閑話
本日二回目の更新となります。
閑話なので短いです。
「なんだこれは……一体どうなっているんだ?」
「どういうことっすかね」
「どういうことっすかね、じゃない。βNPCが半分も減っていない上に、このクレームの山はなんだ? 私が久しぶりの休暇を取っている間に何があったのか、簡潔に説明しろ」
「あー、なんか一人のβNPCがやりたい放題やったみたいっすね」
「例の被検体06238か。まさかここまでのことをしでかすとは……。全く、酷い有様だ。計画通り進行するだろうと休暇を取ったと言うのに」
「ほんとっすね。イベント中、逆に狩られまくった一般プレイヤーが激おこっすよ」
「それがこのクレームの山、というわけか。一体何をどうやったらこんなことになる?」
「今ログを確認するのでちょっと待ってください。えーっと、まず学校を作ったみたいっすね」
「ふむ」
「得られる経験値が約千倍、レベルアップしたらステータスポイントとスキルポイントが山ほどもらえるチート仕様っす」
「ほう」
「そこで他のβNPCを鍛えていったみたいっすね」
「なるほど。だから、バランスがおかしいなどというクレームが大量にあるわけだな」
「みたいっすね。あとは、被検体06238の相棒が大量に分裂して、マップ全域に渡って一般プレイヤーを狩って周っていたようです」
「久しぶりに動向を聞いたが、相変わらず頭のおかしいことをやっているようだな」
「これはやばいっすね。そろそろ強制排除っすか?」
「いいや、それはしない」
「理由を聞いても?」
「脳をこっちが握っている以上、消すのは簡単だ。だがそれでは、こちらの気が収まらない。こいつには深く絶望した上でゲームオーバーを迎えさせてやりたくなった」
「なるほど。流石鬼っすね」
「なんとでも言え。だが、それには少し時間が必要だ」
「満足度が下がると、それはそれで怒られちゃいますもんね……」
「ゲームの運営など、専門業者に任せてしまえばいいとどれだけ思ったことか」
「段々楽しくなってきましたけどね」
「我々の本分は研究だ。忘れるんじゃないぞ」
「勿論分かってますって!」
「はあ、とりあえずは満足度の回復だ。そっちが落ち着いたら、次のイベントでβNPC共にはより一層の絶望を味わってもらうことにしよう」
「了解っす。でも、どうするんすか?」
「これを開発した連中が残していったイベントのデータがあるだろ。それをそのまま使ってしまえ。細かいチェックは任せたぞ」
「うぇー……」
「私は色々とすることがあるんだ。任せたぞ」
「へーい……」
 




