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24 ストーレの森と小手調べ


「タマは今回俺達のサポート、おーけい?」

「おーけー!」


 返事はいいんだよな。

 タマを呼び戻して探索を再開した。


 いた。

 半透明のゼリーみたいな物体に、マスコット的な顔をつけたモンスターが跳ねている。

 これは普通のプルンだな。

 周りに他のモンスターの気配は、なし。


 早速待望の新スキルを使ってみるか。

 このゲームでのアクティブスキルの使い方は、基本的にはスキル名を叫ぶことだ。

 魔法スキルの場合は魔法名でも発動する。

 設定されていれば詠唱も自動で行われる。


 後は、スキルによっては特定の動作を求められたりもする。

 このスキルなら、目標に向かって手を翳す必要がある。


「無刀両断!」


 スキルを使用した瞬間、プルンが斜めに真っ二つになって崩れ落ちた。

 なんかえぐい。

 手を翳した相手に斬撃で攻撃するスキルなんだけど、一撃真っ二つは予想外だった。プルンが雑魚モンスターだからだろうか。


「なんかすごそうな技ですね……」


 ミルキーも若干引くレベルだ。

 きっと相手が悪かった。

 次いってみよう。


 いた、クワガタみたいなやつだ。

 まずはどの程度の敵か確かめる為、普通に戦ってみたい。

 タマに戦わせると瞬殺は間違いないから、俺とミルキーでだ。

 タマは危ない状況になった時に介入してもらえばいい。


 後は危険なアクティブモンスターが寄ってこないかの警戒だな。

 目の前の相手に集中出来るのはありがたい。

 後で目いっぱい労おう。


 俺が前衛で、何故かミルキーも前に出ていた。

 何故だ。


「もしまたあいつと戦うことがあれば直接攻撃もしたくてですね」

「ぶっ潰すぞー!」


 とはミルキーの言葉。

 一体誰に、そしてどこに直接攻撃したいんだろうか。

 笑顔が怖かったので聞くのはやめた。

 タマは変に乗っかるんじゃありません。そこはきっと地雷原だ。


 そんな感じで60cmくらいの、二足歩行するクワガタっぽいモンスター、≪足軽クワガタ≫と普通に戦ってみよう。


 そこそこ強い。

 強いと言っても攻撃が通りづらくて倒すのに少し時間が掛かる、という意味ではある。

 動きはそこまで速くなく、ハサミの動きにさえ注意していれば攻撃し放題に近い。


 武器が短剣のミルキーは、俺が正面から相対している隙を突いて背後から攻撃している。

 直接攻撃も出来るし、魔法発動の補助にもなる便利な武器らしい。

 あれでお金が無くなったと言っていた。


 俺が何度か剣を叩きつけたところで足軽クワガタを撃破した。

 ドロップアイテムは≪足軽クワガタの脚≫。

 他にもあのアゴとか甲殻とか、いい素材になりそうな気もする。


 俺的にはオオカナヘビの方が強いような気がする。

 あの素早さは攻撃をするにも受けるにも恐ろしかった。

 足軽クワガタに挟まれてみたら、また感想が変わるんだろうか。


「動きも早くないしそんなに強くないね」

「私の攻撃はあんまり効いてなかったので、結構固いと思ったんですけど」


 そうだったかな。

 俺にはオオカナヘビと大して変わらないように感じた。

 だからこそオオカナヘビの方が強いと思う。


「俺は今のところ剣士みたいなステ振りしてますからね。魔法も使ってみたいし悩みます」

「じゃあ次は私も魔法を使ってみますね」


 ということで次の獲物を求めて再び彷徨う。

 狙いはもちろん足軽クワガタだ。


 少し歩くと、発見した。

 そこそこ数はいるみたいだ。


「お、いました」

「二匹いますね」

「とりあえず俺が片方に攻撃してみます。リンクしても一匹を集中攻撃でいきましょう」

「はい」


 近い方の足軽クワガタを斬りつける。

 すかさずアクティブ化し、アゴを持ち上げて威嚇してくる。

 もう一匹は、動かない。


 リンクしないようだ。

 良かった。

 オオカナヘビのあれは軽くトラウマになりそうだったから、リンクモンスターに集られるのはご免だ。

 普通に死ねるしな。


 今回はミルキーの魔法の試し撃ちを兼ねている。

 俺は剣先で小突いて挑発する以上の攻撃はしない。

 どの程度の強さか大体分かってるし、大丈夫だろう。

 攻撃を避けるのと受けるのに集中だ。


 ミルキーの頭上に謎のゲージが出現する。

 これは魔法の詠唱を表すゲージらしい。

 使いたい魔法や一部のスキルを発動しようとすると現れ、貯まれば魔法名を叫びながら発動されるそうだ。

 1秒程でゲージが満タンになった。


「ファイヤーアロー!」


 文字通り火の矢が放たれる。

 足軽クワガタの横っ腹に直撃して簡単に吹き飛ばした。

 足軽クワガタを見ると、HPをMAXの7割程消し飛ばしたようだ。

 残りは1割もない。


「どーん!」


 ひっくり返ってしまって必死に起き上がろうとしている足軽クワガタに駆け寄って、とび蹴りをかましてトドメを刺した。

 勿論タマだ。

 最後くらい良いんだけどね。なんか物騒だ。

 あれで魔法型のステータスなんだから驚きだよなぁ。


 ミルキーの頭上で女神様が微笑んで消えていく。

 今回は割と普通だった。


「お疲れ様。魔法強かったね」

「まだレベル1なんですけど、弱点属性だったみたいです」

「属性相性があるんですね」


 知らなかった。

 でもゲームには付き物か。


 このカスタムパートナーオンラインでは、アイテムやキャラクターは属性を持っていることがある。

 基本は7つ。火、水、風、地、光、闇、無。

 基本と言う事は例外もあるわけで。

 複合属性や、全く別の属性もあるとかないとか。

 その辺りはプレイヤー専用で用意されているんじゃないかとの予想だけど、まだ未確認。

 と、今ミルキーに教えてもらった。


 属性相性は水が火に強く、風が水に強く、地が風に強く、火が地に強い。

 光と闇は相互に弱点で、その他の属性はこの二つに対して効きが良くないらしい。

 無属性は特にダメージの減衰や増加はないらしい。

 そもそも人気もないらしい。

 いいさ。人気が無かろうが、俺は支援魔法をとってやる!


「あっ、レベルアップおめでとうございます」

「ありです。ちょっと操作しますね」

「ゆっくりでいいですよ」


 さぁ、少し休憩したら次はお待ちかね。

 足軽クワガタに≪無刀両断≫を撃ってみようのコーナーだ!



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