18 チートの芽生え
いつもの画面で見慣れない表示がある。
名前:ナガマサ
種族:人
Lv:9(1↑)
Str:20(8↑)
Vit:4
Agi:20(4↑)
Dex:20
Int:7
Luc:2
職業:挑戦者
職業Lv:4(1↑)
スキル
サバイバルの心構え Lv1(使用不能)
武器修練 Lv1(使用不能)
武器適正・片手剣 Lv1(使用不能)
リラックス Lv1(使用不能)
魔法適正 Lv1(使用不能)
属性適正・無 Lv1(使用不能)
フルスイング Lv1(使用不能)
目印 Lv1(使用不能)
応急手当 Lv1(使用不能)
武器修練・片手剣 Lv1(使用不能)
無属性魔法・下級 Lv1(使用不能)
スマッシュ Lv1(使用不能)(New)
我が道を行く Lv9
封印の左腕 Lv10(1↑)(MAX)
封印の右腕 Lv8(1↑)
封印の左脚 Lv8(1↑)
封印の右脚 Lv4(3↑)
成長促進 Lv1(MAX)
取得経験値増加 Lv8(2↑)
封印の左腕がレベル10になってるわけだけど、点滅している。
意識を向けると、謎の選択肢が表示された。
『≪封印の左腕≫が進化条件を満たしました。進化を実行しますか?』
はい
いいえ
進化?
進化ってどうなるんだろう。
もしこれ以上性質が悪くなったらどうしようか。
多分大丈夫だろう。多分。
『はい』を選択してみた。
『≪封印の左腕≫は≪解放の左腕≫に進化しました』
所持スキルの一覧を見ると、≪封印の左腕≫はなくてその場所には≪解放の左腕≫なるスキルがあった。
一体どんな効果なんだろうか。
≪解放の左腕≫
ユニーク/パッシブ
ユニークスキル以外のパッシブスキルの効果をスキルレベル倍にする
随分とすっきりした。
というかパッシブスキルの効果をスキルレベル倍?
これも≪我が道を行く≫の効果範囲内な訳だから、最大で100倍になるのか。
なんというチート。
相乗効果がやばすぎる。
というか使用不能にするって書いてないんだけどもしかして。
職業:挑戦者
職業Lv:4
スキル
サバイバルの心構え Lv1
武器修練 Lv1
武器適正・片手剣 Lv1
リラックス Lv1
魔法適正 Lv1
属性適正・無 Lv1
フルスイング Lv1(使用不能)
目印 Lv1(使用不能)
応急手当 Lv1(使用不能)
武器修練・片手剣 Lv1
無属性魔法・下級 Lv1(使用不能)
スマッシュ Lv1(使用不能)
我が道を行く Lv9
解放の左腕 Lv1
封印の右腕 Lv8
封印の左脚 Lv8
封印の右脚 Lv4
成長促進 Lv1(MAX)
取得経験値増加 Lv8
やっぱり!
使用不能状態が消えてる!
これで数々のパッシブスキルが効果を発揮するしレベルも上がっていくわけだな!
というか左腕がレベル10で進化したってことは他のスキルも進化するってことじゃないか?
それならどんどんレベルを上げれば
「ステ振りとスキル振り終わりましたー」
「あ、はい。それじゃあ狩りを再開しますか?」
「はい!」
危ない危ない。
今は一人じゃないんだから集中しすぎないようにしないと。あとで色々考えよう。
ミルキーを伴っての狩りを再開したが、獲物がいない。
オオカナヘビすら見かけなくなった。
時間は11時を過ぎたところだ。
「モンスター全然いないですね」
「そうですね。逆にプレイヤーの姿は増えたような……」
困った。
モンスターがいなければ経験値もお金も稼ぐことが出来ない。
ミルキーも今日始めたばかりでお金に余裕はないそうだし、あまり稼げないのも申し訳ないぞ。
「うおおおおお!!」
「うん?」
「えっ!?」
聞こえてきたのはまたしても、聞き覚えのある声。
声のした方を見てみると、やはり†紅の牙†がこっちに向かって走って来ていた。
俺達の側に獲物はいないのに何の用なのか。
よく見ると、その後ろにはオオカナヘビが……12匹!?
必死の形相を見るに追われているらしい。
「なんであんな数のオオカナヘビに追われてるんでしょうね」
「もしかしたらリンクモンスターなのかもしれません」
ミルキーの説明によれば、リンクモンスターとは普段はノンアクティブだが、範囲内の同種のモンスターがアクティブ状態の時はアクティブになるモンスターのことらしい。
欲張って引き連れて狩りをしてたら周囲のやつを引っ掛けてしまい、逃げてる内にあそこまで増えたんじゃないかとのことだ。
思うんだけどミルキーさん絶対俺よりゲーム慣れしてるよね。
って、それどころじゃない!
「避けないと!」
「あっ、はい!」
呆れた様子のミルキーを促して、彼の進行方向から慌てて避けた。
これでどこかへ走り去ってくれるだろう。
「こっちに来てます!」
「こっちに避けよう」
一安心したところでミルキーが指をさす。
なんとこっちに進路を変更してる。
なんでだ。
仕方がないので元々向かっていた方向へとこっちがずれる。
すると、またしても進路を変えた。
明らかに俺達を目掛けて走って来ている。
こうなったら追いつかれないようにまっすぐ逃げるしかない。
「ミルキーさんは走って逃げてください」
「で、でも」
「いいから早く!」
ミルキーの身体を力任せに突き飛ばす。
俺は封印スキルの影響で走れない。それなら、一人で逃げてもらうしかない。
「任せたぜ!!」
†紅の牙†がむかつくことを言いながら俺達の傍らを駆け抜けて行く。
オオカナヘビの大群はもう目の前だ。
少し身体を横にずらすと先頭のオオカナヘビが反応している。
この時点で全部が俺にターゲットしているかは分からないし、†紅の牙†を狙っているのもいるかもしれない。
だけどミルキーを狙っているのがいるかもしれないと考えると、全部まとめて引き受けるしかない。
避ける選択肢は、ない。
「走れ!」
剣を抜いて目の前のオオカナヘビの群れに集中する。
後ろを振り返る余裕はない。
多分逃げてくれたと思う。勢いよく地面を蹴る音がした。
と思ったら、隣に立つ姿があった。
ミルキーだった。
よせばいいのに。
もう顔を向ける余裕もない。
ろくな防具もなしにあの数に囲まれれば死ぬ自信しかない。
せめて範囲攻撃とかあれば良かったんだけど。
ないものは仕方がない。
こうなったら前に出て、少しでも数を減らす。
俺が戦ってる内にミルキーも逃げてくれるかもしれないし、数匹なら誰かしら助けてくれるだろう。
決死の覚悟で踏み出そうとした時、何かが俺の前に出た。
それは、いつも俺の側で温かく発光している球体。
それは……俺の相棒だった。
「タマ!」