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183 マスターと大物


 オレンジマスターには出会えなかった。

 その代わり、≪イチゴマスター≫、≪リンゴマスター≫、≪パインマスター≫と、各種マスターに遭遇した。

 いずれもマッスル達を従えた非常にむさ苦しい集団で、見事な筋肉だった。

 ドロップアイテムはあまり変わらなかったが、≪イチゴマスター≫が装備品を落とした。


≪イチゴ柄マッスルバンド≫

防具/腕輪/アクセサリー レア度:C+ 品質:B-

Def:5 Mdef:5

筋肉に装着するバンド。主に上腕に装備する。

オシャレ可愛いイチゴ柄。

筋肉を活性化することで瞬発力を増大させる。

Agi+20

Atk+20


 中々便利そうな装備ではある。

 ただ、イチゴ柄だから装備するのはなんとなく恥ずかしい。

 ミルキーもタマも趣味じゃないそうだから売ってしまおう。


 戦闘自体は、俺達のステータス的に苦戦はしなかった。

 ただ薄い膜のスキルは標準装備らしく、魔法は最初の一発?

 正しくは魔法が着弾してからの数秒間は完全に無視してきた。


 物理攻撃を防ぐスキルも、理屈こそ違えどどのマスターも備えているようだ。

 オレンジは受け流すように防ぐ。多分確率。


 イチゴは攻撃を加えると姿がブレて、少し後ろに出現した。

 四回目の攻撃で砕け散った。多分回数。


 リンゴは一度の攻撃で、まるで芯を残して雑に食べたみたいに実の部分が弾け飛んだ。

 恐らく一定のダメージ量まで無効化するタイプ。

 オーバーしても一度は防ぐんだろう。


 最後に戦ったパインは無効化はしなかったが、与えたダメージの5%くらいを反射してきた。

 これが一番驚いた上に、そこそこのダメージを受けた。

 軽くじゃなく、全力で殴っていたら死んでたかもしれない。

 恐るべしダメージ反射。

 パインマスター自体は、受けたダメージで消し飛んでいた。


「あー、びっくりした」

「モジャマサ大丈夫!? 生きてる!?」

「大丈夫だよ、ありがとう」


 心配してくれているタマの頭を撫でて落ち着かせる。

 タマもかなり驚いたようで、俺の腹にしがみ付いている。


「良かったー! モジャマサはタマが守るからね!」

「うん、頼むな」

「今のはダメージの反射……? ああいうのもあるんですね。ドキッとしました」

「俺も驚いたよ」


 ミルキーも焦ったようだ。

 俺も焦った。

 ダメージの反射なんて、ゲームで言えば定番みたいなものだ。

 昔やっていたゲームでも普通にそんなスキルがあったし、装備もあった。


 大抵は受けたダメージの一割も返せなくて、よっぽど特化してもそこまで強くない。

 普通に避けて殴った方が回復のコストもかからないし早かったりするから、意識になかった。


 このゲームでは最大HPを越えたダメージも普通に入る。

 つまり、俺達がその辺のモンスターやプレイヤーを攻撃した場合、数百万のダメージが普通に出る。


 全力で攻撃すれば数千万くらい行くだろう。

 もしそれを反射されれば、10%だと数百万。

 1%でも数十万が返ってくる。

 それだけ食らえば俺達のHPでも普通に危ない。

 これからは反射系のスキルを持ってないか確かめてから全力を出した方が良さそうだ。


 それはそれとして、探索は続く。

 マスター達はMAPに一体の時間沸きなのか、遭遇しなかった。


 マッスル達のドロップもほぼ一緒。

 時折植物を採取する。アイテムもほとんど変わらない。

 前のマップとの違いはマスターの存在と、種類の違いくらいのようだ。


「この先に大きいのがいるよ」


 そろそろ奥側も一周するかといったところで、タマが大物の存在を教えてくれた。

 まだ見ぬ強敵がここにはいるらしい。


 一体どんな奴だろう。

 マスターの更に上位版?

 大きなフルーツマッスルなんだろうか。

 もしかして、スイカマッスルとかいるのかもしれない。


「よし、じゃあ行ってみよう。そいつは動いてる?」

「動いてるよー」

「それじゃあ慎重に、見つからないようにだ」

「はーい!」

「はい」

「キュルル」


 ゆっくり進む。

 木のせいで見えづらいけど、少し先に開けた場所があるようだ。

 そこに、動く大きな何かが見える。


 更に進むと、その姿がはっきり見えた。

 それは大きな木だった。

 地面に根を張っている。


 幹は太く、大人が4~5人で手を繋いだら囲えるくらいに見える。

 ただ、丸というよりは楕円っぽく見える。

 根を張っている筈なのに、時折そのまま地面をスライドするように移動している。


 ≪古代異界烏賊の足≫と同じように、その辺りは無視するようだ。

 まだ俺達プレイヤーの存在に気付いていないようで、自由に動いている。


 開けた空間だけを移動するのかと思ったらそうでもなかった。

 その大きな木が移動すると、その先にある木までもが動いて場所を空ける。

 周りの木はただの木に見える。


 地形を操作してるのか?

 ファンタジーとかだとエルフみたいな種族が、そういう魔法を使ってたりする。


 木がこっちを向いた。

 向かってこないから、気付いた訳ではなさそうだ。

 偶然だろう。


 正面から見ると他のモンスターと同じく、ボディビルダーのようにも見える。

 腹筋のような凸凹はしっかりあるし、目と口のような洞が三つ、高い位置にある。

 そして髪の毛に位置する樹上には沢山の葉っぱと、大きなフルーツが成っている。

 あれ、多分一つ一つがマッスルだ。


 よく見ると赤いカーソルがそれぞれに表示されている。

 あれが普通にマッスルならいいんだけど、全部マスターだったりしないよね?

 表示された名前は≪始まりの筋肉大樹ビギニングマッスルツリー≫ 。


「なんかすごそうなのがいますね」

「そうだね。多分MVPボスだよね、あれ」

「すごく大きいですし、そうだと思います」


 ≪始まりの筋肉大樹≫は高さが幹の部分だけで十mは越えている。

 上の方は他の木に隠れて見えないから全高は分からないけど、大きいのは間違いない。

 あれで普通のモンスターだったらやばい。

 そういうのもいるかもしれないけど。


 さぁ、ちょっと作戦会議だ。



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