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157 畑と宝石ハーブ


 13時。

 モグラとゴロウはせっかくここまで来たからということで、12時くらいに近くのダンジョンへと旅立って行った。


 マッスル☆タケダは一人で帰るのもあれだからと、村に残っている。

 ついでに市場調査も兼ねて村で露店を出すそうだ。

 俺はとりあえず畑の様子を見に行こうかな。


「ミルキー、タマ、畑に行こうと思うけどどうする?」

「行きます。私もいずれ何か育てたいので、しっかり見ておきたいです」

「タマも行くー!」

「よし、じゃあ皆で行こう」

「おろし金発進ー!」

「キュルル」


 みんな揃って畑へ行くことにした。

 タマはおろし金の背中に乗ってご満悦。

 飛ぶ必要がある時以外はカナヘビモードだ。

 村の皆に説明してあるとは言っても、ドラゴンモードは目立つしな。


「とうちゃーく! とうっ!」

「タマちゃんはいつも元気ですね」

「うん、お陰で退屈しないよ」

「そうですね。でも、そういう意味ではナガマサさんも負けてませんよ」


 畑に到着した。

 タマがいの一番に飛び込んでいく。

 畑には相変わらず≪古代異界烏賊≫とその足が生えている。


 所々に≪輝きの大空洞≫の壁や天井に生えていた結晶のようなものまで頭を出しているのが見える。

 自分で植えておいてなんだけど、すごい光景だ。

 まさに異界。


 ミルキーが悪戯っぽく笑って見てくるのも、仕方ないのかもしれない。

 普通には見れない光景だろうしなぁ。

 色々偶然が重なって、更に偶々思い付いただけだけど、俺のせいなのは間違いない。


「楽しく暮らしたいだけだけど、退屈しないのはいいことだと思うよ」

「そうですね」


 退屈なくらい平和なのは幸せだけど、そこから退屈だけを楽しく取り除けたらもっと幸せじゃないかと思う。

 意識して出来るかは分からないけど、そんな人生にしていきたい。


 畑の管理画面を呼び出す。


 状態が一括で確認できるのはすごい便利だよなぁ。

 経験が全くないから土の状態を見たって何も分からないだろうし。


 土の状態は、悪くない。

 水とかは撒かなくてもいいんだろうか。

 特に乾燥もしていないようだ。


 湿り気100%っていうのはどういう意味かな。

 どうやら、必要な湿り気を表してるらしく90~100%が丁度良いと書いてある。


 植えてある中で収穫可能なものは、っと。

 足が収穫可能な状態になっている。


 ≪古代異界烏賊≫自体は収穫可能になったりしないようだ。

 扱いとしてはイチゴの蔓みたいなものなんだろう。


「この足、もう収穫出来るんですね」

「みたいだね。タマ、生えてる足全部刈っていいぞ」

「らじゃー!」


 足と遊んでいたタマに声を掛ける。

 元気よく返事をしたタマは、上ったり滑り台にしていた足を結晶の剣で刈り取り始めた。

 切り替えが早くてちょっと怖い。

 まぁ、あっちは任せておいて良さそうだ。


「一体何が収穫出来るんだろう?」

「やっぱり足そのものでしょうか? でも大きいし、直接素材になってもおかしくないですよね」

「なるほど」


 ゲームによっては収穫した瞬間に加工済みの素材になることもある。

 勿論、ゲームによっては収穫して下処理をしてから、いくつかの工程に渡る加工をして初めて素材として使えるようになることもある。

 そのゲームがどのジャンルをどこまで細かく再現するかは自由だからな。


 このゲームでは加工済の装備品をモンスターが落とすこともあるそうだから、ミルキーの意見も充分に有り得る話だ。


 他には、ハーブ類も収穫が可能な状態になっていた。

 早い……のか?

 何日で収穫出来るとか聞いてなかったから基準が分からない。


「あれ?」

「どうかしました?」

「ここなんだけど」

「あれ、何でしょうねこれ」


 ミルキーが俺の手元を覗き込んで不思議そうな顔をしている。

 多分俺も同じ表情のはずだ。


 植えていたハーブ類が、どれも名前が変わっている。

 植えたのは普通の≪レッドハーブ≫や≪グリーンハーブ≫の筈だ。

 なのに、≪ルビーハーブ≫や≪エメラルドハーブ≫となっている。

 そんなの植えた覚えはないぞ。


「終わったよー!」

「お、ありがとうタマ。よしよし」

「いえーい!」


 タマが足の収穫を終えて戻ってきた。

 収穫物が何なのかは後で確認しよう。


「ちょっと実物を確かめてみようか」

「そうですね」

「タマはおろし金と一緒にこれを撒いておいてくれるか?」

「あいあい!」

「キュルル!」


 タマに結晶系のドロップ品の詰め合わせを渡す。

 タケダ達に売って余った分だ。

 昨日これを粉末にしたものを撒いて土レベルが上がってたし、悪い影響も無さそうだからな。

 すぐ集められるし肥料にしてしまえ。

 ピンポン玉が喜びそうだしな。


 タマとおろし金に仕事を任せて、俺達はハーブの確認だ。

 植えてある隅の方へ向かう。

 イカが植えられるか試そうと思ったから、普通の植物は隅っこにかためてある。


 その一角には、明らかに普通じゃない植物が植わっていた。

 ハーブ類が、日光を浴びてキラキラと光っている。

 もう13時過ぎてるし、朝露とかじゃない。


 まるで宝石のように、幾重にも屈折した光が輝いているようだ。

 触ってみる。

 硬くてツルツルしてる。

 まるでガラスみたいな手触りだ。


「名前の通り、宝石みたいなハーブですね……」

「なんでこんなものがここに?」


 俺が植えたのは村で買った普通のハーブだ。

 こんなファンタジー植物じゃない。


 誰かの悪戯にしては手が込んでるし、意味も理由も全く分からない。

 一体どうしてこんなことに?

 昨日まいた粉末が影響したのか?



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