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215 発注と内容


 純白猫と細かい話を詰めた。


 契約の内容は簡単だ。

 純白猫の希望する素材を俺がかき集める。

 もしくは、そこらの商人から仕入れて、立て替えてもらった代金を俺が後で払う。


 それを使って、作りたいものをがんがん作ってもらう。

 ある程度レベルが上がったら、葵用にいくつか作ってもらう。


 素材は完全に無料で、出来上がった葵用の装備は正規の値段で買い取る。

 純白猫が一方的に得をするような内容に見える。


 だけど、素材集めは苦じゃない。

 大体の場所には飛んで行けるし、モンスターをひたすら狩るのも問題ない。

 生活費のついでに効率良く集めることが出来るだろう。


 なにより、葵用の装備を造れるのが純白猫しかいないのだから、そのくらいする。

 作ってもらえるってだけで、俺にとっては得だ。

 キリキリ働くぞ。


「それで、どんな素材が必要なんですか?」

「最初は結構練習しないといけないですからねー。希望の装備の部位は、もう決まってますか? それによって必要な素材が微妙に変わってきますよ」


 正直あまり時間が無い。

 後三日だから、今日と明日である程度熟練してもらわないといけない。

 純白猫はほぼ徹夜で作業を行うことも、契約に含まれている。


 まずはさくっと短時間で材料を集めて、それを消費してる間に本格的に集めてくる。

 必要な素材を訪ねると、逆に聞き返されてしまった。

 装備の部位か。

 やっぱり初心者に見えないようなのがいいが、どれだろう。


「≪魔導機械士≫の装備で、その子の武器は剣ですよね。それだと、鞘や手袋、小手なんかがおススメです」

「そうなんですか?」

「はい」


 純白猫が言うには、≪魔導機械士≫の専用装備は、武器とリンクすることで特殊な効果を発揮するらしい。

 ただし、それは常に発動するわけではない。

 装備している≪魔導機械≫と触れている間に限る。

 だから剣を納める鞘か、剣を握る小手が良いらしい。


「なるほど……。そうだ、短剣で≪魔導機械≫を一本作ってもらうことになると思います。こっちの材料は、一つ使って欲しいものがあるので後で持ち込みます」

「了解です」

「さて、どの部位にしようか悩むな……うん?」

「どうしたんですか?」

「ちょっと待ってください」


 何かいいこと思いついた気がする。

 果たして可能なんだろうか。

 とりあえず純白猫に説明してみた。


「こういう感じのって、出来ますか?」

「確かに出来ますし、そういうスタイルもあるって聞いた気はしますけど、日数足りますかね……」

「そこをなんとか」

「そんなの作って、その子は使いこなせるんですか? 必死に作ったのに、使いこなせないから使いませーん、なんてなったら泣きますよ」

「あの子は頑張り屋だから、大丈夫な筈です」

「……分かりました。こうなったら私も全力を尽くしちゃいますよ!」

「ありがとうございます」


 自分でも無茶な思いつきだとは思ったが、なんとか受け入れてくれた。

 俺も気合いを入れて素材を集めてこないといけない。


「素材もかなり高級なものが必要になると思いますよ」

「頑張ります」

「それでは鎧、ジャケット、小手、そして≪魔導機械≫ですね。勢いで引き受けちゃったけど、私頑張れますかね……」

「常に笑顔の純白猫さんなら大丈夫ですよ」

「私だって偶には泣きたくなるんですよ、今とか。……とりあえず、鎧はジャケット二つにすればなんとかなりますかね。あとは小手ももう一体化させちゃって……」


 泣き言を言いながらも常に笑顔だ。

 三本の線が描くスマイルは全く崩れていない。


「えーっと、まずは品質低めでも大丈夫そうで沢山作れそうな奴からいくとして……。ナガマサさん、魔法銀(ミスリル)か宝石が大量に必要ですが、どちらが集めやすいですか?」

「宝石ですね」

「了解です。それじゃあ宝石回路の方で作成ですか。これは、気合いが入っちゃいますね」


 純白猫は何やら独り言を呟きながら、俺に質問をぶつけてくる。

 ≪魔導機械士≫用の装備は、≪魔導機械≫も含めて魔法銀か宝石が必要なんだそうだ。

 どちらも魔力との相性が良い素材らしい。


 宝石は狩場にあてがあるし、言ってしまえば今それなりの数を持っている。

 いつか使うと思ってある程度残しておいて良かった。

 イエス貧乏性。


「それじゃあ早速取って来てください。私はお店で買える素材を集めてきますので」

「とりあえず宝石は今ある分渡しておきますね」

「え?」


 取引申請を純白猫へ飛ばす。

 首を傾げながらも受諾され、開いた取引ウインドウに宝石を放り込んでいく。

 各種十個以上あるからな。

 全放出だ。


「え、ちょ、どうしてこんなに持ってるんですか!」

「色々あってため込んでました」

「とりあえずこれだけあれば十分ですよ! それじゃあ私も大至急練習に励みますので、次の素材を採って来てください」

「分かりました」


 純白猫からフレンド申請が届いた。

 そういえばしてなかったっけ。

 許可、っと。


「えーっと、後必要なものは……これで良いですかね。今メッセージ送りましたので確認してください」


 画面を呼び出すと、言う通りメッセージが届いている。

 差出人は純白猫。

 中身は、ずらっと箇条書きしてある。


「これを集めて来いってことですか?」

「そうですねー。金属、非金属、みたいな細かい指定がないものはお任せします」

「分かりました」


 必要な素材のリストのようだ。

 アイテムの名前では書いてない。

 ≪何かの皮≫や≪硬い素材≫のようにざっくりとした感じだ。

 こんな感じの、好きな素材を採ってこいということだろう。


 把握してる狩場の種類は少ないが、ある程度は揃う筈だ。

 どうしても思いつかないところは出汁巻玉子や伊達正宗辺りに聞いてみよう。

 特に伊達は、詳しい筈だ。

 葵の為だからな。

 今回はなりふり構わず素材集めに専念するぞ。



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