ。

 さぁここから出汁巻玉子の本気が……ってあれ?

 なんでまだ脱ぐんだ?


 出汁巻玉子はどんどん脱いでいく。

 肌着まで脱ぎ捨てて、ついに出汁巻玉子はパンツ一枚になってしまった。

 正真正銘、真っ黄色のトランクスだけだ。

 ふざけてるのか?


 そして出汁巻玉子は地面に置いていた剣だけを手に取った。

 走り出そうとしたそこへ武者クワガタの相手をしていた騎士が弾き飛ばされて来て、出汁巻玉子に受け止められた。


「ぐうっ!」

「おっと、しっかりしろ。ふん!」

「ギシャア!」


 武者クワガタはそのまま出汁巻玉子へと襲い掛かり、十字に切り裂かれて倒れた。


 出汁巻玉子はモンスター達を次々に撃破していった。

 見る見る内に数を減らし、やがて戦っていたモンスター達は出汁巻玉子によって殲滅された。

 速さも攻撃力もさっきまでと全然違う。


 スキルの威力も桁違いになってたみたいだ。

 複数の武者クワガタを一撃でまとめて倒したりもしてたぞ。


「あれこそが、脱げば脱ぐ程強くなるという奴のユニークスキル、≪裸の騎士様(ナイトオブマッパ)≫だ」


 あれがトッププレイヤー……。

 なんて恐ろしいんだ。

 


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