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202 転職祝いと筋肉畑

本日三回目の更新です


 葵が選択したのは≪魔導機械士マジックギアウォーリア≫だった。

 理由としては、シンプルにあの剣を使いこなす為だそうだ。

 相性とかどうとか、関係なかった。

 やりたいことをやれるのが一番だな。


 葵の全身が光る。

 光が収まって、転職完了だ。

 傍から見るとこんな風なんだな。


「タマもー!」

「っ!?」

「こらこら、光るんじゃない。葵ちゃん、転職おめでとう」

「おめでとー!」

「ありがとう……!」


 タマがいつものように全身を光らせている。

 突然のことで、葵が少し驚いたようだ。

 知り合いの女の子が突然明滅を繰り返したらそうなる。


 無事に転職を終えて、ギルドのロビーへと戻ってきた。

 葵は濃い青色で右半分しかない、不思議なジャケットを装備している。

 右腕部分に機械的な装飾がついていてかっこいい。

 袖を通して、左側はクロスしたベルトで固定する仕組みだ。


 ≪魔導機械士≫のギルドは小規模ながらもあるようで、初期装備をもらうことが出来たそうだ。

 職業の専用装備なだけあって、デザインがいい。

 ちょっと羨ましい。


「改めて、転職おめでとう。これはお祝い」

「いいの?」

「いいよ。デザインが気に入らなかったら、売ってお金にしてもいいから」

「これは……?」

「腕に装備するアクセサリーだよ。AgiとAtkが上がるんだ」


 差し出したのは、≪イチゴ柄マッスルバンド≫だ。

 筋肉の島(フルーツアイランド)で入手した装備品で、性能は結構良い。


 転職が急なことだったからお祝いが他に用意出来なかったとも言う。

 名前と見た目が気にならなければ性能は良いから、許してくれるはず。

 

「イチゴ柄、可愛い……!」

「喜んでもらえたなら良かった」

「タマからもはい!」

「二人ともありがとう……!」


 タマは何か水晶のようなものを手渡していた。

 透明感は無く、くすんでいるように見える。


 だけど、何かこう、威圧感みたいなものを感じる。

 凄みというかなんというか。

 俺の剣と同系列の何か。

 全く見覚えがないな。


「タマ、さっきあげたのは何?」

「素材! 武器の材料にしたらすごいのが出来るよ!」

「そうか、良かったね、葵ちゃん」

「うん……!」

「今度腕の良い職人を紹介するから、その剣を使いながら使える武器でも作ってもらおうか」

「うん、お願い」


 タマが贈った素材を無駄にする気は、葵にはないようだった。

 良かった。

 サブウエポンすら拒否されたらどうしようかと思った。

 投擲武器がいいかな。


 そうなると短剣?

 斬ってよし、投げてよし。

 また今度マッスル☆タケダに相談してみよう。


 転職が終わればもうギルドに用は無い。

 育成に関してはミルキーが何か考えがあるようだったから、一先ず家に帰ろう。


 帰宅も教会経由で一っ跳びだ。

 料金は三人分まとめて俺が支払う。

 行きの時点で遠慮してたのを、俺が押し切った形だ。

 幸い収入はあるし、安いものだ。


 一応モグラからは葵を預かっている間のお金を渡されているけど、手を付けるつもりはない。

 アイテム化して、引出しの中に仕舞ってある。

 帰って来たらそのお金をそのまま渡す。

 渋るようならそのお金でご飯でも食べに行くつもりだ。


「ただいま」

「ただいまー!」

「おかえりなさい。転職出来ました?」

「ただいま……!」


 帰宅すると、ミルキーが出迎えてくれた。

 なんか安心する。

 家を買って良かった。


「出来たよ。しかも特殊一次職。葵ちゃん、才能あるって褒められてたよ」

「それはすごいですね!」

「ミルキー、私、お父さんみたいになれるかな」

「うん、きっとなれるよ」

「へへ……」


 ミルキーは少し屈んで、葵と目線を合わせて答えた。

 葵の笑顔を初めて見た気がする。

 一週間が終わる頃にはもっと馴染んでくれるといいな。


「今日の育成はミルキーに任せたらいいのかな?」

「はい。それじゃあ、少し休んだら畑に行きましょう!」

「畑? 何かあるの?」

「行ってみてのお楽しみですよ、ふふ」

「了解」


 何か企んでそうなミルキーに従って、まずは休む。

 フルーツと、ミゼルの持ってきてくれた美味しいお茶が身体に染み渡った。


 30分程くつろいで、畑へ向かった。

 なんだかんだ畑にくるのも二日ぶりくらいだ。

 ≪始まりの筋肉大樹ビギニングマッスルツリー≫のコインを食べさせたピンポン玉は元気だろうか。


「フルーツがなってるー!」

「おぉ」


 ピンポン玉は大きい。

 その貝の部分から生えている木は離れているところからでも目に入る。

 まだ100mは離れているのに、その木にフルーツが成っているのも確認出来た。

 タマが大きな声をあげて跳んで行く。

 瞬間移動で空間を跳躍するはしゃぎっぷりだ。

 俺も思わず変な声が出てしまった。


 タマによって≪モジャ畑≫と名付けられた場所までやってきた。

 ここが、俺達の畑だ。

 畑には、太陽を浴びてキラキラ輝く宝石質のハーブと、巨大なイカの足が生えている。


 朝抜いてくれたはずの雑草ならぬ雑晶も、至る所で頭を出し始めている。

 もう生えてきたのか。

 イカの本体は足の部分を地面に埋めて、顔から上だけを出している。


 その頭の部分には三角垂の貝がはまっているが、それも途中から割れて大きな木が生えている。

 そしてその木には、無数の果物が成っている。

 筋肉の島のMVPボス、≪始まりの筋肉大樹≫に成っていたような、巨大なフルーツが。


 しかし、よく見ると少し違う。

 あの島にいたフルーツ筋肉(マッスル)達と比べると、やや小さい。

 ほっそりしているし、腹筋もそこまで割れていない。


 この畑を一言で表すとすれば、≪魔境≫だな。


「それで、何をするの?」

「葵ちゃんにはここで、フルーツを収穫してもらいます!」



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