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147 手作り料理とミゼル来訪

本日一回目の更新です。


 我が家に到着した。

 道中何かが襲ってきたようだけど、タマが瞬殺していた。

 夜でも問題なく戦えるらしい。


 ミルキーとタマが家の中へと入っていく。

 俺もおろし金をコインに戻して中へ行こう。

 と思ったが、せっかくだしおろし金も中に入れよう。


 放牧スペースに置いておくのも考えた。

 だけどタマのペットなら家族も同然だ。

 いつもお世話になってるし、一緒に暮らしたらいいんじゃないか。


「おろし金も家においで」

「キュルル」

「よしよし、角が刺さってるぞ」


 カナヘビモードへと変化したおろし金が鼻先をこすりつけてくる。

 痛くはない、がめり込んでて変な感じだ。

 少し撫でた後、裏口から家へ入る。

 後にはご機嫌なおろし金も続く。


「おかえりなさい」

「おかえりー!」


 何度か聞いていた言葉なのに面喰ってしまった。

 ここが初めての我が家だからか?

 ちょっと、いやかなり嬉しい。

 普通に出かけて帰ってくる。

 それがどれだけ幸せな事か、よく分かる。


「ただいま」

「キュル!」

「おろし金ー! よーしよしよし」

「中で一緒に暮らそうと思うんだけど、どうかな?」

「いいと思いますよ。タマちゃんも喜んでますし」

「そうだな」


 ミルキーの言う通り、タマも嬉しそうだ。

 いつにも増しておろし金を可愛がっている。

 せっかくの我が家なんだからコインに戻す必要もないもんな。


「ふぅ」


 一息吐きながらリビングの椅子に腰かける。

 今日は程々に疲れた。


 しんどい疲れじゃない。

 充実感のある疲れだ。

 長時間狩りをしたから、満足感も凄い。

 換金はしてないから明日の朝にでも売りに行こうかな。


「ナガマサさん達はゆっくり休んでてください」

「ミルキーは? どこか行くの?」


 ミルキーは椅子にも座らずに装備を変更していた。

 黒地に結晶が散りばめられた≪星空のローブ≫から、普段着のような姿へ。

 その上にはエプロンのようなものを装備している。


「私はこれから、夕食を作ります!」

「夕食? ミルキーが?」

「そうです」

「やったー!」


 今の時間は19時を過ぎたところ。

 確かにもう夕食時だ。

 ストレージの中の料理か、村の酒場で済ますと思ってたから驚いた。

 そもそも自分達で作るという発想が無かった。

 そうか、我が家だからそういうことも出来るんだな。


 ミルキーはストレージから材料を取り出して料理を始めた。

 いつの間に買ってたんだろうか。


 今まで料理を作るところなんてまともに見たことがない。

 ちょっと気になる。


「見られてると気になるので座って待っててください」

「料理してるところなんて見たことないから気になっちゃって」

「ちゃんと作れる筈ですから大丈夫ですよ。ほら、休んでてください」

「あ、うん」


 覗きこんでいると、ミルキーに背中を押されて椅子の前まで追いやられてしまった。

 力づくで抵抗するようなことでもないし、大人しく椅子に座る。


 見ていたかったけど、まぁいいか。

 その内見れる機会はあるだろう。


 なんなら自分で作ることに挑戦も出来る。

 明日はミルキーに習いながら、自分でご飯を作るのも良いかもしれない。

 お願いしてみよう。


「出来ました!」

「わーい!」

「お皿はタマと一緒に並べたよ」

「ありがとうございます。盛りますね」


 ミルキーが作った料理は、牛肉と野菜の炒め物だった。

 野菜は多分キャベツとピーマン、後は玉ねぎとニラだと思う。


「うまく出来てるといいんですけど」

「美味しそうだよ。それじゃあ食べよう」

「「いただきます」」

「いただきまーす!」


 メニューはミルキーが作った炒め物と、パン、スープだ。

 スープはにんじんとたまねぎが黄色い透明なスープに浮いている。


 炒め物を食べてみる。

 塩味が濃くて美味しい。

 スープはどうだろう。

 塩味が濃くて美味しい。


「どうですか?」

「美味しいよ」

「美味しい!」

「良かったです」


 俺とタマの返事を聞いて、ミルキーは明らかにホッとしていた。

 こんなに美味しいんだから心配し過ぎだな。


 緊張の解れたミルキーが炒め物を一口食べて、渋い顔をした。

 そしてスープを一口。

 笑顔は帰ってこない。

 結局そのまま食事は進み、ミルキーは一言


「次は頑張ります」


 と呟いていた。






 ノックの音がリビングに響いた。

 こんな時間に誰かお客さんだろうか。


「私が」

「ああ、座ってていいよ」

「すみません」


 タマとおろし金と遊んでいたミルキーが立とうとしたのを制して、玄関へ向かう。

 ミルキー達がやっていたのは、大きく開かれたおろし金の口の中にどこまで手を入れられるか、という遊びだ。

 口が閉じられた時は素早く引き抜かないとアウトになるらしい。

 なんて恐ろしい遊びをしてるんだろうか。


「はーい」

「ごきげんよう」

「ばんはっす」


 ドアを開けると、ミゼルと出汁巻玉子がいた。


「こんな時間にどうしたんですか?」

「せっかくお隣同士になったので、遊びに来てしまいましたわ」

「なるほど」

「お邪魔してもいいっすか?」

「どうぞ」


 二人をリビングへ誘導する。

 タマもミルキーも顔見知りだし嫌な顔はしないだろう。

 ここでミルキーにお伺いを立てても、嫌だとは言いづらそうだしな。


 それなら俺の責任で入れてしまおう。

 怒られたら、次からは帰ってもらう。


「タマ、ミルキー、ミゼル様と出汁巻が遊びに来られたよ」

「ミゼルー!」

「あ、こんばんは」


 タマはミゼルに飛びつき、ミルキーは立ち上がって挨拶をしていた。 


「ごきげんよう、ミルキー様、タマちゃん」

「ばんはっす。夜遅くにすんません」


 ミゼルは笑顔でタマを受け止め、出汁巻は若干申し訳なさそうだ。

 ミゼルが来たいって言って仕方なく付いてきたんだろうな。

 騎士勤めはこれがあるから大変だ。


 パシオンの部下にだけは絶対なりたくない。

 我儘ってレベルじゃないからな。

 あれこそまさに、我が道を行くって感じだ。


「お二人は何をされていたのですか?」

「遊んでた! 二人も混ざろー?」

「ミゼル様はやめておいた方が良いと思います」


 ミルキーのアドバイスに従って出汁巻だけが参戦した結果、出汁巻一人だけが散々噛まれることとなった。

 ちなみに、噛まれるとかなり痛いらしい。

 


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