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188 クエスト完了とレベル上限

本日二回目の更新です。


 ライリーのいる船着き場へやって来た。

 相変わらず、何人かのNPCが並んでいる。

 夜中も立ちっぱなしなんだろうか。

 それは辛そうだ。


「おお、冒険者さん。待ってたよ!」

「昨日はさっさと帰ってしまってすみませんでした」

「いやいや、いいんだよ。とても疲れているようだったからね。ゆっくり休めたかい?」

「はい、お蔭様で」

「それは良かった。で、果物は見つかったのかい?」

「はい、沢山いましたよ(・・・・・)


 それはもう沢山。

 どいつもこいつも逞しい筋肉を持っていた。

 持ってて、しかも見せつけてきた。

 連れて行って直接見せてあげられないのが残念だ。


「ん? まぁいいや、早速見せてもらえるかな!」

「はい」


 目の前に表示されたウインドウに、ストレージから果物を放り込んでいく。

 指定されたのは各種十個ずつ。


 ≪筋肉マッスルオレンジ≫に≪筋肉イチゴ≫、まだまだある。

 あの島のマッスルは、対応したフルーツをドロップアイテムとして落とす。


 そのどれもが四肢をもいで小さくしたような見た目という、狂ったデザインをした果物だ。

 マッスルを倒してドロップしたそれを拾うと、少し複雑な気分になる。


 奇抜な見た目だけど、味は美味しい。

 ちょっとムキムキしてて腹筋が割れてるだけだ。

 マッスルを見ていなければ、そんなに気にはならないと思う。

 果物の腹筋って何だ。


「おお、こんなに沢山!」


 ライリーも見た目は気にならなかったようだ。

 渡した果物の種類を見て目を輝かせている。


「ちょっと失礼……おお、これは美味しい! 素晴らしい果物だ!」

「それは良かったです」


 筋肉イチゴを一つ持って齧りついた。

 興奮したように喜んでいる。

 うん、本当に味は美味しい。


「大変でしたからね……」

「そうだね」

「タマは楽しかったよ! また行きたい!」

「私は出来れば遠慮したいです」


 小声でミルキーが呟くのに同意しておく。

 タマとおろし金は相変わらずご機嫌だったもんな。

 おやつもいっぱい拾えるし。


「これだけの種類の美味しい果物があると思うとテンションが上がってくるね! ありがとう! これはお礼だよ!」


 俺とミルキーの頭上で女神が躍る。

 レベルアップは相変わらずポンポンするけど、昔程熱心に上げる気も薄れてきた。

 第二の人生を楽しむくらいのステータスは確保してると思うとどうしてもね。


 それでも安全に絶対はない。

 忘れないようにしよう。出来るだけ。


 ……職業レベルがマックスになってるから転職に行こうと思ってたのを忘れてた。

 これだから俺は。

 今日これから行ってしまうのも良さそうだ。


「私のお店に来てくれたらサービスするよ。それじゃあ私は早速試作に取り掛かるとするよ! それじゃあね!」


 依頼の達成の報酬として、ストレージにアイテムも放り込まれていた。

 お弁当のようだ。

 これは有難い。

 ライリーの姿がぶれたと思ったら、船乗りのおじいさんになった。

 今何が起きたんだ?


「すみません」

「フルーツアイランドに行きたいのか?」

「あ、今は大丈夫です。送ってくれるんですか?」

「ライリーのやつに、これからも送ってやって欲しいと頼まれたからのう。それに、孫もお主らのお陰で元気になったんじゃ。これくらいはさせてくれい」

「ありがとうございます」


 ライリーはここを離れるみたいなことを言っていた。

 今後あの島へ行くのはどうするのかと思ったら、ライリーの代わりにこのおじいさんが常駐するようだ。


「多分、依頼を達成していないプレイヤーにはライリーさんがいるように見えてるんだと思います」

「なるほど」


 あくまでもこの世界はゲームだ。

 NPCの反応や行動がリアル過ぎて忘れるけど、人間じゃない。

 ゲーム的な都合も色々あるだろう。

 プレイヤーごとに反応や見え方が違うなんて、よくある仕様だ。


 船着き場を離れて、広場の隅で休憩することにした。

 お店に入るのもいいけど、天気も良いし潮風を浴びたい気分だった。


「今日はこれからどうしますか?」

「はいはい! 狩りに行きたーい!」

「キュルル!」

「ああ、それなんだけど」


 午前中はストーレの街へ行きたいことを伝える。

 目的は転職だ。

 もう二次職の職業レベルも上限だから、転職しておかないと勿体ない。

 というかミルキーも上限に行っててもおかしくないと思うんだけど。


「あ、そういえば私ももう上限でした……」

「やっぱり」

「すっかり忘れてました」

「俺もだよ」

「ふふ、仕方ないですね、私達」

「本当にね」

「それじゃあ私もギルドに行きたいです」

「タマもそれでいいよー。お昼ご飯食べたら狩りがいいな!」

「よし、じゃあそうしよう」

「はい」

「やったー!」


 俺達はおろし金の背中に乗ってストーレへ。

 何日かぶりに城の訓練場へと降り立った。


 間が空いてたせいか、王様や騎士達からのおろし金への貢物が多かった。

 相変わらず守護竜として崇められているようだ。

 お肉をもらったり撫でられたりと、愛でられている。

 おろし金はご機嫌だ。


 ギルドへとやって来た。

 流石におろし金はカナヘビモードでも室内は狭いので、ギルドの外に備え付けてある厩で待ってもらっている。


 ここも久しぶりだな。

 本当は転職以外でも度々利用する筈の施設だ。

 ここでは色々な依頼を受けることが出来るらしい。


 プレイヤーは自分のレベルや職業にあった依頼を受けて、達成することで報酬を得ることが出来る。

 討伐系の依頼なんかは、ただ狩るのに追加で経験値やアイテム等の報酬がもらえるわけだから、受ける方がお得と言うわけだ。


 俺達はほとんど気にしてなかったけど。

 スキルの組み合わせで効率が凄く良くなってるからな。

 ただ狩ってるだけでモリモリ上がる。

 色んなものがモリモリ上がる。


 モグラに聞いた、一回のレベルアップでもらえるポイントの最大値は、通常5らしい。

 レアなスキルやアイテムで増やすことも可能。

 だけど、一回のレベルアップで3000も割り振れる人は俺達だけだと思う。

 うん、異常だな。

 有難く活用させてもらうけど。


「冒険者ギルドストーレ支部へようこそ」

「転職をしたいんですけど」

「はい、ではご案内致します」


 担当のお姉さんについて転職部屋へと向かう。

 一体どんな職業があるかな。

 


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