表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

265/407

248 人工物と四肢


 どんどん奥へ進む。

 いつか出会った≪銀幽霊(シルバーゴースト)≫とその下位互換っぽい≪銅幽霊(ブロンズゴースト)≫。

 他にも、空飛ぶ結晶体≪オブシディアン≫、毒ガスに目を付けたような≪ポイズンガス≫等に遭遇した。


 どれも簡単に倒せる。

 ポイズンガスなんかは物理攻撃無効とかを警戒したが、そんなことは無かった。

 盾で叩いても普通にダメージが通った。


 鉱山っぽいモンスターで固めてるんだろうか?

 鉱山について詳しくないから、正直分からない。

 多分雰囲気はこんな感じだろう。


「野球だー!!」


 タマが銀幽霊を鷲掴みにした。

 そして投げた。

 凄まじい勢いで銀幽霊が飛ぶ。

 オブシディアンやポイズンガスが文字通り蹴散らされ、銀幽霊自体も砕け散った。

 恐ろしい。


 一方的な虐殺(キャッチボール)が気に入ったらしい。

 銀幽霊や銅幽霊を見つける度に確保しては、次に遭遇したモンスターにぶつけている。


 持ってる間も攻撃されてるみたいなんだけど、全然効いていない。

 タマの防御力を貫通出来るモンスターなんているんだろうか。


 次のエリアへの入り口を見つけた。

 勿論奥へ進む。

 ゴーレム来いゴーレム来い。


 そこは、さっきまでと様子が違っていた。

 ≪ストーレ鉱山02≫までは自然の洞窟みたいな感じだった。

 床こそ平らに均してあったが、周りはごつごつした岩肌そのものだった。


「わー! すごーい! 硬いよモジャマサ!」


 ここは、全然違う。

 広々とした通路が左右に伸びている。

 ここは通路の途中のようだ。


 それにしても、狭くない。

 幅が5m程、高さも同じくらいになっている。

 床も壁も、天井まで金属のようなもので覆われている。

 タマが叩く音がゴインゴイン響く。


 明らかに鉱山じゃない。


 マップを開いてみると、エリア名は≪忘却の実験場≫となっている。

 鉱山どこ行った。


 とりあえず探索してみるか。


 少し歩いたところで、何かが床を這っているのに気付いた。

 こっちに近づいているようだ。

 と、思ったら突然崩れ落ちた。

 何かに切られたように、二つに分かれたように見えた


「必殺・タマスラッシュ、モジャ」


 隣にはポーズを決めたタマ。

 珍しく落ち着いた感じのキメだが、最後のモジャはなんなんだろう。


 既に通常攻撃が必殺(必ず殺す)技になってるタマだが、時々こんな感じで必殺技を決めては遊んでいる。


「タマ、どんなモンスターが出てくるか確認させてくれ」

「あいあい!」


 タマは行動が早い。

 先手必勝を具現化したかのように、出会い頭に倒してしまう。

 俺がよく見ようと思ってると特にだ。

 

 新しい狩場だと特に多いから、新鮮で興奮してしまうんだろうか。


 さっきの奴らしきものとは、すぐに遭遇出来た。

 それは機械で出来た右腕だった。

 大きさは、丁度俺くらい?


 まるで虫のように指を器用に動かして、ずりずりと這ってくる。

 しかも意外と速い。

 中々の迫力だ。

 

 名前は≪破壊の嘆き・模倣(レプリカ)≫。

 模倣ってことは元になったものがあるのかな。

 

「モジャモジャ、まだー?」

「ああ、もういいモジャ」

「やったモジャー!」


 名前も見たし、とりあえず今はもういい。

 わざわざ攻撃を受けないでも、先に倒してしまえばいい。

 他に誰か連れてくるなら、しっかり行動パターンや攻撃手段を把握しておきたいけど。


 ドロップアイテムは≪歴史の破片≫だけだった。

 2cmくらいの欠片を何かに使おうと思ったら結構な数がいりそうだな。

 沸きはどうだろう。


 敵の数はそれなりのようだ。

 ただ、鉱山に比べると少ない。

 一体一体が強めに設定されてるんだと思う。

 俺達からすれば、誤差でしかないんだけど。


 探索は進む。

 右腕がいたから若干予想はしてたが、他のもいた。


 通路の奥から迫ってくる。

 左腕に右腕に右脚。

 追加の右腕もいるし、数もまちまちだ。


 何かのあてつけなんじゃないかと思ってしまった。

 俺だって立派な手足があるんだぞ。

 どっちの腕と脚が強いか勝負だ。


 左腕、≪修復の喜び・模倣≫。

 盾パンチで破壊。


 右脚、≪疾駆の痛み・模倣≫。

 ブーツキックで破壊。


 左脚、≪守護の楽しみ・模倣≫。

 踏みつけで破壊。


 右腕も、きっちり右拳で粉砕してやった。

 満足した。

 後はタマに任せよう。


 時々襲ってくる四肢を蹴散らしながら進むと、少し広い部屋へ出た。

 10m四方くらいだろうか。

 充分広いんだけど、通路が広すぎたせいで広く感じない。


 俺達が来た通路とは別に、左側の壁に同じような通路が伸びている。

 丁度垂直な感じだ。

 そしてその間にも、少し幅が小さい通路がある。

 角のところだからだろうか。


 通路は真っ直ぐだった。

 この部屋の構造を考えると、四角になっている気がする。

 考えが合っていれば、この角の通路は中心に繋がっている。


 合ってる保証もないし、とりあえずは左側の壁の通路へ行こう。

 俺の予想が正解だったとしても、外周をぐるっと周った方が何か発見があるかもしれない。


 中心部に何かイベントが用意されていたり、MVPボスが固定湧きしてると面倒だからな。

 ボス戦は後回しにするに限る。


 それにしても両腕両脚とは、あてつけかとも思ったけど親近感もちょっと沸く。

 俺が元々持ってたユニークスキルも四肢だったし。

 現実でも≪四肢≫や≪両手両足≫という言葉は常に付きまとっていた。


 ま、今の俺には関係ないな。

 さっと周って、ついでに中心部にも遊びに行ってみよう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作始めましたので、こちらもよろしくお願いします!
友人に騙されたお陰でラスボスを魅了しちゃいました!~友人に裏切られた後、ラスボス系褐色美少女のお嫁さんとして幸せな日々を過ごす私が【真のラスボス】と呼ばれるまで~
面白いと感じたら、以下のバナーをクリックして頂けるととても有難いです。 その一クリックが書籍化へと繋がります! ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ