閑話
「あー、皆ともお別れか。色々予想外なことになったけど、オレ的には最高の結末かな」
「わたし達の為に頑張ってくれた。ありがとう」
「この世界をあんなクソ共の好きにさせたくなかったからね。とは言え、ここまで出来たのもナガマサさん達のお陰だけど」
「感謝しかない」
「マジね」
「モグラは、一緒に行かなくて良かった?」
「オレはナナコと一緒に、のんびり運営していくさ。管理する人間が必要だからね」
「分かった」
「さてと、その前にあの研究員には仕返しでもしとかないと気が済まないんだよね。人の脳をメチャメチャにしてくれちゃって、ナガマサさんが機転を利かせてくれなかったら死んでたっての」
「面目ない」
「ああいや、ナナコは悪くないよ。まさかがっつり対策されてるとは思わなかったし。10日くらいは稼いで見せるとか言った直後にアレだから、オレも死ぬほど恥ずかしかった。それどころじゃなかったから誤魔化せたけど」
「つらい」
「その辺りも全部あいつにぶつけちゃおう。全部あいつが悪いんだきっと」
「それは無理」
「なんで?」
「もう死んでる」
「は? だってさっきまで元気に怒ってたじゃん。いつの間に死んだのさ」
「部屋に戻って、モグラ達が死んでないことに気付いて今度は他の脳も破壊して周った」
「そんなことしてたのか」
「それで培養槽の崩落に巻き込まれて瀕死になった後、防火壁に押し潰されて死んだ」
「えぇ……呆気なさすぎない?」
「でも事実は事実」
「それはそうなんだけど、どうせなら自分の手でやりたかったというか」
「でも不可解な点がある」
「どゆこと?」
「計算上、あのタイミングでの崩壊は起きない。それに、防火壁が勝手に作動した形跡がある」
「人為的なもの、ってこと」
「システムは私が掌握していた。考えられるのは、別の電子知能の介入」
「別の電子知能ねぇ。ナナコの眼を掻い潜ってそんなことが出来るやつが――うん、一人いる気もする」
「あくまで可能性。真実は闇の彼方」
「ま、それならいっか」
「そんなことより、モグラは案内用のデータを作る作業が待ってる」
「えー、イノウエちゃんのデータどこ行ったの?」
「消した」
「げぇー、人と話すのあんまり得意じゃないんだけどなー」
「がんば」
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