191 いつも通りとメッセージ
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タマを落ち着かせた俺達は、宿屋を後にした。
合流したおろし金を撫でてやり、城に向かって歩き出した。
運営からのメッセージには驚いたけど、そこまで慌てるようなことでもなかった。
新規プレイヤーが増える。
プレイヤーの頭上のアイコンの色が変わる。
街ではPKが出来なくなる。
それだけだ。
そんなに大きく影響するようなことはない、と思う。
むしろPKに関しては、前より良くなるんじゃないだろうか。
今は村でも街でもPKし放題だ。
アイコンもプレイヤーは全員緑だから、パッと見て判別は出来ない。
親切な人かと思ってたら、人気の無いところで襲い掛かられて初めて分かる訳だ。
よく考えるとこの仕様は鬼畜過ぎる。
PKを推奨してると言われても納得出来る。
相棒のレベルアップに一番効果があるのが、他の相棒を破壊すること、という仕様がまたいやらしい。
後はやっぱりアイテムやお金狙いか。
その二つの理由で、相手が死ぬと分かっていてもPKする奴はそれなりにいるらしい。
だけど今後は、村や街等のエリアはPKが出来なくなる。
更に、アイコンの色も区別される。
突然襲われる可能性はかなり低くなるんじゃないだろうか。
「何処に狩りに行こうか?」
「どこでもー!」
「私も、どこでも良いですよ」
「それじゃあ、無明の城でも良い? そろそろ畑に撒く分が無くなりそうなんだ」
「おっけー!」
「オッケーです」
俺達はいつも通り過ごすことに決めた。
まずはタマが行きたがった狩りからだ。
活気があるというよりは、いつもより慌ただしい様子の大通りを歩く。
さっきのメッセージは結構な波紋を呼んでいるようだ。
露店を畳んでいるプレイヤーもちらほらいる。
城の訓練場からおろし金で飛び立つ。
向かう先は≪輝きの大空洞≫。
山岳地帯の地下に広がるダンジョンだ。
一つ目のエリアに隠されている通路の奥に進むと、崩れ落ちた城の残骸の山がある。
結晶のようなもので作られている。
城があったことを知らなかったら、ただ結晶が積み上げられただけにも見えるな。
ここは≪ダイヤモンドクイーン≫の≪金剛石華≫の城だった。
城は崩壊したが、≪無明の城≫というダンジョンへの入り口だけがここに残されている。
「さぁ、騎士狩りだー!」
「だー!」
「怪我には気を付けましょうね」
「キュルル!」
駆けずり回って騎士達を狩る。
このダンジョンは宝石で出来た、騎士甲冑みたいなモンスターがいっぱいいる。
結構強い筈だけど、俺達からしたらボーナスステージでしかない。
おろし金に乗ったタマを先頭に、ミルキーが続く。
遭遇した騎士達をタマが瞬間移動を駆使して殴りつける。
数が多ければミルキーが一部を狩る。
俺はもっぱらアイテム拾いだ。
接敵してから、倒して走り出すまでの時間は数秒もない。
普通にドロップアイテムを拾っていると置いていかれてしまう。
だけど俺なら問題ない。
少し前に取得した≪強欲≫というスキルがあるからだ。
スキルの効果は、発動すると半径20mの範囲の俺に所有権がある、落ちているアイテムを全てストレージに叩きこむ。
念じるだけでアイテムが拾える超便利スキルだ。
だから誰も足を止めずに走り回りながら狩りをすることが出来る
物凄い効率狩りだ。
転職したばかりだから職業レベルもガンガン上がる。
レベルアップのエフェクトである花火もガンガン上がる。
たまに女神も混じって、花火に囲まれてキメ顔をしている。
前は直撃してたりしたのに、使いこなしてるな。
タマがどんどん走っていくから、今はスキルを取得してる暇はない。
今日はただ狩るだけだし問題ない。
危険な場所だったらしっかりスキルを取得しないといけないけど、ここに危険なモンスターはいない。
俺達が瞬殺出来る程度だし、反射系のスキルも使われたことがない。
だからレベルアップの処理は後でまとめてで大丈夫だ。
俺達の狩りは大体一セット一時間。
一セットごとに十五分程休憩を挟んで、三セット程狩りをした。
「そろそろ帰ろうか」
「はーい!」
「はい」
今日もかなり稼いだんじゃないか。
タマも沢山暴れられてご機嫌だ。
帰る前に今日拾ったアイテムをちらっと確認するか。
そこで、メッセージが届いていることに気付いた。
タマがシステムの表示設定をいじってて表示されないんだった。
後で戻しておこうと思ってもつい忘れちゃうんだよな。
差出人は……ゴロウだ。
珍しいな。
しかも何通も来ている。
「どうしました?」
「ゴロウさんからメッセージが来てて。ちょっと確認していい?」
「大丈夫ですよ」
「おろし金に餌あげてるね」
「あまり離れないようにね」
「はーい」
とりあえず一番最初に来たものから順番に見てみるか。
『お疲れ様。誰かにつけられてる感じがするんだけど、暇してたらちょっと来てもらえない?モグラさんにも声掛けたけど反応が無くて』
『PKに襲われた!まじやばい!死ぬかと思った!
まだいるかもしれないからヘルプミー!!』
『やばいめっちゃいる』
『見つかりそう』
『たすk』
「ミルキー! 急いで帰ろう!」
「えっ、どうしたんですか?」
「説明は後でするからとにかく早く! タマ、おろし金、帰るぞ! 超特急!」
「えっ、あっ、はい!」
「いえっさー!」
「キュルル!」
この様子だと、かなり切羽詰っているようだ。
もう手遅れの可能性すらある。
慌てて≪輝きの大空洞≫を出る。
そのまま空を全速力で駆ける。
俺達は瞬間移動が出来る。
おろし金はコインに戻して、出来る限りの距離の転移を繰り返してストーレへ急ぐ。
無事でいてくれるといいんだけど。
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