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今回の話から最終章となります

もうしばらくの応援をよろしくお願いします


 βNPCへの殺意マシマシイベント終了から、一週間。

 俺はゼノに呼び出されて、ストーレの街へ来ていた。

 適当に入った酒場で、適当に料理を摘まんでいる。

 タマはシュシュやルインと一緒になって、料理に夢中だ。色々注文しておくと静かでいいとは、ゼノの零した言葉だ。


「次のイベント?」

「ああ、今日告知があった」

「この間終わったばかりなのに、もう次のイベントかー……」

「少し早い気もするが、近頃は大体このくらいの間隔だ」

「そうなの?」

「ああ」


 ゼノが俺に教えてくれたのは、次に始まるイベントの件だった。

 まだ一週間しか経ってないのにもう次のイベントが始まるなんて、早すぎる。なんて思ったけど、ゼノ的には普通のことらしい。

 近頃のゲームはそうなのかな。

 もしかしたら、この世界の時間の流れが現実の二倍というのも関係しているかもしれない。


「それで、どういう内容なの?」

「それなんだが、今回はイベントダンジョンの実装、らしい」

「イベントダンジョン?」

「期間限定のダンジョンで、モンスターを倒しながら登って行く塔みたいな感じだな。前回みたいな――対人系ではないらしい」

「そっか、それは良かった」


 詳しくはまだ分からないらしいが、βNPCを狩るようなやつじゃないのが分かっただけでも良かった。

 きっとゼノも、中途半端に情報が耳に入る前に安心させたかったんだろう。

 有難いことだ。


 ゼノは、昔俺の妹と一緒にゲームをプレイしていた少年だ。

 優しい性格で、俺とも一緒に遊んでくれたりもした。

 ゲームの中ではクール系のロールプレイをする子で、それは今も、この世界でも変わっていない。

 勿論俺の事は話せないが、相変わらず仲良くしてもらっている。


「それはアタシの!」

「タマのー!」

「ふふん、隙あり!」

「タマキャッチ!」

「「ああー!?」」


 タマも、女子二人に遊んでもらって楽しそうだ。

 だけど食事中はもうちょっと大人しくしような。


「色々と教えてくれてありがとう。それじゃあまた」

「まったねー!」

「ああ、気を付けてな」

「うぅ、次こそは負けないわよ!」

「ナガマサさん、タマちゃん、またね!」


 しばらく雑談に花を咲かせた後、解散となった。

 タマはご機嫌で、ルインは何やら悔しそうだ。どうやらお肉の争奪戦に負けたらしい。

 シュシュはそんなことは関係なさそうに、元気よく手を振ってくれている。

 軽く手を振り返して、宿の方へ向けて歩き出した。


 次の日。

 久しぶりの宿のベッドで目を覚ました。

 タマは……いない。

 まだ朝5時だし、多分どこかへ出掛けてるんだろう。


 まだ時間も早いし、二度寝でもするか。


 ……うーん、微妙に眠気が足りない。

 予定も無くて時間に余裕がある時に限って、目覚めが良かったりするんだよな。

 困ったものだ。


 暇つぶしにウインドウを開くと、メッセージが届いていた。

 差出人はモグラ。

 イベントの後はしばらく会ってなかったけど、何かあったんだろうか。


 気にはなるが、特に心配とかはない。

 モグラは俺なんかよりもよっぽどしっかりしてるし、学校でガンガン強くなった。

 ちょっとやそっとじゃ、困ったりはしないだろう。


 メッセージを開くと、そこには会って話がしたいと書いてあった。

 詳細は分からないがとにかく会えば分かるだろう。


 丁度今日は暇で、しかもストーレにいるから今からでも会えると返信しておく。

 モグラももう起きていたらしく、すぐさま返信が来た。

 今日の八時に下の食堂で待ち合わせ、か。

 気を遣ってくれたらしい。近いから遅刻の心配がなくていいね。


 一旦待ち合わせに備えて、二度寝の体勢に入った。


「あーたーらしーいーモジャが来たモジャー!」

「うわっ!?」


 歌のようなそうでないような、不思議な何かを口ずさんでいるタマに布団をはぎ取られた。

 窓からは光が差し込んでいて、すっかり朝だ。

 時間は――7時半か。

 待ち合わせには丁度良い時間だ。


「ありがとうタマ。準備が出来たら朝ごはんにしよう」

「わーい!」


 ストレージからいつもの一式を選んで装備する。

 街中だから剣と盾は仕舞っておく。

 結構でかいから、人の多い所だと邪魔になるんだよな。

 もうイベントも終わって街中ではダメージが発生しないから、問題ない筈だ。


 タマも愛用の鎧を装備して、準備完了だ。

 ご機嫌な顔でビシッとポーズを決めている。


 それじゃあ下に降りるとしよう。


 階段を降りると、そこは食堂のようなスペースになっている。

 隅の方のテーブルに、見慣れた姿が既にあった。


「おはようございます」

「モグラだー! おっはよー!」

「二人ともおはよう。急に呼び出したりなんかしてごめんね」


 まだ待ち合わせの時間まで二十分以上あるのに、相変わらず早い。

 朝ごはんを済ませてからのつもりだったが、まあ食べながらでも良いだろう。


 それぞれ好きなものを注文して、改めて席につく。

 用件が何なのか、気になってたからな。


「それで、どうしたんですか?」

「実はナガマサさんにお願いがあってね」

「どんどん言ってください。モグラさんのお願いなら、出来る限りのことはしますよ」

「はは、ありがとうね。ナガマサさんは、次のイベントの事はもう聞いた?」


 次のイベント?

 昨日、ゼノが教えてくれたやつのことだろうか。


「モンスターを倒しながら登って行く、塔みたいなやつのことですか?」

「そうそう、それだよ。そのイベントを、オレと一緒に攻略して欲しいんだ」



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― 新着の感想 ―
[一言] こちらは完結するまで、そりゃあもう楽しんで読ませて頂くだけです。 …………モグラさんと、誰かさんが残したデータの攻略かぁ。 モグラさんと一緒なら、攻略はほぼ保証されたものですねぇ(ジト目…
[一言] この作品も終わっちゃうのかー
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