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264 ギミックとアイテム集め


 純白猫との取引が終わった。

 期待通り――いや、それ以上の出来栄えだった。

 かっこよさにも拘ってあったからとても満足だ。


 一般プレイヤーが押し寄せてくる時間は今日の正午。

 まだ時間はそれなりにある。

 

 と、いうわけで!

 やって来ました≪忘却の実験場≫。


 フィールドは空中を走って、鉱山は狭い通路とプレイヤー達の隙間を縫って、辿り着いた。

 っていうか人が多すぎる。

 ≪ストーレ鉱山02≫はすごい数だった。

 十人を越えた辺りから数えるのを諦めるくらい、沢山のプレイヤーがひしめき合っていた。


 正式リリースが近いから皆ラストスパートを掛けてるようだ。


 俺と同じだな。

 あのマップで何か良いアイテムが拾えるんだろうか。


「腕だー!」

「脚もいっぱいいるぞ」

「やったー!」


 マップを移動した瞬間に、沢山の腕や脚が群がってくる。

 地面を這ったり跳ねたりして迫ってくる様子はホラーだ。

 が、タマにとってはそうでもないようだ。

 まるで森で木でも見たような気軽さで喜んでいる。


 中央の大部屋へ向かう。

 意味深なロボットと意味深な設備があった場所だ。

 条件を満たせばMVPモンスターと戦える気がする。

 

「さて、と。これはどうしたらいいんだろうな」


 俺の目の前には操作パネル。

 四肢の無いロボットが飾られているショーケースの前にあり、伸びたコードが繋がっている。

 

 触ってみると知らないアイテムを要求されるだけ。

 それ以上の情報は無い。


「叩いてみる?」

「それは最後の手段だな」


 タマが小さな握り拳を見せてくる。

 重要なオブジェクトなら壊れないだろうが、絶対じゃない。

 やるとしても一番最後だ。


 落ち着いて辺りを見渡してみる。

 よく見ると、中央の操作パネル以外にも色々な機械が置いてある。

 全部弄ってみるか。


『歴史を統合する為の装置と書いてある。歴史の欠片を入れてみますか?』


「お」

「当たり?」

「大当たりだ」


 どうやらこの機械に≪歴史の欠片≫を五個入れると、≪歴史結晶≫とやらが一つ出来るらしい。

 この部屋にあって良かった。

 ただの機械や、プロテインを生成する機械、筋肉の状態を測定する機械ばかりだったらどうしようかと思った。

 時々あるこの筋肉押しはなんなんだ一体。


 一先ず持ってる欠片を全部結晶に変換する。

 約200個しか持ってなかったから、まだ足りない。

 時間もあるし集めるか。


「タマ、全力狩りだ!」

「うおー! フルパワータマだぞー!」


 タマと二人で走り出す。

 ≪無明の城≫と要領は一緒だ。


 マップを全力で駆け回る。

 先頭のタマが敵を蹴散らす。

 俺がアイテムを回収する。

 以上。


 ドロップ率はそんなに低くなさそうだし、俺達が全力で狩れば休憩を挟んでも一時間もあれば集まるんじゃないかな。


 ばーっと走り回って、十時前には数を集める事が出来た。

 よしよし、後は機械に突っ込むだけだ。


 まずは変換機にザラザラと投入する。

 ストレージから直接入れれるみたいだけど、気分の問題だ。

 せっかくだから科学者気分を味わってみたい。


「タマもやるー!」

「そうかそうか。それじゃあ、この袋の中身をここに入れてくれ」

「どばー!」

「よしよし、上手に出来たな」

「やったー!」


 機械の下にある取り出し口からは、≪歴史結晶≫がゴロゴロと転がり出てくる。

 一旦纏めて≪強欲≫で回収。

 次はこれを中央の操作パネルのところからぶち込む。

 どうやらこっちはストレージからしか入れられないみたいだ。

 残念。


『エネルギーチャージ完了。これより機動実験を開始します。研究員は壁側へ退避してください』


 俺達はこの実験場の研究員だ。

 変換機に材料を投入してたし間違いない。

 ということで素直に壁側に寄る。


『バリア発生装置、起動』

 

 透明な板のようなものが発生して、中央を隔離した。

 なるほど。だから壁側に寄らせたのか。

 試しに触ってみると、硬い感触が返ってくる。


 ガラスの向こうにいるロボットがゆっくりと目を開けた。

 無機質だけど人間みたいな顔をしていて、ちょっと怖い。

 うわ、目があった。


『緊急事態発生。緊急事態発生。コントロール権限が奪取されています。非常停止実行。……失敗。研究員は速やかに手動での非常停止を試みてください』


 突然サイレンのような音が鳴り響いた。

 部屋中にあったらしいランプも一斉に光って、部屋を赤く染める。

 

 これ、ロボットが暴走した的なあれなんだろうか。

 あ、バリアーが消えた。


『バリア発生装置、機能停止。非常停止実行……失敗。権限がだっ、ダ、ダダダダダダダダダダ』

「うおっ」


 異常事態を告げていた機械音声がバグった。

 突然すぎてビビる。

 権限をあのロボットに奪われてしまったみたいだな。


『……ロック解除。外周部の隔壁を作動。十分もすれば、我が四肢がやって来る。貴様らは、ミナゴロシだ!!』


 さっきまでとは打って変わって、感情の籠った怒声が響く。

 ガラスケースの向こうから睨みつけてくるロボットの声みたいだな。

 研究員に何か恨みでもあるんだろうか。

 視線も声も、殺意と怒りと憎しみマシマシって感じだ。


 視界の隅にタイマーみたいなのが現れた。

 十分から、どんどん減っていっている。

 今はどういう状況なんだろう。


 うーん。

 あのロボットの発言からすると、このマップの四隅にあった腕や脚が解放されたっぽい。

 それで、こっちに向かってると。

 

 なんとなく分かった。

 ここでどれだけ倒せるか、もしくは削れるかでボス戦の難易度が変わるんだな。

 とりあえず全部倒してみるか。



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