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153 金剛石の華

本日一回目の更新です

※ダイヤモンドクイーンの名前を金剛石華に変更しました


 このコインは、≪ダイヤモンドクイーン≫をテイム出来た証だ。

 クリスタルナイト達の姿も消えている。


「やった、上手くいったよタマ! ミルキー!」

「やったー!」

「やりましたね。成功して良かったです」


 何も描かれていないコインをダイヤモンドクイーンに握らせて、≪コイン:ダイヤモンドクイーン≫にする。

 そしてそのままテイムして、このコインになった訳だ。

 コインから女王を呼び出す。

 光が溢れて人型をとっていく。


『これは、一体どうしたというのじゃ?』

「すみません、テイムさせてもらいました」

『テイム……とはなんじゃ?』


 テイムってゲーム用語なのか。

 NPCには通じないらしい。

 なんて言えばいいんだろうか。


「モジャマサのペットになったんだよ!」

「ペッ……!?」

「あらー……」

『なるほど、ペットか』

「いや、違う。ペットじゃない! そういうんじゃない!」


 タマがとんでもないことを言い出した。

 そのつもりは全くない。断じてない。

 ミルキーは苦笑いを浮かべている。

 ほんとだよ!?


「おろし金は?」

「ペット」

「じゃあクイーンもペット! 名前はモジャがつけて!」

『ふむ。よろしく頼むぞ、ご主人様』

「だから違うって言うのに」


 タマの質問に素直に答える。

 そこで何か結論が出てしまったようだ。

 しかも名前は俺が付けるらしい。

 どうしようかな。


 本人はそんなに気にした感じは無さそうだけど。

 むしろノリノリっぽい。

 ご主人様はやめよう。


「それじゃあ、ダイヤモンドだから……≪金剛石華(こんごうせっか)≫でどうですか?」

『ふむ、中々良い名じゃな。呼ぶ時は金剛でも石華でも、どちらでも良いぞ』

「はい」


 ともかく、これで女王……金剛石華を村に招くことが出来る。

 仕方なくテイムしたわけだけど、扱いは客人として扱おう。

 断じてペットじゃない。

 名前も気に入ってくれたようで、良かった。


「とにかく帰ろう。でもここってどうなるんだろう?」

『おそらくそのまま残るじゃろうな』

「そうですか。崩れ落ちたりしなくて良かったです……ん?」


 慌てて脱出する必要はなさそうだ。

 あれ、何故かタマ二号が置いてある。

 向こう側だけかと思ったのに。


 つい手を伸ばしてみると景色が切り替わった。

 ここは、≪無明の城≫か?

 暗い雰囲気はそのままだが、壁とかがボロボロで半分崩れ落ちている。

 ただ欠けた感じじゃなくて、向こう側は空虚にしか見えない。


 もしかして崩壊しかかった空間が残ってる、って感じの設定かな。

 多分ダンジョンを残す為の措置なんだろうな。


「モジャー! 生きてるー!?」

「タマもこっちに来たのか。大丈夫だ、戻ろう」


 タマが目の前に現れた。

 心配して追いかけてきてくれたようだ。

 タマ二号に触れると、再び謁見の間に飛ばされた。

 

 金剛石華の話では、ワニの力がまだ残ってて、そのせいで固定化されているんだろうとのことだった。

 今すぐにでも消えることは無いが、何十年後か何百年後か、いずれ自然消滅するそうだ。

 やっぱりダンジョンとして普通に入れるんだな。

 良かった良かった。

 これで改めて心臓狩りが出来るな。

 また稼ぎに来よう。


「よし、帰ろう」

「帰ろー!」


 おろし金の背中に乗って帰宅する。

 今の時間は15時半。

 金剛石華を連れてゆっくり村を案内する為に早めに帰ることにした。

 だから今日も、ストーレの街には寄らずに直接帰る。

 明日マッスル☆タケダとゴロウに素材を買い取ってもらおう。


 テイムしたモンスターは一人一体しか召喚出来ないみたいなんだけど、タマも一枠持ってるらしいからおろし金は完全に任せることにした。

 これで金剛石華は俺の担当みたいになってしまった。

 ペットじゃないぞ。


『おお! すごいぞおろし金! 流石はわらわの先輩じゃ!』

「石華さん、身を乗り出すと危ないですよ!」


 金剛石華は、おろし金の背中でご満悦だ。

 そういえば洞窟から出た時点で大興奮だったな。

 今も下を覗き込もうとしてミルキーに抑えられている。

 

 村の上空にやってきた。

 なんか畑エリアの方が騒がしい。

 人だかりも出来ているようだ。

 何かあったのか?


 おろし金に放牧エリアに着地してもらったところで、誰かが駆け寄って来た。

 昭二だ。

 柵の手前で立ち止まった顔はすごく慌てた様子だけど一体何だろう。

 畑エリアの騒ぎと何か関係あるのかな。

 


「ナガマサさん大変じゃ!」

「そんなに慌ててどうしたんですか?」

『こやつは誰じゃ?』

「この村に住んでいる昭二さんという方で、私達の先輩です」

『ご主人様の先輩ということは、わらわも敬うべき相手じゃな』


 俺達の後ろでは金剛石華とミルキーがこっそり話をしている。

 どうやら金剛石華の声は聞こえる相手を選べるらしい。


 反応を見るに、今は昭二には聞こえないようにしてるんだろう。

 だからミルキーが小声で話してるんだな。

 傍から見ると独り言に見えるから。


「あんた方の畑に、でっかいイカの化けもんが生えとるんじゃよ! 今は誰も襲われておらんが、畑に入ろうとすると足が動いて威嚇してくるもんじゃから、皆で見張っておるところじゃ! 早う、こっちじゃ! 来んさい!」

「はい、今行きます。おろし金、そのまま皆を乗せて付いてきてくれ!」

「おろし金、発進!」

「キュルル!」


 柵を跳び越えて、昭二と一緒に畑エリアへ向けて走る。

 後ろからはおろし金が飛んで付いてくる気配がする。

 俺達だけで行った方が早く着く。

 だけど先に行っても他の人達が混乱するかもしれないから、顔なじみの昭二と一緒の方が良いだろう。

 

 話を聞く限り緊急性も無いみたいだしな。

 というか、心当たりがありすぎてなんとも言えない。

 予想があってたらなんて説明しようかな。


「皆の衆、どいてくれ! 畑の所有者を連れてきたぞ!」


 畑に到着した。

 昭二の声で避けてくれた人達の向こうに≪モジャ畑≫が見える。


 そこには、立派に成長した≪古代異界烏賊≫が生えていた。

 ――やっぱりな。

 そんな気はしてたよ。


「すみません!!」


 悪いと思ったら謝る。

 迷惑をかけたら頭を下げる。

 これはきっと、世界の常識の筈だ。



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