表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

369/407

313


 そこから先は、葵のソロ攻略だった。

 俺もタマも金剛に手を繋がれていたからな。

 せっかく金剛が用意した仕掛けをあっさりと粉砕してしまうのを嫌がられたっぽい。


 遭遇するモンスターは、≪無明の城≫とほぼ変わらない。

 宝石の騎士達と、猟犬っぽいのが一種類。

 それなりに強い上に妙に連携が上手く、中々の強敵だ。


 しかし、ウチの葵の強さはかなりのものだ。

 一人で戦ってるのにあっという間に片づけていく。


 二本の≪魔導機械≫を≪連結≫させてからは、更に殲滅速度が上がった。

 直剣と短剣の柄の頭同士をくっつけた状態の扱いづらそうな武器を、上手に使いこなしている。

 ただ振り回すだけの俺とは大違いだ。


 これこそが鋼心の、効果を最大限発揮した状態だ。

 サブウエポンとして二刀流しつつ、一つにすると攻撃力が増大する。


 しかし、二本の武器を一つにしてしまうと、左手側の≪魔導躍進機≫が効果を発揮しづらくなる。

 ≪魔導躍進機≫というのは、≪魔導機械≫に触れていないと真の効果を見せることが出来ない仕様だ。


 そこで、俺はもう一つの≪魔導機械≫を、葵にプレゼントした。

 

 それが今ダイヤモンドナイトを大盾ごと両断した、≪猫式長剣型魔導機械:裂断≫だ。

 裂断は相手の防御力が高くなる程、与えるダメージが増加する。

 ダイヤモンドナイトには効果抜群だな!


 それからたっぷり一時間半程、ダンジョン探索を楽しんだ。

 今は、梯子のある最初の部屋に戻ってきたところだ。


 罠や不意打ちもあって、中々刺激的な作りになっていた。

 葵じゃなかったら普通に死んでると思う。

 そのくらい、本気で殺しに来てた。死なないけど。


『力作だったじゃろう?』

「うん、すごく楽しかった……!」

『くくく、気合いを入れて作った甲斐があったのう』


 葵が興奮気味に話して、金剛も満足げに頷いている。

 本当に力作だった。

 そのお陰で葵も、修行していた新しい武器での戦い方を実践さながらに試せて、充実した時間を過ごせたようだ。


「一晩でよくあれだけのものを作ったね」

「まるでモジャだね!」

『わらわの部下達が頑張ってくれたのじゃ』


 戦闘しながらとはいえ、一番奥の部屋まで一時間程掛かった。

 それぐらいの広さがある。

 昨日の段階では、この地下室一つしか無かったのにだ。


 仕事が早いってもんじゃない。

 素直な感動を伝えると、金剛が嬉しそうにかつ自慢げに笑った。

 そして、視線を入口の方に向けた。


 釣られてそっちの方を見ると、何体かの騎士達が穴の向こうにいた。

 それぞれが結晶で出来たツルハシやスコップを掲げている。


 良く見ると、兜のデザインが他の騎士達と違うな。

 どことなくヘルメットっぽい。

 彼らがダンジョンを掘ったんだろうか。


「部下の皆さん?」

『うむ。もう少しこの層を拡張したら、更に地下に掘り進めて第二層を作る予定じゃ』

「すごいな」


 気合い入ってるなぁ。

 タンクローリーくらい満載なんじゃないだろうか。


 ていうか、スコップやツルハシで掘ってたのか。

 もっとこう、ファンタジーちっくな感じかと思ってたよ。


『普通に人海戦術じゃな。あやつらは作業員の極一部でしかないぞ』


 ということらしい。

 ここを本拠地として登録したから、金剛はここでは配下を沢山出せるようだ。

 便利だなぁ。


 今日は配置されていなかったが、奥の大部屋ではボス戦が出来るようになるらしい。

 そのボスを倒した先に、地下への階段を用意する予定なんだとか。

 出来上がるのが楽しみだ。


 そんなことを話している内に、待ち合わせの時間が迫っていた。

 話していると時間の進み方が早くなるな。


 工事を指揮する金剛と別れて、校舎の前へと移動した。

 そこには既に、見知った顔が何人も集まっている。

 知らない人を合わせると、四十人くらいかな?

 思ったよりも多い。


「お、来たね」

「モグラさん。おはようございます」

「おっはよー!」

「おはおはー。手当たり次第に声掛けたんだけど、結構集まったねー」


 この中で、モグラの知り合いが二十人程。 

 後はミルキーやタケダ、出汁巻玉子がそれぞれ数人ずつ連れて来た感じかな。

 それに加えて、俺の知り合いも何人か。


 中には、珍しい顔もいる。


「ご無沙汰してます。しばらくお世話になります」

「お久しぶりです。元気そうですね」

「はい、お蔭様でなんとかやってます」


 この真面目そうな感じで挨拶してくれたのは、†紅の牙†だ。

 相変わらず、どこか怯えたような感じがある。

 初めて会った時のふてぶてしさは影も形も無い。


 彼は、仲間の三人と一緒にやって来ていた。

 誘ってみたらかなり恐縮して遠慮してたけど、強引に誘い続けたら折れてくれた。

 やっぱり顔見知りには死んでほしくないし、力になりたい。

 以前のままだったら放置してたけど、反省してるみたいだし俺はもう気にしてない。


 三人の少女達の元へ戻って行く紅を見送った後にやってきたのは、ゼノとシュシュだ。

 傍らには光るコインも浮かんでいる。

 ゼノの相棒、ルインだな。


「ほら、お世話になるんだからきちんと挨拶しとけ」

「お世話になります! よろしくね!」

「そんなに畏まらなくて大丈夫だよ。よろしくね」

「この子のこれって、そんなに畏まってるのかしら……?」

「いつもに比べたらしてる方だろ」


 シュシュが元気よく頭を下げる。

 タマみたいだけど、もう少しだけ大人な感じがする。

 でも雰囲気はほとんど同じだな。


 ゼノに学校を作ったことを報告して、シュシュにもどうかと勧めてみたら、是非にと返された。

 だからこうして、シュシュを送り届けてきたようだ。

 三人でいるのは久しぶりに見たけど、相変わらず仲が良さそうで安心した。


「ナガマサさん、そろそろ時間なので挨拶をお願いします」

「あ、うん。それじゃあすみません、ちょっと抜けますね……」


 ちょこちょこ挨拶に来てくれる人に応えていたら、更に何人か到着していた。

 いつの間にか集合時間になっていたようだ。


 ミルキーが挨拶をするように声を掛けてくれた。

 ああ、こういう人前で喋るの苦手なんだよなぁ。

 でも俺が言いだしっぺなわけだし、代わってくれとも言えない。

 頑張ろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作始めましたので、こちらもよろしくお願いします!
友人に騙されたお陰でラスボスを魅了しちゃいました!~友人に裏切られた後、ラスボス系褐色美少女のお嫁さんとして幸せな日々を過ごす私が【真のラスボス】と呼ばれるまで~
面白いと感じたら、以下のバナーをクリックして頂けるととても有難いです。 その一クリックが書籍化へと繋がります! ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ