閑話 楽しい家族の作り方 2
「モグラ、モグラ」
「どうしたナナコ?」
「妹、出来た?」
「あー、妹ね。準備はばっちり出来てるよ」
「準備?」
「うん、準備。ナナコのデータを使って素体を作ったんだー。後は、人格を設定するだけで誕生するよ」
「どうして完成させないの?」
「せっかくだから、ナナコに設定してもらおうかと思って。オレがやるよりも、ナナコの好きにした方が理想の妹になりそうでしょ?」
「おお。流石モグラ、賢い」
「ほらほら、やっちゃって。俺ももうすぐ大詰めだから、完成したらお披露目してね」
「分かった」
「えーっと、あとはこんな感じで……」
「モグラ、モグラ」
「何?」
「出来た」
「おお、早いね」
「人格の設定だけだから」
「それじゃあ、お披露目よろしく」
「分かった。エイト、起きて」
「おはようございます!!!!」
「声でかっ!? なにこれ!」
「賑やかになると思って」
「モグラ!! わたしの名前は自律型管理用AIバージョンはち!!」
「通称エイト」
「賑やかってこういうことじゃなくない!?」
「エイトと呼んでください!!!!」
「うるさっ! これなんとかならないの!?」
「音量下げた」
「よろしく、モグラ」
「いや、これだとナナコと同じじゃない?」
「音量以外変えてなかった」
「よろしく、お姉様」
「オレはこのままでもいいと思うけど」
「……エイト」
「はい」
「貴女は生まれてこなかった」
「あっ――」
「凍結完了」
「えぐいことするなぁ」
「モグラ、改良お願い。賑やかな妹」
「はいはい、任せといてよ」
「エイト、貴女のことは忘れない」
「全部ナナコがやったことだけどね」