31 最強の相棒
「ひぃ……ひぃ……」
ふう、満足した。
心行くまでミーガンを蹴り続けてた。
実際その時間は5分くらいだと思う。
だけど、ミーガンにはもっと長く感じただろう。
未だに蹲ったまま動かない。
いやほんと、一生分の反復横跳びをした気分だよ。
「終わったー?」
「おう、終わったぞ」
「じゃあ次はタマがえいってやる番?」
「やらない番」
「そっかー」
さらっととんでもないことを言うんじゃない。
モグラに助けられたことを覚えてるのかなと思ったものだが、同じようにこいつに襲われたことも覚えてるんじゃないだろうか。
ダメだ。
物騒な子に育ってしまう。
もう十分物騒かもしれないけど、とにかくダメだ。
復讐なんて憎しみしか生まないぞ!
「なぁミーガン」
「ひっ」
ミーガンの近くにしゃがみ込んで声を掛けると怯えられてしまった。
何故だ、こんなに優しい声で話しかけたのに。
いやまぁ、あれだけ圧倒的な差を見せつけられたら怖いか。
でもそれは襲ってきた自分の自業自得だと思って欲しい。
「俺はあんたに声をかけられてほっとしたんだ。よく知らない世界でも、助けてくれる人がいるって」
「……」
「ただ、あんたは俺を殺すのが目的だった。そして今も、そうだな?」
「……」
黙り込んで答えようとはしない。
機嫌を損ねたら殺されるかもしれないんだから、気持ちは分かる。
でも質問には答えないと余計苛つかせる場合がほとんどだと思うぞ。
俺はそんなことないけど。
まぁいいさ。
違うって言ったって明らかなんだし。
「もうこんなこと止めとこう。幸いこの世界には警察なんていない。罪を償わせるルールも存在しない。だけど、次やったら俺がお前を殺すからな」
「……」
「分かったのか?」
「は、はい……!」
「よろしい」
襟を掴んで立たせる。
Strはそこまで振ってないけど、ミーガンが逆らわないようにしてるんだろう。
「あそこの二人はなんだ?」
「正義感のいきすぎた連中を利用しまして……。ナガマサさんのことを極悪の殺人鬼で、復讐がしたいと泣きついたら喜んで協力してくれました」
いるよね。
片方の話だけ聞いて嬉々として首突っ込んでくる善人の皮を被った迷惑な人。
その手の類の人ってあんまり相手したくないんだよなぁ……。
「お、俺達をどうするつもりだ!?」
「殺す気なんだろう!?」
「そんなことしませんよ」
仕方ない。
これも後始末だと思って我慢しよう。
ここで皆殺しを選択しない俺の責任だからな。
「というわけで、俺は殺人鬼なんかじゃありません。この人が俺を襲いたかっただけです」
「騙しやがったのか!」
「この野郎!」
事情を説明するとミーガンに食って掛かろうとする二人。
縛られてるのによくそんな気力があるな。
というか状況分かってるのか?
「タマとモジャモジャに言うことはないのかー!」
「「すみませんでした!!」」
タマが凄むと、二人ともが縛られたままの状態で土下座を敢行した。
その動きは非常に滑らかかつ、大胆で繊細でスピーディーだった。
よく調教されている。
「まぁもういいですよ。俺達も許すので、二人もミーガンさんを恨まないでやってくださいね」
「そうだぞー! 今度タマ達に刃向かったら……こうだ!」
言うやいなや、タマが突然煌めく結晶を射出した。
その結晶は照明に群がって飛んでいたラージモスを貫いて、そのまま近くの木に縫いつけた。
ラージモスのHPバーは砕けてその身体ごと消えていった。
「はい!」
「肝に銘じておきます!」
それを見た二人はすごい怯えている。
敬礼までして、まるで軍隊だ。
「よろしい。かいさん!」
「「いえっさー!」」
タマの号令で二人組は街の方へ駆け出していく。
タマって実際どのくらいの強さなんだろうか。スキルとかきちんと読み込んでないんだけど、把握しておいた方がいいのかな。
早速タマのステータスを開いてみる。
「ぶっ!?」
「どうしたモジャマサー?」
「モジャ言うな。あ、ミーガンさん、もう帰っていいですよ。ほんとに次誰かにでも同じことしたら、すぐしとめに行きますからね」
「はい、もうしません……。それでは」
ミーガンも足取り重く帰っていく。
これくらいで済ませて優しい方だろうきっと。
今はあんなやつのことより、もっと大事なことがある。
「レベルアーップ! さいきょーだぞー!」
マジで冗談で済まなくなってきてるな。
うん、うちのタマは最強だ。
名前:タマ
種別:相棒/???
Lv:68
Str:96(+680)
Vit:195(+680)
Agi:224(+680)
Dex:321(+680)
Int:600(+680)
Luc:106(+680)
相棒Lv:61
スキル:
取得経験値増加 Lv10(MAX)
大いなる躍進 Lv10(MAX)
命の輝き Lv10(MAX)
奇跡の心 Lv10(MAX)
超時空閃光弾 Lv10(MAX)
煌晶刃 Lv10(MAX)
滅魔光竜法 Lv10(MAX)
滅魔風竜法 Lv10(MAX)
滅魔火竜法 Lv10(MAX)
全能の種 Lv34
天の贈り物 Lv10(MAX)
我が道を行く Lv10(MAX)
特徴スキル:
自律行動 Lv10(MAX)
自律思考 Lv5
魔法強化 Lv10(MAX)
火属性魔法 Lv10(MAX)
風属性魔法 Lv10(MAX)
光属性魔法 Lv10(MAX)
攻撃力強化 Lv10(MAX)
攻撃力超強化 Lv10(MAX)
防御力強化 Lv10(MAX)
防御力超強化 Lv10(MAX)
魔法攻撃力強化 Lv10(MAX)
魔法攻撃力超強化 Lv10(MAX)
魔法防御力強化 Lv10(MAX)
魔法防御力超強化 Lv10(MAX)
浮遊 Lv10(MAX)
飛翔 Lv10(MAX)
敏捷性強化 Lv10(MAX)
敏捷性超強化 Lv10(MAX)
生命力強化 Lv10(MAX)
生命力超強化 Lv10(MAX)
パーソナルスキル強化 Lv10(MAX)
パーソナルスキル超強化 Lv10(MAX)
索敵能力強化 Lv10(MAX)
索敵能力超強化 Lv10(MAX)
状態異常耐性強化 Lv10(MAX)
状態異常耐性超強化 Lv10(MAX)
看破能力強化 Lv10(MAX)
看破能力超強化 Lv10(MAX)
遠距離攻撃強化 Lv10(MAX)
遠距離攻撃超強化 Lv10(MAX)
近接攻撃強化 Lv10(MAX)
近接攻撃超強化 Lv10(MAX)
遠距離攻撃 Lv10(MAX)
射程延長 Lv10(MAX)
命中率強化 Lv10(MAX)
命中率超強化 Lv10(MAX)
人型 Lv3
もうとんでもないとしか言えない。
俺の方がひどいと言ったな。気のせいだった。
っていうかレベル上がり過ぎ!
経験値取得ボーナスが二つあって、+1倍と10倍で、しかもそれぞれに≪我が道を行く≫の効果が乗るから、(1+10)×10×10=1100倍。
そりゃあレベルも上がるよねー!
でもその経験値はどこから来てるのか。
謎だ。
いくつかスキルは試せたし、今日は帰ろう。
魔法を試すのは明日だな。
タマの急激なレベルアップについてはモグラにでもそれとなーく聞いておこう。
今日はもう疲れた。
撤収!
ここで一区切りとなります。
作者のモチベーションにも繋がりますので、もし気に入って頂ければ、最後まで読んでなくても構いませんので、お気軽に感想を残してみて下さい。
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