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 資材は集まった。

 石材だけでも予定してた数の十万倍くらいは用意出来た。

 しかも、資材の中でも最高レア度を誇る≪究極≫シリーズで、品質も高い。


 これは文句のつけようもないくらい完璧だ。

 木材と鉄材も、同じく究極で揃えてある。

 まさかこんなに上手く行くとは思わなかった。


 資材は用意出来たし、お金もある。

 後は正式に依頼さえすれば、建築工事が始まる。

 だけど、問題はここからだ。

 

 まだ大事なことが決まっていない。

 それを今から、話し合って決める必要がある。


「というわけで、学校の大体の間取りを決めたいと思う」

「はい!」

「はいタマ!」


 タマが元気良く、真っ直ぐに手を上に伸ばして立ち上がった。

 俺も負けじと、元気いっぱいに指名した。

 特に意味は無い。


「名前はモジャモジャ大学校がいい!」

「保留!」

「残念!」


 タマは、立ち上がった時と同じように元気いっぱいに着席した。

 まるで逆再生でもしてるかのような同じ動きだ。


 っていうか、今は名前の案を募集してるわけじゃないからな。

 隙があればすぐにモジャを捻じ込もうとしてくるのは何故なんだ。


「最初に一つ聞いても良いですか?」

「うん、分からないことがあればなんでも聞いて」

「間取りを決めるということですが、どんな部屋を作るとかって決まってるんですか?」

「全然考えてなかった」

「なるほど」


 言われてみるとそうだ。

 皆のレベルを上げて強くする→学校を創ろう! ってなっただけで、深く考えての行動ではない。

 だから校舎を建てようとは思ってたけど、どんな部屋を用意するかまでは全く気が付かなかった。


「そこに気付くなんて、流石ミルキー」

「割と普通のことだと思うんですけど……」

「すっかり抜けてた俺からしたら充分すごいよ。というわけで、まずはどんな部屋が必要か、ってところから話し合おうか」


 校舎はただの箱じゃない。

 皆を強くするための施設であり、学び舎だ。

 当然目的にあった部屋を用意しないといけない。


 そうなった時、校舎を建てるなんて初めてだからよく分からないけど、とりあえず適当に部屋をいくつか作って用途を割り当てるのは、多分良くない。

 後から当てはめるとチグハグになりそうだからな。


 そうなると、必要なものを考えてから、それに見合った部屋や校舎の間取りを考える。

 ってわけだな。

 流石ミルキー、賢い。


「給食室が欲しい!」

「給食室か。三階は寮にするなら、ご飯を作る場所は必要だな」

「やったー!」

「それなら、食べる場所も合わせて食堂にするというのはどうですか?」

「いいね、そうしよう」


 ミルキーのフォローにより、食堂という形でタマの提案が採用となった。

 まず食べ物に関連した場所が出るのが、タマの食欲をよく表してる。

 どんどん食べてどんどん育って欲しい。


「私は訓練場……!」

『わらわは結晶が生やし放題の地下洞窟が欲しいのう』


 葵と金剛の提案だ。


 訓練場は、土地の三分の二を使って屋外に造る予定だ。

 それだけじゃ足りないってことか?


「ダンジョンとかの狭い所での室内戦の訓練がしたいの……!」

「あー、なるほど」

「いつも思うのですが、葵ちゃんは努力家ですわね」

「本当にね」


 室内訓練場も決定。

 まだ雨は降ってないが天候も実装されたらしいし、あった方が良いだろう。

 

「金剛、地下洞窟って何に使うの?」

『わらわの別荘かのう』

「別荘かぁ」


 今のお城以外にも住む場所が欲しいということなんだろうか。

 それとも、以前住んでいた洞窟に近い環境が恋しくなったのかもしれない。


 地下なんて考えてなかったし、作っても良いような気がする。


『わらわの眷属達も運動不足だからのう。特訓相手くらいにはなれると思うのじゃよ』

「ダンジョン風訓練場に出来そうですね」

『そうそう、そんな感じじゃ』

「うん、良さそうだね」


 校舎の地下には洞窟があって、そこでは宝石の騎士達がうようよいる訳か。

 それは楽しそうだ。

 狩りの練習にもなるし。


「私からもよろしいですか?」

「思い付いたらどんどん言って大丈夫だよ」

「ありがとうございます。救護室と、書庫が必要だと思います」

「保健室と図書室ですね。確かにあった方が良さそうです」


 救護室はポーションを保管したり、怪我人を手当てする場所だ。

 何かあったらストレージから取り出してぶっかけるだろうけど、保管庫として使うのはありだ。

 ベッドを置いて、少し休んだりも出来るようにしとけば便利そうだし。


 図書室も……うん、作っちゃおう。

 この世界にも本はあるし、買って置いておけば色々役に立つだろう。


 やっぱり提案にも人柄が出るな。

 救護室と書庫というのがなんともミゼルらしい。

 優しさと好奇心の表れかな。


 こんな感じで色々意見を出し合って、時には泣く泣く断念しながら、話を勧めて行った。

 作りたかったなぁ、モフモフランド。

 タマが対抗してモジャモジャランドと言い出して、二つまとめてミルキーに却下された。

 仕方ないから、モフモフ系モンスターをテイムして放牧スペースに放し飼いにしよう。


 最終的に決まったのは、こうだ。

 一階には事務所、食堂、室内訓練場、倉庫、救護室、実験室。

 二階に教室を六つと、娯楽室、工作室、作戦司令室。

 三階は宿泊用の部屋。これは二人ずつの相部屋になっている。


 更に、地下には出張版輝きの洞窟を作る予定だ。

 これは地下への入り口と、倉庫くらいのスペースを掘っておけば、後は金剛の方で掘り進んでくれるらしい。

 これは完成が楽しみだ。



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