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177 クエストNPCとぼったくり


 屋台で海鮮を楽しんでしまった。

 恐るべし産地直送。

 大体がシンプルに焼いたり煮たりだったけど、美味しかった。

 恐るべし産地直送。


 おろし金にも串焼きの魚を与えたら、バリバリ食べた。

 もっとと鳴くので、満足するまでタマがあげていた。

 店主のおじさんがタマとおろし金の食べっぷりにサービスしてくれたのも嬉しい。


 満腹になったところで、次は果物の島だ。

 露店でアイテムを漁るのも楽しそうだけど、それはまたの機会にしよう。

 畑に植えるとしたら、早い方が良いからな。


 今日植えた方が、明日植えるよりも収穫が一日早くなる。

 結果が出るまで時間がかかることは、先に済ませた方がきっと効率が良い。


「美味しかったね」

「はい、お魚美味しかったです」

「うん! お腹空いたらまた食べる!」

「余分に買い込んでストレージに入れてあるから、お腹が空いたらすぐに食べられるよ」

「やったー!」

「それで、どうやって行くんですか?」

「えっとね」


 伊達正宗が教えてくれたのは、果物の島があるということと、行く手段。

 この町の東側にある船着き場、そこにいるNPCが一人300cで運んでくれるらしい。

 ただ、送ってもらうにはお使いクエストをこなさないといけないらしいから、ちょっと面倒だ。

 

「というわけでおろし金で飛んで行こうと思う」

「はーい」

「わかりました」


 とは言っても場所は分からない。

 海は広そうだし、闇雲に探してもすぐ見つかるか分からない。

 まずは運んでくれるNPCに話を聞くことにした。


 船着き場に行くと、船を停める為の出っ張りがあり、そこに何人かのおじさんが一つ一人、等間隔で並んでいた。

 船乗りや普通の町民、コックみたいな人までいる。

 それぞれ別のクエストをこなすことで、色々な島へ行けるようになる、らしい。


「すみません」

「どうした、≪ナシベルタ遺跡≫に行きたいのか?」

「すみません、なんでもないです」

「そうか」


 一番近い冒険家風の人に話しかけてみた。

 違った。

 話を打ち切っても特に不機嫌になった様子は無かった。

 この辺りは非常にNPCっぽい。


「すみません」

「あっ、君冒険者さん? 丁度良かった、≪フルーツアイランド≫って知ってるかい?」


 順番に話しかけてみると、コックっぽい人がそれらしき名前を出してきた。

 そのまんまだから多分この人だろう。


「その≪フルーツアイランド≫っていうの、詳しく教えてもらっても良いですか?」

「勿論さ! 今困っててね、私の事情も合わせて説明させておくれ」

「はい、お願いします」


 コックの人の名前は≪ライリー≫。

 近くのレストランを経営している、料理長だそうだ。

 美味しい魚料理を提供することで人気のお店だが、最近は周りの店や屋台も腕を上げてきた。

 負けないぞと意気込んだライリーは、魚料理に合う新たなソースを開発することにした。


「そこで目を付けたのが、果物のソースさ。最高のソースを作る為には、最高の素材が必要だ。調べる内に、この海にはフルーツばかりが盛大に実る島があるというじゃないか!」

「それがフルーツアイランドですか?」

「そう! だけどそこにはモンスターも沢山いるらしくてね、私じゃとても採りになんていけないんだ」


 だから是非フルーツを採って来て欲しい、とお願いされた。

 目的は一緒だから引き受けることに問題はない。


「俺達もフルーツアイランドに用があるので、その依頼お受けします」

「本当かい? いやあ助かるよ」

「島はどこにあるんですか?」

「それが、私も知らないんだ」

「え?」

「私も古い資料に残されてたのを偶然見つけたから存在を知っただけで、場所までは分からないんだよ」

「じゃあどうやって行くんですか?」

「フルーツアイランドのことを知ってるおじいさんがいるんだ。ただ、今お孫さんが体調を崩して寝込んでしまっているらしくてね、それどころじゃないと追い返されたんだ」


 場所だけ聞いて飛んで行こうと思ったが、甘かった。

 結局、島へ行く為にはお使いクエストをこなさないといけないらしい。

 ライリーにお願いされたのは、品質がB以上のポーション五本。


 ポーションはいくつか持ってるけど品質まで拘ってない。

 良くてCのものしかない。

 ミルキーも持っていなかった。


「ストーレまで戻るのも面倒だしなぁ……。しょうがない、あの手で行こう」

「そうですね、ここは仕方ないと思います」

「モジャ?」

「キュル?」


 ミルキーにも俺の意図は伝わったようで、了承してくれた。

 タマとおろし金は揃って首を傾げている。

 可愛い。


 船着き場に一件だけ出ている露店へと向かう。

 そこには、ニヤニヤ笑っているプレイヤーがいた。

 並んでいる商品の中に品質Bのレッドポーションがある

 やっぱり、思った通りだ。


「いらっしゃい」

「レッドポーション五つください」

「毎度あり」


 こんなところで露店を開いているあのプレイヤーは、俺達みたいにクエストをこなしに来たプレイヤーをピンポイントで狙っている。

 必要なアイテムを置いておけば、割高でも売れるからだ。

 お金に余裕があるなら、集める手間くらい喜んで省くだろう。

 俺達もまんまと乗せられてしまった。


 相場は分からないが、きっとかなり高く設定されてたはずだ。

 だけど、お金は伊達のお陰で余裕があるから問題ない。

 早く島へ行こう。



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