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 タマが帰ってくるまでの間、俺はアイテムを作って過ごした。

 ポーションは結構良い値段で売れるからな。

 建築費用でそれなりに掛かるし、稼いでおいて困ることはない。


「ただいまー!」

「おかえりなさい」

「おかえり。どうだった?」

「楽しかった!」

「頑張ってくれたみたいですし、おやつにしましょうか」

「やったー!」


 約二時間後、タマが帰還してきた。

 どこか満足げだ。


 ミルキーの言葉に更にテンションが上がっている。

 そうして出てきたフルーツ盛りに、勢いよく齧り付いた。


 タマは一体どれくらい稼いできたんだろうか。


 ストレージを開いて、タブ分けされたタマのストレージを突く。


「うわぁ……」

「どうしたんですか?」

「うん、ちょっとね……見る?」

「気になるので見ます」


 ストレージをミルキーにも見せてみると、ピシッと笑顔のまま固まった。

 そうなっても仕方がない。

 そこには、バグったのかと思うような数字が並んでるんだからな。


 とりあえず数えてみるか。

 えーっと、いち、じゅう、ひゃく――。


 結果発表。


 石、約五十万個。ビッグな石、約三千二百万個。

 高級な石、約八千六百万個。高貴な石、約三億二千万個。

 至高の石、約七億五千万個。究極の石、約二十二億八千万個。

 宝石類が約四億二千万個。


 鉄や木も、同じような感じだった。

 割合的には、木が多め?

 全部をざっくり合計すると、百億以上になる。

 なんだこれは。


 採集し過ぎじゃない?


「ナガマサさん、こんなに沢山、どうやったんですか?」

「えーっと、普通に採集してきただけ、だと思うんだけど。タマにはそうとしかお願いしてないし」

「本当ですか?」

「本当だって。な、タマ」

「モジャに誓って本当モジャ!」

「それがどうやったらこんな有り得ない数字になるんですか……」


 ミルキーはすっかり呆れ顔だ。

 俺はただ、タマに採集をお願いしただけなんだよな、本当に。

 全力で、という言葉が付くけど。


 俺の要請を聞いたタマは、分裂して採集ポイントへと向かった。

 その数は……沢山だ。

 マップに点で記されているんだけど、数える気にならないくらいには多い。


 そこで、タマは採集をしてきただけだ。

 ただちょっとだけ、強化してから送り出した。

 ユニークスキルの習得だ。


 そのスキルの効果で、一つの採集ポイントで三千二回~三千五回採集が出来る。

 更に、個数も一回につき二千一個採れる。

 それをこの沢山の採集ポイント全部を周った結果、こうなった。


 まさかここまでの数になるとは思ってなかったから、俺も驚いた。

 タマの全力はやっぱり凄すぎるな。


「あって困るものでも無いんでしょうけど、数字がはみ出してバグみたいになってますよ」

「そうだね」


 ストレージでの表記は≪2200000000個≫って感じだ。

 隣のアイテムの個数に被ってしまっている。

 それどころか、それぞれが数個分ずつ幅があるせいで、もうしっちゃかめっちゃかだ。

 一瞬壊れたのかとすら思ったからな。

 もはや気持ち悪い。


「でもこれで、材料はなんとかなりそうだね」

「そうなんですけど、えっと、ううん?」


 これだけあれば材料には困らない。

 スキルのおかげで最高クラスの素材が最高クラスの品質で手に入ったし、言うことない。


 だから俺は楽しみで仕方がないんだけど、ミルキーは微妙な顔をしている。

 というか、何か不思議そうな感じだ。

 何かあったんだろうか。


「どうかした?」

「……いえ、ナガマサさんはそういう人でしたね。なんでもないですよ」

「そっか」


 少し意味深だけど、悪い意味ではなさそうだ。

 苦笑い気味だけど、笑顔には違いないし。


「それじゃあちょっと加工してくるね」

「分かりました。それじゃあ私は昼食の用意をしてますね」

「やった、楽しみだなぁ」

「ふふ、気を付けて行ってきてくださいね」

「行ってきます。タマ、お出掛けするぞ!」

「はーい!」


 タマを連れて、玄関から外へ。

 ちょっと試したいことがあったんだよな。


「よし、タマ、ちょっとここで待っててくれるか?」

「らじゃー!」


 ≪テレポート≫を発動する。

 視界が暗転して、次の瞬間にはストーレ中央の噴水前に立っていた。

 タマは……いない。


 もう一度≪テレポート≫を使って、≪モジャの家≫の前に戻ってくる。

 タマが良い子に待ってくれていた。


「お待たせ。今度は手を繋ごう」

「はーい!」


 タマの小さな手を握って、もう一度テレポート。

 到着したのはさっきと同じ、噴水前だ。

 違う点を挙げるとすれば、


「すごーい!」


 はしゃいでいるタマがいることか。


 ≪テレポート≫は、マーキングした場所に自分一人だけで移動するスキルだ。

 他の人を連れて移動することは出来ない。


 だけど、タマはこうして一緒に来れた。

 つまり、相棒は触れていればオッケーっていうことなんだと思う。


 そういう仕様にしておかないと、武装型の相棒とかは丸腰で移動することになっちゃうもんな。

 

 さて、ストーレにやってきた俺が向かうのは、冒険者ギルドだ。

 ここは色々な職業のギルドと繋がっている。

 だから、各職業にとって必要な設備も、一般的なものは一通り揃っているらしい。

 採集スポットの位置情報のついでにモグラが教えてくれた。


 こういう細かいところに気が付いて助けてくれるのが流石だ。

 とても有難い。


「えーっと、あったあった」

「これ何? モジャ錬成マシーン?」

「惜しい。これは、資材を作る機械だよ」


 機械を指でつつくと、半透明のウインドウが出現した。

 ここにストレージから石や木、鉄なんかの個数を指定する。

 種類と個数に応じた料金を払うと、資材に変換されてストレージに放り込まれる。


 採集したアイテムがそのまま資材になるかと思ったら、こういう一手間が必要だった。

 教えてもらえて良かった。

 手間とは言っても、ウインドウを(つつ)くだけだから現実に比べればかなり簡単になってる筈だ。


 その辺は、ゲームの利点だな。

 これだけの数を手作業で処理しようと思ったら多分かなりツラい。

 億ってなんだ。


「あ」


 手数料がかなり高かったから、一度キャンセルした。

 カウンターに行って素材の一部を数百倍の値段で売り払う。

 それぞれ一億個もあれば充分だろうから、それを越える分は必要ないからな。


 その結果、所持金までもが桁がおかしなことになってしまった。

 やばい。

 でもこれで、手数料が数億かかっても問題ない。


 こうして俺達は、最高クラスの資材を半日も掛からずに手に入れた。

 


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