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159 波乱の来訪


 皆で揃って帰宅する途中、モグラとゴロウに遭遇した。

 二人とも≪古代異界烏賊の足≫の素材から作られた防具を装備している。


 デザインが全く違うのは、マッスル☆タケダ製かゴロウ製かの違いかな。

 更に、ゴロウはにゃーこを装備している。

 ふさふさの毛皮みたいで首元が暖かそうだ。

 全然寒くはないけど。


「皆さんお揃いだねー。畑でも行ってたのかな?」

「やほやほー。昨日はありがとでした。はい、タマちゃん」

「にゃあ」

「にゃーこさん! モフモフだー!」


 タマは頭の上ににゃーこを乗せてもらってご機嫌だ。

 顔が毛皮に埋まってる。


「はい。畑のハーブが凄いことになってたんですよ!」

『わらわはその検分に駆り出されたのじゃ』

「へー、そうなんだ。また後で詳しく教えてね」

「あれ、そういえばダンジョンに出掛けたって聞いたんですけど、もう戻ってきたんですか?」


 今はまだ14時手前。

 モグラ達が出掛けて行ったのは俺が二度寝から起きて割とすぐ。

 12時くらいだった筈だ。


 ダンジョンに遊びに行った割には帰りが早い気がする。

 何かあったのか?


「あー、ちょっと嫌な集団に出会ってね」

「嫌な集団?」

「トッププレイヤー集団って言われてる連中だよ。ギルドとかのシステムは実装されてないけど、実質最強ギルドって奴かな。≪三日月≫ってギルド名も名乗ってるし」


 モグラが言うには四十人程の集団で、メンバーは全員高レベル。

 一人一人がこの世界でも最強クラスのプレイヤーだと噂されてるらしい。

 つまり、出汁巻玉子と同格のプレイヤーが四十人いる訳だ。


 ――パンツ一丁の男が四十人集まってるところを想像してしまった。

 あれと同じのが四十もいたらやばい。

 さすが最強ギルド、恐ろしい。


「その人達がどうかしたんですか?」

「彼ら、強いのは間違いないんだけど、時々狩場を占拠することがあってね。でも強い上に数も多いから下手に逆らえないんだよ。オレもそんなことで死にたくないし」

「そんなの俺にもムリゲルゲ」


 ミルキーの問いかけに、モグラが苦笑いで答えた。

 ゴロウも同調して――同調?


「強いからってそんなやり方するなんて、酷いですね!」

『ミルキー、力を持つとそんな風になってしまうものなのじゃよ。ご主人様みたいな人族ばかりなら良いのだがのう』


 憤慨するミルキーに、石華がどこか悟ったように語っていた。

 そういえばミルキーは、そういうマナーが悪いの好きじゃなかったな。


 なんで俺が出てくるのかは謎だ。

 ご主人様はほんとにやめよう?

 モグラとゴロウがこっちを見てニヤニヤしてるから。


「ほんとにねー。まぁそんな訳で、軽く覗いて帰ってきたんだよ」

「それは災難でしたね。またうちに遊びに来た時にでも一緒に行きましょう」

「ありがとう、是非そうさせてもらうよ」


 話をしながら歩いてるうちに我が家へ到着した。

 せっかくだからモグラとゴロウに上がってもらって、ゆっくりお茶でもしようという話になった。


「でさ、ハーブがすごいことになってたって何があったの?」

「俺も気になってましたぜ」


 二人に宝石化したハーブのことを説明する。

 石華も≪古代異界烏賊≫の伝承を交えながら、何が起こったのかをもう一度語ってくれた。

 先程収穫したばかりの現物を見せたら大興奮で喰いついていた。


「ナガマサさんこれ絶対珍しいよ! レア度Aって畑で採れる素材じゃないよ!」

「すっげー。でもナガマサさんの狩ってくる素材っていつもこのくらいだから、若干な、感覚が、麻痺してるマジ死ねる」


 二人ともべた褒め――ゴロウは少し言ってる事が分からないが――してくれた。

 ポーションにすることも薦められたが、生憎この中で薬関係の生産スキルを持っている人は誰もいなかった。


 一応俺は取れるんだけど。

 せっかくだし後で取ってみようかな。


 そんな感じで賑やかに、和やかに時間は過ぎていった。


 17時を過ぎたところでモグラとゴロウは、タケダと合流してストーレの街へと帰って行った。

 送って行こうかと思ったが、教会経由で帰るからと遠慮されてしまった。

 また今度泊まりに来てもらおう。

 この村の近くにあるダンジョンに俺も行ってみたいし。


 ジャケットは装備を解除してリビングでまったりとくつろぐ。

 ミルキーもタマものんびりしてて、幸せな時間だ。


「モジャモジャモジャモジャモジャー」

「タマ、何してるんだ?」

「モジャってるー!」

「そうか」

「ナガマサさん、今夜のお夕飯も私が作っても大丈夫ですか?」

「勿論。すごく嬉しいよ、ありがとう」

「大したものは作れませんけどね」

「俺からしたらそんなことないよ。今度俺にも料理を教えてほしいな」

「はい、私で良ければ任せてください!」

「今夜はどんな料理か楽しみだなーっと、誰か来たみたいだ」


 ノックの音が響き渡る。

 特に慌てた風でもない、普通の音だ。

 玄関へと向かう。


 だけど誰だろうか。

 モグラ達は帰ったし、昭二だったらノックと合わせて俺の名前を呼びそうな気もする。

 もしかしてミゼルかな?


「はいはい、なんですか?」

「貴方がこの≪モジャの家≫の主人か?」


 ドアを開けると、真面目そうな眼鏡美人が立っていた。

 え、≪モジャの家≫?

 なにそれ。


 エリア画面を開いてみると、現在位置は≪モジャの家1F≫となっていた。

 タマだな、こんな変な名前をつけたのは。

 すごく真面目そうな顔で言われると吹き出しそうになるんだけど。


「はい、そうですけど」

「ではこの家を譲ってもらおう」


 問いかけに一応肯定すると、≪ムラマサ≫という名前のプレイヤーは訳の分からないことを言い出した。


「え?」

「≪モジャ畑≫と裏の城もこの家の付属物だろう? 我がマスターがどうしても欲しいと言い出してな。100Kcでいいな?」


 値段も雑過ぎる。

 これはどうしたらいいんだ。



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