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184 始まりの筋肉大樹

本日二回目の更新です。


「ミルキー、あいつのHP見れる?」

「えーっと、350万ですね」


 なるほど。

 確か≪古代異界烏賊≫が1000万だったから、あれよりもかなり低い。

 HPだけ見ると瞬殺出来ると思う。


 だけど何か特殊なギミックが無いとも限らない。

 じっくり行動を調べるか?


 でもそうなると、木に成っているマッスル達が降ってくるのは間違いないと思う。

 大量のマッスル達に囲まれての戦闘は、精神が削られていくからなぁ。

 出来ればあまり受けたくない。


 多分時間沸きだから、短時間で連続して戦えないのがMVPモンスターの残念な点だ。

 ドロップアイテムとかのことを考えると仕方ないんだけど。

 もしそうなったら≪三日月≫とかが狩場を占拠して数日は泊まり込みそうだ。

 ここではしないだろうけど。


「戦ってみる?」

「やる! やりたい!」

「私も大丈夫ですよ」

「キュルル」


 タマはいつも通り殺る気満々だ。

 ミルキーも大丈夫らしいし戦ってみるか。

 危なくなったら最大火力で……反射がないかどうかだけはしっかり確認しておこう。


「タマ、ミルキー、物理範囲攻撃はダメージ反射が無いかどうか確かめてから撃つようにね。特に≪パインマスター≫がいる時は絶対禁止。それなら最初から魔法の方がいいかもしれない」

「はーい!」

「分かりました」

「とりあえず全力で攻撃するのは止めた方が良さそうだから、気を付けてね」


 懸念はある。

 物理ダメージの反射があるなら、魔法ダメージの反射があってもおかしくない。

 見た目が物理のマッスル達がそんなスキルを持ってるかどうかは分からないが。


「行こう」


 筋肉大樹へと向かっていく。

 盾も剣も装備済み。

 いつでも全力で戦える。


 筋肉大樹の周りに他のモンスターの姿は無い。

 あくまでも地上には、だけど。


 開けた場所の手前まで来た。

 ここまで来ればよく見える。

 ≪始まりの筋肉大樹≫の枝には大量のフルーツが、いや、マッスルが成っている。

 イチゴもオレンジもリンゴも、パインもキウイも一緒くた。

 中々にカオスな光景だ。


 文字通り、この島のマッスル達はあの木から生まれたんだろう。

 つまり諸悪の根源か。

 フルーツアイランドというよりも、マッスルアイランドだからな。 

 倒してもゲーム的には何も変わらないんだろうけど、倒すのがこの島の為のような気がしてならない。


 筋肉大樹が反応した。

 来るか。

 筋肉大樹の幹から、太い枝が突然生えてきた。

 まるで丸太のように鍛え上げられた太い枝だ。

 先端は五つに分かれていて葉は生えていない。

 人間の腕のようだ。


 その木で出来た腕が大きく掲げられる。

 そして半ばが膨張する。

 これはまるで――!!


「こいつもか――!!」

「まだ攻撃したらダメー?」

「……うん、ちょっと待って」

「はぁ」


 筋肉大樹がとったのは、腕の筋肉を見せつけるためのポーズ。

 特に迫ってくる訳でもなく、攻撃の意思を感じない。

 まさかのMVPボスまでも、筋肉を見せつけたくて仕方がないようだ。


 お前木だろ!

 この島のモンスター考えた奴ちょっと出て来い!

 パシオンの設定決めた奴と一緒に≪滅魔刃竜剣≫を叩き込んでやる!


 様子を見る為にタマにちょっとだけ待ってもらう。

 ごめんよタマ、少しだけだから。

 

 ミルキーはうんざりしたように溜息を吐いた。

 気持ちは分かる。

 少しだけ我慢してください。


 見ていると、筋肉大樹の樹上からフルーツが落下してくる。

 地上に到達するまでの間にムキムキに発達した四肢が生えて、無駄にかっこいいポーズで綺麗な着地を決める。

 まるで昔見た特撮ヒーローのようだ。


 思った通り、あのフルーツはマッスルだった。

 木に成っているのは他のボスでいう取り巻きらしい。


 島にいるマッスルと行動パターンが違うようだ。

 あいつらはひたすら迫って来ては筋肉を強調するポーズを決めてたけど、今落ちてきたのは筋肉大樹の側でポーズを決めている。


 次々とフルーツが落下してくる。

 幸い、マスターはいないようだ。


 そうして増えたマッスル達は、筋肉大樹の前に並んでポーズを決める。

 俺達に向けて。

 しかも筋肉大樹達は少しずつ近づいてくる。

 フルーツマッスル達による、地獄の筋肉品評会の幕開けだ。

 恐ろしすぎる。


「ナガマサさん、もうやってしまいましょう」

「モジャマサ、まだー?」

「ごめん、俺が悪かった」


 筋肉大樹達はポーズを決めては一歩、ポーズを決めてはまた一歩。

 どんどん距離を詰めてくる。

 様子を見るなんて俺の考えが浅はかだった。

 あの悪魔の木は、見つけ次第砕くに限る。


「突撃!」

「あいあいさー!」

「筋肉は敵です!」

「キュルル!」


 俺の合図でタマとおろし金、ミルキーまでもが駆け出していく。

 そんなにストレス貯まってたのか。

 あいつらテカテカしてるし、女の子には不気味でしかないよなぁ。


 いや、この島の情報を教えてくれた伊達も気持ち悪がってたな。

 男女関係なかった。

 もしかしたらあいつも筋肉大樹と遭遇したのかもしれない。


「いっくぞー!」


 タマが二人に増えた。

 タマAが結晶の礫をばら撒く。

 いつもに比べて小さく見える。

 マッスル達を一撃で仕留められる程度に威力を抑えているようだ。

 通常攻撃で一体ずつをほぼ同時に貫いていく。


 取り巻きが攻撃された時点でスイッチが入ったようだ。

 フルーツが落下してくる量が増えた気がする。

 しかし、落下してくる分はタマBが瞬間移動を駆使して空中で迎撃している。

 ちょっとずるい気もする。


 ちなみに、落下が始まる前のフルーツは無敵らしく、タマBの最初の一撃以降は無視していた。



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