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236 畑と地獄絵図

総合評価が一万を突破しました!

これも皆様の応援のお陰です!

これからも応援よろしくお願いします!

感想、レビューはどのようなものでも大歓迎ですので、是非お気軽にお願いします!


 気持ちの良い取引を終えて、畑エリアへとやって来た。

 ここに俺達の畑がある。

 ≪モジャ畑≫という名前だ。タマが名付けた。

 モジャは生えていないが、負けないくらい奇妙なものが生えている。


 まず薬草などの素材になりそうな植物と、それに混じる宝石化したハーブ。

 夕映えを集めたように、キラキラと輝いている。


 結晶体、少しくすんだ水晶のようなものが、畑の至る所に生えている。

 大きさも様々だ。

 手のひらサイズの物もあれば、俺と同じくらい大きいものもある。

 透明度はまちまちな為、夕焼けで赤く染まりながらも所々が光っている。


 ここまでは綺麗だ。


 畑の柔らかい土の上に下りる。

 植わっている植物の一つをつついてみる。


 ツンツン。

 ピクリ。


 動いた。

 しばらく様子を見る

 筋肉質な大根みたいなものが姿を現した。

 よく見ると彫ったような顔があるのが分かる。 


「マッスルウウウウウウウウ!!」

「よっ、調子はどう?」

「マッスル!」

「そうか、邪魔してごめんな」

「マッスル!」


 何言ってるか全然分からないな。

 ≪マッスルドラゴラ≫の≪大根≫は片手を上げて挨拶をした後、元の場所に埋まって行った。

 元通り、頭から生えた葉っぱの部分だけが地上で光と風を浴びている。


 マッスルドラゴラは、フルーツアイランドとは名ばかりの筋肉の楽園に住むモンスターだ。

 タマが気に入ったからテイムして、ペットとなった。

 タマのペットはおろし金と大根。

 セットにすると大根の方が削られてしまいそうだ。


 最後に、畑の中央にいるのがピンポン玉。

 巨大なイカだ。

 少し進化して、種族名は≪古代異界果樹烏賊≫。


 顔から上が地上にある。

 足は地下を経由して、畑の至る所に植物のように生えている。

 結晶で覆われてるし常にうねうね動いている。


 明らかにやばいものだが、立派な農産物だ。

 収穫すると素材や食材が手に入る。


 本体の方も変わっていて、本来の頭というか身体の部分にはすっぽりと三角帽子みたいな円錐の貝がはまっていた。

 今は進化した影響で、中ほどから木が生えている。

 その木の枝部分には大量のフルーツが成っている。


 80cmほどの巨大フルーツだ。

 しかも腹筋が割れている。

 あの筋肉島のフルーツに似た、細マッチョ達がその正体だ。


 収穫時期になると挑戦者を待つから、木の下で戦いを挑み、勝利すれば果物を収穫できる。

 何度聞いてもおかしな仕様だ。

 フルーツの話に思えない。


 今は枝葉の隙間から『…』という吹き出しがいくつも見える。

 あれは、沈黙状態にされたPKがそこにいる証だ。


 先日葵を狙って襲撃に来たPKのリーダーを、罰としてあそこに放り込んだ。

 それを助けに来たらしきPK達もタマとピンポン玉の手によって放り込まれ、結構な数になっている。

 あのアイコンがまるで墓標に見える。


 うめき声というか、もがくような声が聞こえるがきっと亡者の呼び声だ。

 反応してはいけない。

 引きずり込まれてしまう。


 畑に生えているものはこんな感じだ。

 今は細マッチョフルーツ達が、畑のお手入れをしてくれている。

 雑草の如く生えてくる結晶――雑晶を抜いたり、ハーブを収穫したり。

 試しに肥料を渡したら撒いてくれた。

 便利。


 指揮しているのは、身体が宝石化した細マッチョだ。

 名前は≪ムッキーマッスル≫。

 葵の師匠であり、今は護衛兼細マッチョ達のリーダーとなっている。

 元々ただの細マッチョだったが、葵を守る為に戦って、≪オレンジサファイアマスター≫に進化した。


 それにしても、絵面がやばい。

 魔境でしかない。

 筋肉質なフルーツ達が、巨大なイカの生える畑を歩きまわる。

 誰かの見た悪夢として話に出てきてもおかしくないレベルだ。


 今はPK達のうめき声がBGMになっているせいで、余計にやばい。

 ただのんびりと素材を植えるつもりだったのにどうしてこうなった。


 まあ、嘆いていても仕方ない。

 採れるものは全て有用だし、畑としてはすごく良い。

 人手もあるし、困ったことは何もない。

 これもゲームならではってことだな。

 納得した。


 収穫出来るものは、既に細マッチョ達から受け取った。

 イカの足もしっかり収穫出来るようだ。

 

 後は新しく買った苗を植えるくらいだな。

 少し配置を変更しつつ、追加のレッドハーブと、初挑戦のホワイトハーブとブルーハーブを植える。

 どのくらいで宝石化するか分からない。

 枯れずに育つよう、しっかりお手入れしないとな。


 畑の確認も終わった。

 後は出汁巻に頼まれた果物を収穫して戻るか。







「ただいまー」


 家に帰ると、誰もいなかった。

 タマとミルキーと葵はミゼルのお手伝いに行ってるんだったな。

 招待された時間まで、約一時間。


 俺も手伝いに行ってもいいけど、女の子だけで仲良くしてるなら邪魔するのも気が引ける。

 手伝えることがあるかも分からないし、邪魔にしかなりかねない。

 色々やってみたいが、そこはまた別の機会でやればいい。

 他の人が主催の時は下手に動かない方が良いだろう。


 モグラは手が空いただろうか。

 PK討伐からは帰って来ているが、今日は警戒態勢をとっていた筈だ。


 葵は元々モグラの知り合いだ。 

 PK対策で預かっているだけで、もうすぐお別れとなる。

 別に交流を断つ訳ではない。

 それでも、一緒に住んでいた人がいなくなるのは寂しい。

 盛大に見送る会をやりたい。


 ミルキーには相談済みで、是非やりましょうと言ってくれた。

 タマもノリノリだ。

 モグラも呼んでおきたいから、メッセージを送っておこう。

 葵を預かる時に受け取ったお金も返さないといけないからな。


 まだ時間がある。

 この間に、新しく取得した生産系のスキルを試してみようか。

 まだポーションしか作ってないからな。

 そろそろ装備品に手を出したいと思っていたところだ。


 ≪創造者≫のスキルは複雑な工程や特殊な道具は必要ない。

 空いた時間でさっと出来るのは良いことだ。

 どの材料を使ってどんな装備を造ろうか。

 まずは練習を兼ねて試すべきかな。


 新しいことをするのはワクワクするなぁ。

 楽しくて仕方がない。



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