133 拠点決定と家具探し
本日一回目の更新です
――はっ!?
俺はいつの間に契約を?
……仕方ない。
だって畑仕事をしてみたかったんだ。
ミルキーも納得してくれてるみたいだし、せっかく買ったんだから楽しもう。
この村はMAPで言うとストーレの街から西に三つ、南に一つ移動したところにある村だ。
徒歩で移動するとなると少し遠い。
だけどその点はすぐに解決した。
まず一つ、ストーレの街に行くだけならおろし金に乗るか空を走ればすぐに着く。
もし面倒だったり気分が乗らない時は、村にある教会の神父様にお願いしたらストーレの街へ飛ばしてもらえるとのことだ。
一回500c。
帰りもストーレの教会から移動出来る。
唯一の懸念だったストーレの街との距離が解決すれば、もう何も問題はない。
しばらくは拠点を快適なものに出来るように色々揃えていきながら、生活を楽しもう。
「ミゼル様、ありがとうございました。まさかこんなにすぐ拠点が決まるとは思ってなかったです」
「いいえ、気に入って頂けたようで良かったです」
「出汁巻さんもありがとうございました」
「お役に立てて良かったっす」
よく考えたら、今日は下見だけのつもりだったんだよなぁ。
つい衝動に突き動かされたとはいっても話が高速展開だった。
話を持ってきてくれたミゼルと、この物件を探してくれた出汁巻玉子には感謝だな。
「私はそろそろ戻りますが、ナガマサ様達はどうされますか? ストーレへお戻りになるようでしたらお送りいたしますわ」
ミゼルの好意に甘えて一度ストーレへ戻ることにした。
拠点を好きに弄るにしても、色々準備がいるからな。
話が急すぎて何も用意していない。
後は、他の物件を探してくれているらしいパシオンにも拠点が決まったことを話しておかないとだ。
城へ戻った俺達はミゼルと出汁巻に別れの挨拶をして、パシオンの下へ向かった。
丁度外から戻ったところだったようだ。
今朝言ってた通り物件を探してくれていたらしい。
ちょっと申し訳なかったけど、拠点が決まった事を伝えた。
「ふむ、そうか。バーリルにな。ここからだと距離があるが、どこで見つけてきたのだ?」
「えーっと、出汁巻さんが紹介してくれたんですよ」
「ミもごもごもご」
「そうなんですよ!」
「そうか、副団長がな。おろし金がいる貴様らなら、距離は問題ではないか」
パシオンは俺の説明で納得してくれたようだ。
ミゼルの名前を出そうとしたタマの口はミルキーが沈黙(物理)を掛けてくれている。有難い。
何故ミゼルの名前を出さなかったかと言うと、そうお願いされたからだ。
理由はよく分からないが、パシオンに気を遣ったんだろうか。
そのくらいなら御安い御用ということで、こうして内緒にした。
「これから色々見に行くところです。しばらくは拠点の方に専念すると思います」
「うむ。距離はあるが、騎士団に転移スキルが使える騎士もいる。用事があれば使いの者を行かせるからな」
「はい、分かりました」
「拠点として完成したら招待するが良い。それではな」
城を出た後は買い物タイムだ。
買ったばかりのあの家の中には家具も含めて何も無かった。
目的も無く露店を巡るのも楽しいが、目当ての物を探してお店を周るのも楽しい。
露店はリアルタイムで入れ替わる上に、売ってる物も様々なものが入り乱れてる。
家具が売ってる露店を探すのは大変だと言う事で、街の中にある家具のお店を出汁巻に教えてもらってあるからスムーズに周れた。
「見てくださいナガマサさん、これ、良い木使ってるみたいですよ」
「ほんとだねー」
「木だよモジャモジャ!」
「木だねー」
家具のデザインや何かは、ミルキーのセンスに任せた。
俺もタマも家具の良し悪しが分からないからな。
使えればなんでも良いし、それなら選んでもらった方が良いと思った。
ミルキーはご機嫌な様子でどんどん選んでいった。
予算はそんなに余ってないのもあって、一度店を全て周って値段とデザイン、機能性の全てを見比べる程に気合いも入っている。
ただお買いものするだけでも本当に楽しい。
「いっぱい買っちゃいましたね。次は小物や食器を買いましょう! お部屋を好きに模様替えするのが楽しみです!」
「そうだね。露店でいいものあるかなぁ」
「探すぞー!」
リビングに置くテーブルや椅子の他に、俺とミルキーの個室に置くベッド等の家具を見繕った。
結局予算がオーバーしそうだったからなんとかお願いして、予約をさせてもらった。
今日か明日で稼いで、お金を用意しておかないといけない。
家具の次はミルキーの言う通り小物と食器だ。
家具と同じようにNPCのお店でも良いが、せっかくだからちょっと良い品質のものにしようという話になったから露店を見る予定だ。
出来れば生産職のプレイヤーが作ったものが良いと、ミルキーが張り切っている。
せっかくの拠点作りだ、納得がいくものを用意したい。
食器や小物を作ってるプレイヤーは多くはないみたいだが、これだけの露店を探せば結構見つかった。
作った本人の露店もあれば、職人から降ろして売っている露店もある。
途中で完全に資金が足りなくなって、取っておいた素材をマッスル☆タケダに買い取ってもらって工面したのはご愛嬌ということで。
お陰で予約していた家具も、今日の内に買うことが出来た。




