表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

382/407

324

遅くなりまして、すみません。

本日の更新で、しばらく更新をお休み致します。

人気投票も実施しますので、詳しくは活動報告をご覧ください!


 バブロンの謝罪も無事終わった。

 キャロラにとっては酷い光景だったかもしれないけど、慰謝料も払われたわけだし多分良かったんだろう。

 バブロンも満足そうに去って行った。

 蹴られたこと自体に気持ち良さを感じてたわけではないと、信じたい。


「ありがとうございました……」

「お疲れ様でした。大丈夫ですか?」

「はい、なんとか……。それじゃあ私も、準備してきます」


 キャロラも一礼したあと、旅立つ準備に向かった。

 疲れ果ててたように見えたけど、本当に大丈夫かな?

 まあ、なんとかなるだろう。


 まだ生徒達の出発までは時間がある。

 購買の方を覗いてみるか。

 

「まいどあり」

「ありゃっしたー!」

「したー!」


 そこには、狭い空間に敷き詰まってる筋肉達がいた。

 タケダには狭そうだったから拡張したけど、流石に二人は無理だ。

 外側では、タマが列の整理をしながら筋太郎の真似をしている。

 お手伝いが出来て楽しそうだ。


 時間もある程度経ったと思ってたけど、まだ生徒達は十人程並んでいる。

 リストを見ながら悩んでる人がいたんだろうか。

 迷惑になるといけないから、離れた場所から眺めることにする。

 

 大体十分程で、生徒達は皆満足そうな表情と一緒に去って行った。

 残りの生徒達の買い物もスムーズに終わったようだ。


 十分な準備が出来ただろうか。

 怯えたり不安そうな顔の生徒はいなかったから、きっと大丈夫だとは思うけど。

 ステータスはすごい伸びてる筈だし。

 保険もつけるし。


 タケダ達は片づけを始めている。

 もう大丈夫そうだな。

 タマがどこかへ駆け出す前に挨拶をしとこう。 


「タケダさん、筋太郎さん。お疲れ様です」

「モジャだー!」

「おお、ナガマサさん。いいタイミングだな」

「丁度客が()けたとこだ。ナイスマッスルってやつだな!」

「ナイスマッスル!」

「マッスル!」


 筋太郎の言葉にタケダが反応する。

 二人してポーズを決めてるけど、場所が悪い。

 ただでさえミチッてる筋肉が更に膨張して、やばいことになってる。

 

 購買は銀行みたいに、透明な板に小窓が空いてる方式だから、中の光景が丸見えだ。

 筋肉が好きな人だったら喜ぶのかもしれない。

 とりあえず、目の前で可愛くポーズをとっているタマの頭を撫でておく。


「しかしあれだな。この騒がしい毎日ももう終わりだと思うと、ちと寂しいものがあるな」

「全くだわい。学校生活なんて何年振りかも忘れたが、楽しかった。筋肉が踊り狂って有頂天って奴だ!」

「ああ、全くだな」


 タケダも筋太郎も、この数日を楽しんで過ごせたようだ。

 学校を思いついた俺としては、とても嬉しい言葉だ。


 教師陣の中でもタケダは、雑務全般を担ってくれていた。

 もしも負担になってたらと心配してたんだよな。

 勿論確認はしてみたけど、気遣いの出来るタケダが素直に言ってくれるかは分からない。


「ここのダンジョンのモンスターは、硬くて叩き甲斐があったな」

「んだな。ここへ来てすぐに挑んだが、まさかろくにダメージが出ないとは思わんかったわい!」

「俺もだ。お陰で、いつもよりも筋トレに力が入ったぜ」

「おお、儂も儂も。やはり、張り合いがないといかんな。≪練筋術師≫に転職した今でも油断がならん、いい場所だあそこは!」


 だけど、その心配もいらなかったようだ。

 ここ数日の思い出を楽しそうに語る二人の笑顔は、素直な気持ちの表れだ。きっと。多分。


「っと、それで、どうしたんだ?」

「まだ時間もあるし皆の様子を見ようかと。あとは、タケダさんにももう一度お礼を言っておこうかと思いまして。ありがとうございました」

「ありがとう!」


 頭を下げる。

 タマも一緒に、俺の隣で元気よく頭を下げている。

 頭上からは、タケダの困ったような笑い声と、筋太郎の豪快な笑い声が降ってくる。


「がっはっはっはっは! いやあ、あんたは本当に人が良いな!」

「おいおいナガマサさん、頭を上げてくれ。お礼を言うのは俺達の方だ」


 タケダの言う通りに頭を上げる。

 声から感じたように、困ったような微妙な笑顔を浮かべている。

 

「そうだぞナガマサさんよ。あんたは儂らを鍛えてくれた。これは、ちょっとやそっとじゃ返し切れん程の恩だ」


 それから、二人からお説教のようなものをもらった。

 タケダが言うには、これくらいの手伝いじゃ返し切れないと思ってるらしい。

 だから感謝されると、申し訳なさが余計に膨らむんだそうだ。


 難しい。

 俺一人じゃこの学校を運営出来なかった。

 特に結婚式までは準備やら何やらで、ほとんど任せっきりだった。

 手伝ってくれた皆には感謝しかない。


 もしかして、皆同じ気持ちなんだろうか。

 しっかり感謝を伝えたい。

 だけど、タケダと同じような反応をされる可能性がある。

 ううん、はっきりとじゃなく、少し遠まわしに恩返しをしていこうかな。

 

 恩返しをしないという選択肢はない。

 これは俺の気持ちの問題だからな。

 でも、よっぽど迷惑になるようだったら、後で考えよう。


 その後は、雑談が盛り上がった。

 任せていた間のことはミルキーやモグラから聞いてはいるけど、また別の視点で聞くのは楽しい。

 二人とも、表現が筋肉に引っ張られてる時があって面白いし。


「うん? おお、もうこんな時間か」

「遂に旅立ちか。寂しい気持ちもあるが、未知に飛び込んで行くと思うと期待に大胸筋が膨らむわい!」


 気付けば、生徒達が旅立つ時間になっていた。

 二人はもう準備が出来ているらしい。

 皆でグラウンドに出ると、もうほとんどの生徒達が集まっていた。

 どうりで、校舎内がいつもより静かに感じた訳だ。


 生徒の皆とは、今日でしばらくお別れになる。

 挨拶をしていると、時間になった。


「ナガマサさん、行こう」

「はい。すみません、ちょっと行ってきます。タマ」

「あいあい!」


 モグラが誰もいない、少し離れた位置に移動して、手を叩いて視線を集める。

 俺とタマもその隣に並んでいる。


「時間になったから、準備の出来たチームから順番に並んで! 二週間後、イベントが終了した日の13時からここで宴会をするから、また会おうね!」


 モグラが最後の連絡を終えて、一歩下がる。

 後は俺の仕事だ。



※人気投票実施中!

最新の活動報告の方に、お好きなキャラクターを一人選んで、名前をコメントで書き込んで下さい!

一位のキャラには記念SSと記念イラストを作成します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作始めましたので、こちらもよろしくお願いします!
友人に騙されたお陰でラスボスを魅了しちゃいました!~友人に裏切られた後、ラスボス系褐色美少女のお嫁さんとして幸せな日々を過ごす私が【真のラスボス】と呼ばれるまで~
面白いと感じたら、以下のバナーをクリックして頂けるととても有難いです。 その一クリックが書籍化へと繋がります! ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[一言] 今年いっぱい続きが読めないのは残念ですが、続きを早く読ませろ~なとても良いところでお預けを食らうよりは、かなり良心的。 リアルが落ち着きましたら、その時は続きをお願いしますね~。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ