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40 ゴロウの練習

(祝)累計500pt突破!

閲覧も累計5万VP突破しました!

まだ困惑しておりますがこれからも応援よろしくお願いします!

良ければ感想とかもお願いします!


 結局ストーレの森へやってきた。

 もちろんストーレフィールド05からすぐ下のMAP、ストーレの森01だ。

 この先は、戦闘をろくにしたことのないゴロウを連れて行くには厳しいだろう。

 何かあったら責任が取れない。

 モグラなら連れて行っても大丈夫かな?


「よーし、とりあえず危なくなったら俺達が手出すから心配せず狩ってみなよ」

「よっしゃ、はりきって狩るぞー。冒険者デビューだ!」

「だー!」


 ゴロウは張り切っている。

 タマも調子を合わせてご機嫌だ。


 このMAPにアクティブモンスターは、≪青准士官≫という大き目のヘビと武者クワガタしかいない。

 だからゆっくり足軽クワガタと戦わせておけば、危険はないだろうとの判断だ。

 ヘビは発見次第誰かが狩る。

 ここの武者クワガタは、一度倒すと数時間は出現しないそうだ。


「いたぞゴロウちゃん」

「おお、こいつが足軽クワガタか。いざ尋常に勝負!」


 ゴロウが短剣を振り下ろす。

 Dexが高いたげあって、攻撃は適格に命中しているようだ。

 しかし安定しているとは言い難い。


「いだだだだだだだ!」

「落ち着いてゴロウちゃん。HPは全然余裕だから!」


 タイミングを間違えて、短剣を振り下ろした右腕をがっちり挟まれた。

 立派な顎が腕に食い込んで、見た目はかなり痛そうだ。

 でも実際は、基本レベルがそこそこ高いお蔭でダメージはさほどでもないらしい。

 モグラもそんなに慌てていない。


「無理無理無理! もげるもげるもげた!」


 ただ本人的にはそうじゃないらしい。

 パニックになっている。

 もげてないもげてない。


「とりあえず一度倒しますか?」

「そうしよっか」

「どーん!」

「どわぁ!?」


 なんだか助けないといけないような気がしてモグラに提案してみた。

 モグラは呆れながらも了解してくれた。


 そこですかさずタマの放った結晶が、足軽クワガタを貫いた。

 タマの反応が早い。

 だけどパーティーを組んでない状態だと、ゴロウに当たったらシャレで済まないんじゃ?

 タマの狙いは正確だから大丈夫か。


「死ぬかと思った。マジ腕もげたかと思った」

「相手の動きをよく見て攻撃しないとね」


 ゴロウはなんとか落ち着いたらしい。

 モグラがすかさずアドバイスをしている。

 初心者のお手伝いは慣れてる感じがする。

 俺も色々お世話になったもんな。

 

 そんな俺が一緒にお世話なんて、少しは成長したのかな。

 ステータスはアホみたいに成長してるけど。


「タマがみほん見せるー!」

「ええ?」


 突然タマが変なことを言いだした。

 見本ってお前、見本になるような戦い方出来るのか?


「おお、タマちゃんの見本見たい! 超見たい!」


 ゴロウがまさかの食いつきを見せた。

 別にいいんだけど……。


「どうしましょう?」

「見せてやってよ。参考になるかは分からないけど」


 モグラがいいって言うならいいか。

 モグラにはタマが相棒を何本かへし折って急成長したことは伝えてあるし、武者クワガタもタマのお蔭で倒せたと話してある。

 タマの戦いを見せても多分大丈夫だろう。


「よし、じゃあ今度足軽クワガタを見つけたらお手本を見せてあげてくれ」

「らじゃー!」

「うへ、タマちゃんかわええのう、ふへへ」


 何か今恐ろしい言葉が聞こえたような気がする。

 気のせいか?


「はっけんしました!」


 少し歩くとタマが足軽クワガタを発見した。

 やる気は十分だ。

 ノンアクティブなのでとりあえずは全員で足軽クワガタを囲む。


「いいかゴロー! こうずばっってやってしゅばっからのがっ、ってやったらいちころだ!」

「すごい全然分からない!」

「オレも分からないんだけど、ナガマサさんは?」

「分かりませんね」


 ゴロウには伝わらなかったようだ。

 だろうね。

 俺も全く分からない。


「じつえんするからちゃんと見ておくように!」

「おなしゃす!」

「とおっ!」


 足軽クワガタは、タマに背中を向けて地面をのそのそ歩いている。

 そこに挨拶代りに放たれたのはタマの手刀。

 それは別れの挨拶となって、足軽クワガタの身体を木端微塵にした。


「こうだよ!」

「出来ません!」


 タマはどこか誇らしげだ。

 やっぱり見本になりそうにない。

 ボケかと思ったら、ゴロウはツッコミもいけるらしい。


「俺がやってもああはならないんだけどナガマサさんは出来るの?」

「多分出来ると思います」

「出来るんだ……」

「あはははは……」


 ここは笑って誤魔化そう。


 そんなこんながあっても、狩りは続く。

 特に危険な場面も無く、終始和やかだ。


「おー、なんとなく感覚が掴めてきた」


 しばらく森の中をうろつきながら足軽クワガタを狩って行った。

 その中でゴロウも慣れてきたらしい。

 足軽クワガタは動きは遅いし攻撃も分かりやすいし、そこそこ堅いから練習にはいいかもしれない。


 しっかり挟まれて痛い目を見たお陰で相手の動きをきちんと見るようになったんだよ、とモグラがこっそり教えてくれた。

 なるほど。

 甘やかすだけが教育じゃないんだな。


「お、レベル上がった」


 女神のエフェクトがぶわぁっとなって消えていく。

 なんか今ダブルピースしてなかった?


「おめでとうございます」

「おめでとー!」

「おめー。なんかいいスキル取れた?」


 ゴロウがウインドウを操作しているところでモグラが覗きこむ。

 そういえば他の人のスキル構成とか聞いたこと無かったな。

 俺は≪我が道を行く≫のせいでパーソナルスキルから普通のスキル消えたからなぁ。

 職業も他にいないっぽくて参考に出来ないし。


「面白そうなユニークスキルがとれた」

「おっ、どんなの?」

「内緒ー」

「おま、この野郎!」

「タマもー!」

「あー! タマちゃんは力強すぎるからだめあばばばばばばばば!! 折れる折れる!」


 とりあえずは楽しければいいや。

 こんな感じで和気藹々と暮らしていければ。

 その為には邪魔されないようにしっかり力をつけとかないとな。



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