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5 初めてのユニークスキル


 突然現れてPKを撃退してくれたプレイヤー、モグラもやはりファンタジー風なこのゲームの世界感に溶け込んだ立派な装備を着用している。

 分厚そうな布の服に、金属の胸当て。

 肩と腕、脚に当たりに部分的な装甲。

 腰には剣が鞘ごと差してある。


 何故かサングラスをしているのが印象的だ。

 怪しさは増すが、茶色くて爽やかな感じの髪型に妙にマッチしている。


 疑心暗鬼になりつつも、突然豹変したり攻撃されたりということはなかった。

 少し会話もした。

 話をした限りでは、まともそうだ。

 でもさっきのPK野郎のこともあるからまだ信用しきれない。


 モグラに連れてこられたのは草原。

 俺が最初に降り立った地でもあり、さっき白耳兎と激闘を繰り広げた場でもある。


 何をするのかと思えば、俺のレベル上げに付き合ってくれるらしい。

 モグラ曰く、最近は初心者を狙って襲うプレイヤーが出てきているらしく、早く初心者装備を脱出した方がいいとのことだった。


 ノービスの職業レベルを10にすれば転職が出来る。

 転職をすればその職業に応じた初期装備がもらえるから、少なくともそれを装備しておけば初心者だとばれにくくなるそうだ。


 そんな訳で俺を助けてくれた謎の男モグラに連れられて、この草原へ戻ってきたのである。

 がっつり減っていたHPはモグラにもらったアイテムでフルで回復してある。

 準備は万端だ。


 この世界はゲームだけど死ねばそこで終わり。

 本当の意味でゲームオーバーだ。

 それを知っていて殺そうとするなんて、実際に襲われて助けられて話を聞いても俺には中々理解出来なかった。


 モグラが言うにはゲームを始めてからしばらくすれば、よっぽど無頓着でない限り色々情報が仕入れられる。

 その中でプレイヤーを襲う理由になる情報もあるらしい。

 詳しくは教えてくれなかった。


 だけど、呑気な俺に大事なことを教えてくれた。


 ゲームの中の俺達に実感はないが、この世界は現実世界の24倍の速度で時間が流れている。

 つまり、現実世界で1日経てばゲームの中では24日経っている。

 今回の実験に応募して実際に参加するにあたって書類審査や面談なんかもあった。そしてそこから手術なんかもある。全員が同じタイミングで始めているわけじゃない。


 俺がゲームを始めた今日より前、例えば2日前ならゲーム内では48日経過している。

 それだけあればレベルだって全然違うだろう。

 実際さっき俺を襲ったミーガンはシーフに転職していたらしい。

 呑気に構えてる場合じゃなかった。


 幸いなのは、その情報とやらを聞いてもプレイヤーを襲うのを良しとするのはかなりの少数派だってことだ。

 モグラが言うには、今回の実験の参加者は俺みたいな一般人だけじゃなくて囚人みたいなのもいるから用心するにこしたことはないらしい。


 初心者丸出しの俺に手助けしようと思ったところで近寄っていくミーガンを見て、モグラは少し様子を見ていてくれたそうだ。

 何もなければそれでよし、万が一があれば助けようと。

 おかげで助かった。


 助かりついでにレベル上げもお世話になることにした。

 変に遠慮をするよりも、今はお世話になって近いうちに恩を返した方が絶対にいい。

 呑気にしてて殺されたら何の意味も無いし。


 レベル上げのお手伝いとはどういうことかと思ったら、簡単な事だった。

 そこらで跳ねている白耳兎をモグラが素手で小突く。

 兎が体当たりで反撃したところでモグラは兎を抱きかかえるようにして受け止めて、地面に叩きつけた。

 仰向けのまま衝撃で動けない兎の喉元を狙ってナイフを振り下ろす。

 モグラ曰くこのゲームは無駄にリアルな感じに拘っているらしく、頭や心臓を潰せば大抵の敵はHPが0になるし急所を狙えば大ダメージだそうだ。


「おめー」

「ありがとうございます」


 3匹程狩ったところで女神のエフェクトがぶわぁっとなった。同時に職業レベルも上がったみたいで花火が女神を強襲していた。


「振り方決まってるならステータスふっちゃっていいよ。スキルも振って良いしどんなスキルがいいか悩むなら相談も乗るよ」


 と言ってもらったので腰を下ろしてステータスを振ることにした。

 モグラも俺の正面に座った。


名前:ナガマサ

種族:人

Lv:3(1↑)

Str:5(1↑)

Vit:4

Agi:6

Dex:14(2↑)

Int:7

Luc:2


 とりあえず得意分野のDexに2。

 後は無難に攻撃力を上げる為にStrに1だ。

 これから何に転職して、どんな武器を使うかなんてわからないけどこれでいいだろう。


 せっかくだしスキルもとっておこう。

 早めにとればそれだけ鍛えられてレベルが上がっていくし。

 早くとらないと勿体ない。


 基礎ポイントが今のレベルアップ分とチュートリアルの分で2ポイントある。

 これは両方パーソナルスキルだな。迷う。

 職業レベル分も1あるけどこれも悩む。

 何がいいのか全く分からない。


 手助けついでにモグラにスキルについて相談してみると、いくつかおススメを教えてくれた。

 それと、特別なスキルについても説明してくれた。

 俺のパーソナルスキルのスキルツリーには俺に適正のある、まさに個人的なスキルリストになっている。


 だけどそれらのスキルは、適正とポイントさえ振れば多数のプレイヤーが取得出来るような、広く普及されたスキルだ。

 ものによってはNPCですら使っているらしい。


 その中でも、俺にしか取得することの出来ないスキルというものも存在する。

 それは≪ユニークスキル≫と呼ばれ、スキルツリーの中での縁が金色になっていて実に目立つ。

 そう、俺にもユニークスキルがあるわけだ。

 完全に個性が出るらしく、多い人もいれば、取得出来ない人もいるらしい。


 ユニークスキルは大半が強力な効果を持つ。

 だからよっぽど大きなマイナス効果でもない限りは取得するのがおすすめらしい。

 なるほど。

 じゃあとりあえずこのスキルをとってみよう。

 手伝ってもらってる訳だし時間を掛け過ぎるのもあれだな。説明は後で読めばいいだろ。


職業:ノービス

職業Lv:3(1↑)


スキル:

サバイバルの心構え Lv1

武器修練 Lv1(New)


我が道を行く Lv1(New)

封印の左腕 Lv1(New)


 よし、これでオッケー。

 お待たせしてすみません。続きと行きましょう。








ユニークスキル≪我が道を行く≫の効果によりパーソナルスキルのスキルツリーが刷新されました。

ユニークスキル≪封印の左腕≫の効果により≪サバイバルの心構え≫≪武器修練≫が使用不能状態になりました。



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友人に騙されたお陰でラスボスを魅了しちゃいました!~友人に裏切られた後、ラスボス系褐色美少女のお嫁さんとして幸せな日々を過ごす私が【真のラスボス】と呼ばれるまで~
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