閑話
気付いたら不思議な場所に居た。
私は死んだ筈なのに、ここは何処だろう。
辺りを見渡してみるが、何もない。
自分の身体だけがやけにくっきりと見える。
――あれ?
それは、自分の身体ではなかった。
あの見慣れた身体が、どこにもないのだ。
細くくびれたウエストに、程よい太さの脚。
極め付けは胸に感じる二つの重み。
私ってこんなナイスバディだったっけ?
いや、うん、素直に認めよう。
私こんなナイスバディじゃなかった、筈だ……認めたくないけど。悲しいけど。
うっ!?
突然頭に情報が流れ込んで来た。
拒否権はないようで、痛みに声を上げそうになっても止まらない。
足元も定まらない不思議空間でしばらくのた打ち回った。
何分経ったか分からないが、ようやく収まった。
フラフラするけどなんとか立てる。
なるほど、そういうことか。
もう人生終わったかと思ったけど、まだまだこれからのようだ。
まさか第三の人生があるなんて、気が利くね。
私が理解した途端に、仮想ウインドウが現れた。
これを弄って、見た目を決めるのね、了解。
キャラクタークリエイトのような画面が現れた。
可愛い女の子が両腕を横に伸ばして立っている。
これが私が演じることになるキャラクター。
どうやら今の私は、デフォルトの設定のようだ。
細かいキャラ設定なんかの情報も一緒に載っている。
このままでも充分可愛いが、どうせならもっと弄りたい。
私はキャラの外見には拘るタイプなんだ。
クリエイトの段階で100時間越えたこともある。
どうしようかな。
和風美人も良いし、ロリロリも捨てがたい。
あ、でもダメだ、設定に忠実にいこう。
キャラ設定を読み進めていって、あまりにも設定から逸脱した場合は死亡します、と書いてあることに気付いてしまった。
危なかった。
このまま気付かなかったら、ロリキャラの皮を被って死んでいたかもしれない。
洒落にならん。
どれくらいの時間が経っただろうか。
ようやく完成した。
どこからどう見ても可愛い王女様だ。
これに私の完璧なロールプレイが加われば、パーフェクト王女様が完成する。
さぁ、私の新しい人生が始まるわ。
前回は割と酷い目にあったから、今回はもっとうまくやろう。
幸いそれなりの権力に守られる立場だから、そうそう死ぬこともないでしょうし。
あー、楽しみだなー。
 




