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3 初心者向けマップと白耳兎


「よく来たわね。ここは、あなたみたいな特別な存在を導く為の場よ」


 なんか魔女みたいなのがいた。

 黒いよれよれのとんがり帽子に、黒くて長いローブ。

 だけど前は大胆に開いていて、セクシーな身体が覗いている。


 シチュエーションとしてはさっきの場所から移動したところで、突然転移させられたっぽい。

 そうして始まったのは案の定、相棒パートナーについてのチュートリアルだった。


 今俺の横には例の光る球体が浮いている。

 相棒を沢山の候補の中から選ぶ場でいつの間にか俺の後ろを飛んでいて、相棒認定されてしまったやつだ。

 ≪相棒パートナー≫はこの世界では特別な存在で、その相棒を持つ者を≪プレイヤー≫と呼ぶらしい。


 その相棒だけど、俺自身のアバターみたいに好きに成長させることが出来るらしい。

 微妙に違う点もあって、スキルツリーはパーソナルスキルともう一つ、特徴スキルとに分かれる。


 相棒には基本レベルとは別に相棒レベルというものがあり、それを上げることで得るポイントを特徴スキルに振って様々な特性を得るそうだ。

 この特徴スキルにもレベルはあるが他のスキルのように鍛えて上げる訳ではなく、ポイントを振ることでしか上げることが出来ないらしい。


 チュートリアルの最初に、名前を付けるよう言われた。

 名前、名前か。

 この球体に名前を付けろって難しいな。

 勝手に動いてついてくるけど意識があるかどうかも謎なのに。

 もうタマでいいか。球だし。


 という思考回路でタマと名付けた。

 タマはふよふよと浮きながら微かに明滅していた。

 きっと喜んでくれたんだろう。


 そんなタマのステータスはこちら。


名前:タマ

相棒/???

Lv:1

Str:1

Vit:1

Agi:1

Dex:1

Int:1

Luc:1


 見事に真っ平らだ。

 相棒っていうのは最初はみんなこうなのか?

 比較対象がないからわからない。


相棒Lv:1

スキル:なし

特徴スキル:なし


 この画面も埋まっていくことだろう。多分。

 

 その他に説明を受けたことで重要そうなことがある。

 相棒の強化に関してだ。

 戦闘の経験値はプレイヤーの得た経験値の1%しか得ることが出来ない。


 ではどうするか。

 所有権が自分にある、相棒と同種のものを、吸収させる。

 もしくはプレイヤーか相棒が破壊することで、経験値に変換するらしい。

 これが、効率よく相棒を育てる方法だ。


 相棒のパーソナルスキルはプレイヤーと同じように基本レベルで得たポイントを使用することで取得出来、使用していくことでレベルが上がる。

 特徴スキルは相棒レベルが上がった時に得るポイントを、特徴スキルに振ることで取得とレベルアップ。

 こんな感じで相棒を自分好みに強化していくらしい。


 この相棒パートナーシステムもこのゲームの売りの一つだけど、どんな感じで育てていくかはまだ考えてない。

 というかタマって種別のところが???になってるんだけど同種のものって何?

 何を吸収させればいいんだろう。


 まぁ今考えたって仕方ない。

 俺の第二の人生はもう始まってるんだ。なんとかなるさ。


 そんな感じでこのチュートリアルで早速相棒レベルが上がったしスキルを取っておいた。


相棒Lv:2(1↑)

スキル:なし

特徴スキル:自律行動Lv1(New)


 とれそうなのはいくつかあったけど、とりあえずこれにしてみた。

 自動で行動するのに補正がかかるらしい。

 今でも俺が何も言わなくても浮いてるしついてくるけど、あった方が便利に感じたからだ。


 チュートリアルが終わって、気付けば最初の草原にいた。

 なんか場面転換が急だな。

 その辺はゲームの仕様ということで納得しておこう。


 まずは現状の確認からだ。

 所持アイテムは、なし。

 所持金は、1000(コク)。相場が分からないけどそんなに多くは無さそう。

 装備アイテムは……布の服に布のズボン、初心者用革鎧、初心者用ナイフ。

 これだけ?


 何はともあれ近くの村か街に行こう。

 多分ゲーム的には初めての冒険に出たところか? 情報が欲しいな。


 マップを確認すると近くに街がある。

 入口もそう遠くない。

 その方向を見ると、確かに壁と門みたいなものが見える。行こう。


 実際に踏みしめてみると、感覚がすごくリアルだ。

 忘れていた感覚が蘇る。

 すごい。やばい。嬉しい。もう既に楽しい。


 って、ここはもう俺にとってはリアルだった。

 なんつって。


 草原を歩いていると、白くてふわふわしたものが跳ねている。

 ある程度近づいてよく見てみる。

 赤いカーソルと、その横にある白耳兎という文字が見えた。

 名前かな?


 白いふかふかそうな毛皮に、長い耳。

 目の辺りも毛に覆われてしまっている。

 名前のまんまだな。


 モンスターっぽいけど、ある程度近づいても襲って来たりはしない。

 こういうのをノンアクティブ、自分から向かってくるのをアクティブと呼ぶ。

 どうしよう。

 戦ってみようかな。


 戦ってみた。地味に強かった。

 まず襲っても来ないし逃げようともしない白耳兎に向かって、ナイフを振り下ろしてみた。

 普通に避けられた。 

 そして兎の反撃。

 体当たりだ。


「うぐっ」


 腹に当たった。これがまた地味に痛い。

 タマも果敢に体当たりをしてくれたが、兎のHPバーにほとんど動きはなかった。


 タマの相棒レベルが上がったら、攻撃力や重さを上げるスキルを取得するのもいいかもしれない。それでタマをぶん投げたら、もっとダメージを与えられそうな気もする。

 俺の心の呟きが洩れたのかタマが明滅している。

 怯えてるのか?

 しないよ。多分。


 結局何度か外れながらも、必死にナイフを振って倒した。

 感覚が今までのどのゲームよりもリアルだ。

 おかげで余計に難しい。

 腕の振り方なんて随分前に忘れてしまった。


 多分五回くらい攻撃を当てたら倒せたと思う。

 初心者用MAPの初心者向けモンスターで、強さも経験値も大したことないんだろう。

 かなり苦戦した。

 でも初めてにしては上出来だろう。


 倒した兎の死体が消えていく。

 その後にはアイテムが残されている。

 ドロップアイテムは普通にこれを拾えばいいんだな。


 ≪白い毛≫、とある。

 詳しい説明は……特にないみたいだ。

 使い道なんか書いてないし、白い毛ということしか情報が無かった。


 今の戦闘で俺のHPは2割程減っている。

 さっきよりもマシになってるだろうし、後何匹か狩りながら街へ向かうとしよう。


 

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