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本日二回目の更新です


 昭二から要望を聞いた後は、まずは我が家に帰る。

 畑仕事の帰りだからな。

 みんなで朝食を食べて、話はそれからだ。


「ただいまー」


 玄関から家に入る。

 リビングには、もう全員揃っていた。

 口々に出迎えの挨拶をくれる。

 おかえりなさいって言葉を聞くと、なんだか嬉しい。


 俺が席に着くと、すぐにミルキーが俺の前に朝食を用意してくれる。

 手作りパンと、お裾分けでもらった野菜のサラダ。そしてスープだ。

 朝食は簡単なものが多い。


 いつも美味しいし、不満は全く無い。

 皆で手を合わせて――。


「「「「いただきます」」」」

「いただきます!」

『いただくのじゃ』


 のんびりと食べ始める。

 タマは沢山食べるが、家族だけの朝食は行儀が良い。


 お客さんがいる中でのパーティーだったりすると、料理が豪華になるからかゴロウ辺りと争奪戦を繰り広げることもある。

 

「ナガマサさん、葵ちゃん達よりも先に帰ったって聞いたんですけど、どこかへ寄っていたんですか?」

「ああ、ちょっと昭二さんのところへ寄ってたんだ」


 どことなく心配そうなミルキーに、笑って返す。

 ついでに、用件やこれからについても説明する。


 お世話になってる分、お返しがしたい。

 ただそれだけだからな。


「それは良いですね。是非やりましょう。私も、出来ることがあればお手伝いしますよ?」

「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ」

「昭二さんには、いつもお裾分けをしてもらってますからね」


 ミルキーも、恩返しには賛成のようだ。

 昭二のところで採れた野菜は美味しいからな。


 サラダにフォークを突き刺して、口に放り込む。

 オリーブオイルと塩で整えられた、爽やかな味が口に広がっていく。

 うん、美味しい。


 食事を終えて、洗い物を済ませた。

 昭二への恩返し大作戦始動だ!


 ……紅葉を引き取ってもらった流れで昭二に恩を返そうってなったけど、モグラへはまだ、恩を返し切ってない気がする。

 いや、今は気にしないでおこう。


 昭二が済んだら、次はモグラだ。絶対忘れないようにしないと。

 いっそ今からメッセージを送っておくか。

 何か、欲しい物やして欲しいことはありませんか、っと。


 よし、これでオッケーだ。

 昭二の方に集中しよう。


 畑に植える作物は俺の畑にあるものから選べばいいから、大掛かりな準備は必要ないし、時間もそんなに掛からない。

 下準備が要るのは、新しい農具の方だ。


 要望があったのは、クワ、手斧、鎌、フォークの四種類。

 俺のスキルで作れるのは、手斧だけだった。

 ≪創造者≫のスキルである≪クリエイトウエポン≫は基本的な武器の種類しか対応してないらしい。


 それならそれで、作れる人に依頼すればいいだけだ。

 タケダとか、ゴロウとかね。

 本人達が作れなくても、タケダなら知り合いの職人にお願いとかも出来そうだし。

 

「それじゃあ行こうか、タマ」

「らじゃー!」

「私とミゼル様で、苗を選別しておきますね」

「うん、お願い」

「任せてください」

「この村で流通している作物はほとんど把握しているので、一番珍しくて価値のある植物を選んでみせますわ」


 ミゼルは、この国の元王女だ。

 それに加えて、各家の手伝いをしながらこの村の暮らしを学んでいた。

 昭二の畑に植えるのに一番適した素材を選ぶのに、これほど心強い味方もそういない。


「ミゼルも、ありがとう」

「私も昭二様にはお世話になりましたので。それに、これも妻としての役目です」

「はは、なんだか照れるね」


 妻、妻か。

 二人の女性と結婚することになるとは、全然思っていなかった。

 そもそも、結婚自体が自分には関係の無い事だと思ってたからな。


 二度目の人生は、順調だ。

 これからもこうでありたい。

 その為に、色々頑張って行こう。


「いってきます」

「いってきます!」

「いってらっしゃい」

「いってらっしゃいませ」

「行こ、おろし金!」

「キュル!」


 魔法みたいに心地の良い言葉を交わして、裏口から放牧スペースへ。

 今日はおろし金に乗って、ストーレへと向かう。

 

 神父の態度がちょっと引っかかるせいで、教会での移動はなんだか気が向かなかった。

 味気ないから普段からあまり使ってはいなかったけど、なんとなくね。


 一般プレイヤーがいるし目立つかもしれないが、気にしないことにする。

 上空に攻撃を仕掛けられるとは思えないし、街の中でもPKは出来ない。


 そもそも城の中に気軽に入れないだろうから、手出しは出来ない筈だ。

 大丈夫大丈夫。


 ドラゴンモードのおろし金の背に揺られて、景色を楽しんでいる内にもう到着した。

 お城の訓練場に降り立つと、兵士達に出迎えられた。


 俺達にもきちんとした挨拶をしてくれるが、熱烈な歓迎はおろし金に向けられている。

 お肉なんかの食べ物を口元に差し出したり、身体や首元を撫でまわす。

 兵士達の中には、偉い感じのおじさんや、王様の姿まである。

 おろし金も、可愛がられて嬉しそうだ。


 顔見知りの騎士におろし金のことをお願いして、俺達は街へ繰り出す。

 向かう先は、まずはタケダの露店だ。

 

 いつもの場所へ到着すると、居た。

 まだ8時前だからか、丁度露店を設営し終わったところのようだ。

 珍しく露店の外側に立っている。


 大通りの方でも、同じような光景がいっぱい見られた。

 お祭り前みたいで、これはこれで楽しい。

 中には既に営業をしてる露店もあったけど、何時からやってるんだろう。

 徹夜明けの人もいたりするのかな。


「おはようございます」

「おはまっする!」

「お、ナガマサさんに、タマちゃんじゃないか。おはマッスル! こんな朝早くに、どうしたんだ?」



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