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145 宝石の心臓

本日二回目の更新です。


 騎士狩りも程々に、イカの姿を探すことにした。

 本当は延々と騎士を狩りたい。

 所詮世の中お金だ。

 好きな事をするにしても、とにかくお金がないと話にならない。


 それはゲームであるこの世界でも変わらない。

 お金を稼がないと我が家を大きく出来ないし、のんびり暮らす為の基盤も作れない。

 ある程度の強さを手に入れた今、あとは安定収入さえあれば良い。


 それさえ確保出来ればのんびり楽しい人生が送れる筈だ。

 その為にも快適な我が家は必須。

 だから宝石をがっぽがっぽと稼ぎたい!


 でも、頼まれた以上はしっかりこなさないといけない。

 それが冒険者だ。


 冒険してるだけでも楽しいんだけどね!

 超楽しいよ!

 肉体なんていらなかった!


 おかしなテンションになってる気がする。

 少し落ち着こう。


 騎士達を蹴散らしながらイカの姿を探す。

 どの騎士がどれだけ来ても、苦戦はしない。


 場所が変わった。

 奥側は別のエリアか。


 モンスターも強くなってる。

 だけどやってることは変わらない。


 どの騎士も俺達が何度か叩けば爆散してしまう。

 スキルを使うまでもなかったりする。

 だけどスキルを使う。

 使わなくても良い武器を使う。


 何故か。

 楽しいからだ。

 オーバーキルでもなんでもいい。

 自分の身体を動かして、冒険して、攻撃で敵を蹴散らしていく。

 昔やった無双系ゲームみたいだ。


 だけどこの世界は、俺にとっては第二の人生。

 モンスターと戦う機会に溢れるこの世界では、強いに越したことはない。

 ゲームで最強キャラで無双しても、すぐに退屈になることもあった。 

 今は楽しくても、戦闘が退屈に感じるようになるかもしれない。


 でも、人生なんだ。

 きっとつまらなくなるくらい安全で丁度いい。

 タマもいるし、ミルキーもいる。

 きっと楽しいはずだ。


 謁見の間へとやって来た。

 きっといるだろうと思ったのに、いなかった。

 もしかして固定湧きじゃないんだろうか。


「奥に何かあるよー?」

「あれ、ほんとだ」

「光ってますね?」


 ≪古代異界烏賊≫は巨大なモンスターだ。

 その本体ともいうべきモンスターなら、もっと大きくてもおかしくない。

 だからその部屋に入った時点でその大きな姿がないということは、いないということだ。

 隠れてたとしても≪看破の魔眼≫があるし。

 特に反応はない。


「えらいぞタマ!」

「わーい!」


 だから俺が見逃しかけたそれを、タマが見つけてくれた。

 頭を撫でて褒める。

 ミルキーが言うように、何か淡く光るものがあるようだ。


 近づいてみても何も起きない。

 それは、バスケッドボールくらいのヒトダマみたいな燃える球体だった。

 タマの親戚か何かか?


『贄を――贄を寄越せ――』

「うっ……」


 手を伸ばすと何か声のようなものが頭に響いた。

 ≪ダイヤモンドクイーン≫と違って濁った、おぞましい声だった。

 これが直接頭に響くのは中々きつい。

 ミルキーも渋い顔をしている。


「どうしたモジャマサ! しっかりしないと引きちぎるモジャ!」

「勘弁してくださいモジャ」

「……今のはクエストの演出でしょうか」

「多分」


 タマは声に対して何の反応もしていない。

 それどころか、顔をしかめた俺を心配してくれている?

 どうやらタマには声は響いていないようだ。

 プレイヤー限定なのかもしれない。


 多分この人魂が鍵を握っている。

 だけどこれ以上手がかりがないな。

 どうするか。

 何度か手を伸ばしてみる、例の声が頭の中で響くだけで何も起こらない。


「ナガマサさん、一度ダイヤモンドクイーンのところへ戻って話を聞きましょう」

「いいけど、どうして?」

「さっきの声が響いた後、『ダイヤモンドクイーンのところに戻って話を聞こう』ってクエストの案内が表示されたんです」

「なるほど」


 俺の表示関係はタマによって設定が弄られている。

 これによって、タマのレベルアップ等のメッセージがログに表示されないようになっている。

 しかもいくつか他の項目も一緒に非表示にされているらしい。

 それを放置してたから俺は気付かなかった。


「そういう感じのクエストか。それじゃあ一旦戻ろう」

「ゲームだとよくありますよね。無駄に往復させられるの」


 一度入口まで戻ってタマ二号に話しかけると、戻るか聞かれた。

 はいと答えたらダイヤモンドクイーンのいる謁見の間へ戻って来た。


 女王に事情を話すと、イカのおぞましさを痛感するようなお話を聞かせてくれた。

 思ったよりえぐかった。

 その逸話から女王が推測したのは、騎士の心臓を捧げることだった。


 倒す為にはある程度封印を解く必要がある。

 その為には餌を与えなければいけない。

 それが心臓。 

 つまり、宝石の騎士のドロップアイテムである≪宝石の心臓≫を、必要な数集めろということらしかった。


 その話を聞いた俺達はすぐさま、異次元の≪無明の城≫へ戻った。

 目指すのは謁見の間。


 途中出てくる騎士達はドロップアイテムに変えていく。

 結構持ってるけどどのくらい数がいるか分からないから、きっちり拾っておく。


 ≪強欲≫を発動して一瞬でアイテムをストレージに放り込む。

 このスキルは本当にとっておいて良かった。


 再び人魂に手を伸ばすと、同じ声が聞こえてきた。

 試しに≪宝石の心臓≫を取り出して近づけてみる。


 燃える人魂の炎の部分が伸びた。

 俺の手ごと、持っていた宝石の心臓を呑み込んでしまった。

 すぐに炎は引いて、俺の手にダメージはない。

 

『1/500』


「何か出てきたな」

「数字ですね。これはもしかして……」


 人魂の上に、数字が浮かんでいた。

 これは心臓を500個持って来いということだろう。

 今持っている心臓を全部合わせても、100個もない。


 なるほど、こういう方式か。

 まだしばらくここに籠もる必要があるらしい。

 やったぜ。

 休憩してから狩りを再開しよう。



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